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デジタル広告の健全性と広告測定の重要性- 第3回 ”正味の広告効果”を把握して改善してゆくことの重要性 -|WireColumn

 

『デジタル広告の健全性と広告測定の重要性』をテーマにコラムを書いてきましたが、3回目の今回が最後となりますので、まずは、以下の通り、これまでの振り返りをしたいと思います。

 

 

 

出典:サイバー・コミュニケーションズ

 

 

このように、これまでは、広告展開する上でのネガティブな影響をいかにして減らしていくのか?というリスク対策面を中心にお話してきましたので、マーケティングでいかにROIを向上させていくかというポジティブなインパクトに興味をお持ちの皆様にはちょっと面白みに欠ける内容だったのかもしれませんが、リスク対策であるアドベリフィケーション等のツールを活用した正確な広告メジャメントは、マーケティングROIの向上にも役立つというお話を最後にしたいと思います。

 

以下の図1をご覧下さい。このデータはあるBtoBのクライアントの案件を『SAFE for QualityAds』(広告の安全性を総合的にサポートするCCIのサービス)で、およそ1年間に渡ってアドベリフィケーションを継続実施した際のレポートです。3課題指標を実施初期と1年後の実績で比較してみると、初期には6%だったアドフラウド率が1年後には5%改善、広告掲載先がBrand Safetyだった広告インプレッションの比率は16%改善、更にビューアビリティは約25%改善しています。こちらのクライアントでは、前回ご紹介したリスク対策の手段であるアドベリフィケーションのPre-Bid、Post-Bidの活用に加えて、ブロックリストの定期的なメンテナンスや広告プラットフォームのビューアビリティターゲティングなどの機能を積極的に継続運用していくことで、3指標の数値が大幅に改善しているのがお分かりいただけるかと思います。

 

 

<図1>

出典:サイバー・コミュニケーションズ

 

 

この結果は、アドベリフィケーションを活用する事でフラウドインプレッション、ブランドリスクインプレッション、ノンビューアブルインプレッションなどの無駄やノイズとなりうる数値を減少させているので、一定の企業リスクを排除できたという事例でもあるのですが、もう一つ重要な点は、排除できた言わば無駄な広告配信分の広告予算を有効な広告配信費の方にアロケーションできている点です。

運用型広告を実施している広告主の中でも、アドベリフィケーションは活用せずに、安全性対策としてブロックリストやセーフリストだけで対応している会社は少なくありません。しかし、前回ご紹介した様にブロックリスト運用では新規の不適切なサイトには即座に対応できなかったり、セーフリスト運用ではリーチを狭めてしまったり、という側面もあります。そこでアドベリフィケーションツールを継続的に活用して正確な広告メジャメントと正味の広告データに基づいた運用改善を実行していくことで、図2の様に同じ広告予算でも有効な広告に費やす比重を高めることが可能になるため、その後の広告効果は大きく変わってくるのです。「正確な広告メジャメントの継続は、デジタルマーケティングの力なり」と言えるではないでしょうか。

 

<図2>

 

出典:サイバー・コミュニケーションズ

 

 

安全な広告展開をするための対策にはアドベリフィケーションの計測費や3PASの配信費等の費用が発生します。この対策費用自体を無駄だと判断し、正確な広告メジャメントは実施しないのか?、もしくは、正確な広告メジャメントを実施し、図2の赤枠の様な無効な広告配信を無駄と判断して、有効な広告配信にアロケーションしてゆくのか?。この様に何を無駄と判断するのかは、意見が分かれるところかと思います。しかし、広告メジャメントなしには、広告配信の中身で一体何が無駄だったのかを把握することはできません。CCIがこの程、発表した『2020年上期インターネット広告市場動向』では、コロナ禍の環境下でインターネット広告予算を削減した広告主が6割超という結果が判明しました。この様に広告費の削減を検討する際にも、広告配信の中身にも目を向け、広告メジャメントで広告配信した相手やサイトの中身を炙り出し、本当の無駄を削減し、有効な広告に絞っている展開も今後は、一つの有効な手段となり得るのではないかと思います。

 

 

出典:サイバー・コミュニケーションズ

 

 

『デジタル広告の健全性と広告測定の重要性』をテーマに執筆してきましたが、これまで3課題などの問題にあまり関心がなかったマーケターや広告会社の方々が、この連載で少しでも広告メジャメントに関心を持つきっかけになっていただけたら嬉しく思います。「ネット広告の闇」などと言われ、ネガティブな側面が注視されているインターネット広告ですが、今後、日本でも広告メジャメントやアドベリフィケーション等の対策法が普及すれば、ネット広告は、より健全化の方向に進んでいくものと考えていますので、是非、これを機会に対策を検討いただけたらと思います。最後となりますが、これまでお読みいただいた方に感謝申し上げます。

ABOUT 安藤 茂宏

安藤 茂宏

株式会社サイバー・コミュニケーションズ
データ・ソリューション・ディビジョン エグゼクティブスタッフ
2002年にCCIに入社後、営業担当、優良媒体限定のアドネットワーク「ADJUST」の商品開発・営業責任者を経て、媒体社のプログラマティック領域での収益化サービス「IPM」を立上げ、その責任者となる。その後、PMP、アドベリフィケーションなどデマンド&サプライ双方のプログラマティック関連部署の責任者となり、2020年より現職。現在は、企業のデジタル広告の安全性を総合的にサポートしていくサービスブランド、『SAFE for Quality Ads』を立上げ、その責任者として活動中。JIAAデジタルプラットフォーム委員会委員。