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「学びの本質は広告では伝わらない」-京都芸術大学のコンテンツにかける想いと、コンテンツの価値を可視化するTRENDEMON[インタビュー]

コロナ禍でリアルなイベントの開催自粛が続く中、オンラインコミュニケーションの必要性が高まっている。特に大きな変化を余儀なくされているのが教育業界だ。広告運用とは大きく異なるオウンドメディアの意義と効果分析のあり方について、京都芸術大学の広報担当者とコンテンツアトリビューション解析ツールを提供するTRENDEMONに話を聞いた。(Sponsored by TRENDEMON JAPAN

 

教育に今必要なのはコンテンツ

 

―自己紹介をお願いします。

 

作山氏:京都芸術大学で通学課程と通信教育課程の広報・PRを担当する作山と申します。以前は両課程の学生募集を担当しており、とりわけ通信教育課程では新規学科や教育コンテンツの開発を合わせて手掛けていました。この春から現職となり、マーケティングファネルで言えばより上流の業務に携わっています。

 

嶋添氏:TRENDEMON JAPAN(トレンデーモン・ジャパン)の営業・マーケティング統括の嶋添と申します。当社は主にオウンドメディアを運営する企業様向けの分析ツールを提供しており、日本法人を立ち上げて2年目。今年6月から京都芸術大学様との取り組みをスタートさせて頂いているのですが、これまで私個人としても、国内の50社以上の大手企業様のオウンドメディアを計測、分析サポートしてきた中で教育業界でのご利用が実は初めてのことだったということもあり、お話するまでは具体的なツールのご利用イメージがクリアに湧いていませんでした。

 

しかし、こうしたコロナの状況下において、これまで当たり前のようにあったオープンキャンパスや、展覧会、学園祭などのイベント、そして授業といった大学のコアな部分が揺らいでいる、教育業界こそが「コンテンツ」を今最も必要としているのだと作山様とお話をしていく中で強く感じ取ることができました。

 

―大学機関ではどのようなマーケティング施策を実施しているのでしょうか。

 

作山氏:まず本学の場合、大前提として「通学課程」と「通信課程」ではターゲット層が大きく異なります。前者は高校生であり、後者は主に社会人です。

 

「通学課程」を希望する高校生の大半は今やほぼ例外なくオープンキャンパスに参加する時代です。高校の進路指導でオープンキャンパスへの参加を積極的に働きかけていることもあり、どの大学でもオープンキャンパスを年に何度も開催していたのですが、コロナ禍でこれがすべてできなくなりました。このように今まで学生に対してオフライン上でナーチャリング施策として実施していたコミュニケーションをいかに今後大学としてデジタル上で転換していけるかが急速に求められています。

 

一方の「通信教育課程」への入学希望者は幅広い年代層で、キャリアチェンジを考えている社会人の方から、定年後のご年配層の方まで多種多様です。コロナ禍以前から、本課程の特性上WEB上でのコミュニケーションを重視してきたこともあり、様々なCRMツールを導入した上で、メール配信やオウンドメディアの個別最適化にも先んじて取り組んでいました。

 

―広告施策についてはいかがですか。

 

これまで年間を通して大きな予算を特にWEB広告に対して投じていました。ただ、WEB広告は打てば打つほど「ユーザーから嫌われる」という印象はぬぐい切れません。

 

運用型広告には「効率の良い広告クリエイティブが自動的に選ばれる」という特徴がありますが、逆に言えば「今ならお買い得」「豪華プレゼントを提供」といった表層的な内容ばかりが高く評価されやすいのではないでしょうか。このような仕組みの中では、広告を通じて“学びの本質”を伝えることなど到底できない。だからこそオウンドメディアを最大限に活用しながらコンテンツコミュニケーションを強化していきたいと思っています。

 

嶋添氏:おっしゃる通り大きな括りとして、マーケティングという観点からみるとWEB広告の大部分が顧客を“刈り取る”ことばかりに目が行きがちです。車や保険サービスと同じく検討商材である教育サービスは特にカスタマージャーニー自体が長く、刈り取りを目的としたコミュニケーションだけでは、入学検討者や学生さん達の気持ちに寄り添うことは到底難しく、“ロングエンゲージメント”を積み上げていくことはできません。だからこそオウンドメディアなどを通じたコンテンツを起点にした長期的なマーケティング施策が求められるということを痛感しています。

 

「数値化」できないことはやらない

 

―京都芸術大学がTRENDEMONを導入するまでの経緯についてお聞かせください。

 

作山氏:本学がマーケティング施策を実施する上で重視していることが3点あります。

 

  1. 「計測検証できないことはしない 」
  2. 「“Fail fast”-どんどん失敗する」
  3. 「なんでもかんでも自分が実行しようとしない」

 

1.については、施策ごとにKPIを設けて、その達成ぶりを数値的に評価できることが重要です。各施策の良し悪しを感覚だけで捉えたところで何の役にも立ちません。

 

2.は、大きなホームランを狙うのではなく、仮説を立てた上で小さく失敗を繰り返し、学習の機会を得るという意味です。

 

3.は主に自動化機能の活用です。例えば広告やCRMにおけるターゲティングやタイミングの調整などのように、自動化できることは機械に任せ、人間は人間にしかできないクリエイティブ領域に集中すべきだと考えます。

 

コンテンツマーケティング関連では様々なサービスが提供されていますが、その中でもTRENDEMONはこれら3つの観点を満たしているツールであると判断しました。オウンドメディア上に公開された各コンテンツをジャーニー上で数値的に評価し、またその評価を踏まえ、レコメンデーションのPDCAを回すという一連の作業が自動化されているからです。

 

―オウンドメディアの計測ではこれまでGoogle Analytics(GA)が一般的には広く活用されてきましたが、その点はいかがでしょうか。

 

作山:GAも当然併用しているのですが、違いでいえば例えば、TRENDEMONではPVだけではなくコンテンツのボリュームによって動的に滞在時間やスクロール率を加味し、読了率を精緻に計測しています。当たり前のことですが、記事はきちんと読まれて初めて意味を持つもの。読了率は非常に重要です。

 

そして、もっとも大きな違いは「アトリビューション」だと思います。コンバージョンについては、GAではラストセッションを主な分析対象としています。。学生募集を担当していたころはそのような短期的なものでも良かったのですが、今春から広報・PR部門に異動したことで、以前から課題に感じていた中期的なコンテンツマーケティングの必要性がより顕在化してきました。とりわけ顧客育成を目的としたコンテンツ施策となると、長期間のジャーニー計測テクノロジーを持つ計測ツールが必要になります。この問題意識とTRENDEMONのソリューションがちょうど合致しました。

 

※TRENDEMONによって可視化できるジャーニー範囲イメージ

 

嶋添氏:コロナ禍以前はコンテンツの価値を企業体として証明することがそれほど強く求められていなかったと思います。広告最適化だけにリソースを投じた方が短期的にはROIを改善しやすく、カスタマージャーニー全体を把握する必要性が高くありませんでした。ただ現在のようにオンラインコミュニケーションへの注力度が高まるにつれ、コンテンツへの投資は今後も加速していきます。その結果、弊社のクライアントでもある米国のウォルマート社を始めとする大手グローバル企業では既にコンテンツの費用対効果を可視化することは当たり前になってきており、その上でどのコンテンツを優先的に企画投資するのかを選定しています。このトレンドは国内でも徐々にではありますが、広まってきていると感じます。

 

またITPやCookieの制限などに見られるように、今後ユーザーデータの取得がより一層困難になっていく状況に対して、従来の計測ツールだけでは対応できない部分を補完する役割としてTRENDEMONを皆様にご利用を頂くケースも増えてきています。

 

コンテンツの自動パーソナライズ

 

―京都芸術大学におけるTRENDEMONの具体的なご活用法をお聞かせください。

 

作山氏:計測以外でいうと、Personalizationというレコメンド機能を活用しています。以前は何かコンテンツを一つ公開すると、公開時にパッと読まれる以外は閲覧数は少なく、眠ったコンテンツになってしまっていました。それが、Personalizationによるレコメンド機能によって過去に作成したパフォーマンスの良いコンテンツが、ユーザーごとにパーソナライズされた形でレコメンドできるようになったのです。それも自動的に。

 

※記事下に表示された「TRENDEMONによるおすすめのブログ記事」

また、コンテンツ制作という観点からもTRENDEMONのデータを通してどのようなコンテンツがジャーニー上のどの場所で貢献しているのかを把握することで、より精度の高いコンテンツを作れるようにしていきたいと思っています。

 

ただ、コンテンツマーケティング業務に携わる人であれば誰しも、具体的に読者層を想定し、ものすごく丁寧に時間をかけて制作したコンテンツが全く読まれなかったり、もしくは気が赴くままに書いた記事が意外と評判を集めたりといった経験を持っているのではないでしょうか。

 

だからこそ本学では、データ分析に過度に縛られるのではなく、「とりあえず気軽にコンテンツを投下し、ユーザーの反応を見てみよう」という方針も持ち合わせています。その上で、それぞれの作成したコンテンツが結果的に「ランディング(認知)」「ナーチャリング(興味関心)」「コンバージョン(決断)」のどのポジションに貢献しているかを把握することが重要です。これら一連の流れを想定していなければ、既に顕在化したニーズに対してのみ刺さるような情報を提供するしか術がなくなります。それでは刈り取り型の広告施策と変わらず、顧客育成につながりません。

 

嶋添氏:作山様のおっしゃる通り、全体のジャーニーを意識せずCVに近いコンテンツばかりを狙って記事制作をすると、どうしてもコンテンツの企画の広がりに限界があったり、実際に読者からすると、読み応えのないものになってしまいがちです。京都芸術大学様のコンテンツの中で個人的にも好きなコンテンツがありまして、京都ならではのローカル食文化や自然について書かれたコンテンツがあるのですが、一見すると資料請求などのCVに関連する要素は全く入っていないので、あまりCVに貢献していないように思われますが、実は資料請求者の多くがジャーニー上の入り口やナーチャリング部分でこのようなコンテンツを多く読んでいたということが明らかになりました。これは従来の計測ツールよりも長期間のジャーニーを可視化することができるからこそ得られたコンテンツインサイトであると思っております。

 

出典:瓜生通信 (https://uryu-tsushin.kyoto-art.ac.jp/)

 

―その他分析業務にはどのように役立てていますか。

 

作山氏:ニュースリリースやSNSを含めた広報・PR業務を少人数で担っているので、正直なところ、オウンドメディアの分析にかけられる時間はそう多くありません。その点TRENDEMONのダッシュボードはすでに集計されたデータがインサイト化された状態で出ていますので、これをざっと見るだけでコンテンツのパフォーマンスを把握することができます。

 

※TRENDEMONのダッシュボードサンプル画像

 

また、分析に時間をかけすぎると、それに反比例するように創造性が発揮されません。ざっとした分析を通してある程度の仮説を出したら、まずはアウトプットすることを優先すべきです。TRENDEMONを導入したのは、私のような素人でも一目見ただけで状況を把握することができるからです。データ編集及び分析業務ではなく、コンテンツ制作にこそ人手をかけたいと考えています。

 

嶋添氏:当社として、ツール単体のユーザービリティについてはもちろんまだまだ多くの改善の余地がありますが、一般的なアトリビューション分析ツールと比較しても誰が見ても分かりやすいダッシュボード設計を心がけていると共に、海外のツールベンダーでは珍しく、日本のお客様から頂いたリクエストをもとに機能ローカライズ開発も海外市場と同水準のプライオリティで高速で実施しています。またコンテンツマーケティングのご担当者様は常に多忙な状態であり、コンテンツ制作で精いっぱいで、分析する時間がないのが現状であると思います。そこで当社では月に一度のレポーティングやシステム設定を含めた人的な支援も合わせて提供しています。

 

リーチのパーソナライズ機能も強化

 

―TRENDEMONの機能で最新のアップデートがあればお聞かせください。

 

嶋添氏:間もなくダッシュボードのUIが大きく刷新される予定です。またSalesforceのPardotなどのMAツールと連携させることで顧客リストや弊社のジャーニーデータをかけあわせた形でより精度の高いリーチ施策が可能となります。例えば業種やスコアリスト情報だけではなく、コンテンツの閲覧履歴に基づいたお勧め記事をパーソナライズされた形でメール配信することも可能になります。この取り組みではメールの開封率が以前の数倍以上になったと、驚異的な成果もお客様から頂いており、オウンドメディアの中だけでなく、リーチ手段のパーソナライズ化も今後強化していきます。

 

※外部ツールとの連携した場合のパーソナライズイメージ

 

―最後にお二方の今後の活動の展望についてお聞かせください。

 

作山氏:広告施策は最適化が進んだことで既にコモディティ化しました。中期的な施策を反映できるオウンドメディアであれば、独自のブランド価値を打ち出すことができます。ただし、ブランド価値をどれだけきちんと伝えることができたかを判断するには、ナーチャリング段階を適切に評価する枠組みを整備しなければなりません。従来のツールテクノロジーでは対応していなかった領域である以上、TRENDEMONのような補完的なツールを使いながら今後もコンテンツ施策に取り組んでいきたいと思います。

 

嶋添氏:これまでコンテンツはROIで可視化しづらい領域であるが故に、そのバリューが軽んじられてきた側面がありますが、広告が嫌悪されている時代の中で原始的ではありますが、“コンテンツ”こそ企業が生活者の気持ちに共鳴を呼び起こすことができる、残された数少ない強力なコミュニケーション方法であると思っております。

 

微力ではありますが、コンテンツの持つポテンシャル、そしてコンテンツを日々一つ一つ「想い」を込めて制作されているご担当者様の努力がこれまで以上に適正かつ、最大限評価されるように弊社としてもツールテクノロジーのアップデートを日々行ってまいりたいと思います。

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長野 雅俊

ExchangeWireJAPAN 副編集長
ウェストミンスター大学大学院ジャーナリズム学科修士課程修了。 ロンドンを拠点とする在欧邦人向けメディアの編集長を経て、2016年に調査・コンサルティング会社シード・プランニングに入社。 日本や東南アジアを中心としたデジタル広告市場の調査などを担当している。