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iOS 14.5これまでの動向分析

プライバシー制限が課されたiOS14.5をめぐって、アドテク業界では様々な議論が交わされてきた。本稿では、モバイル広告プラットフォームを運営するInMobi Japanのカントリーヘッドである井料武志氏が、iOS14.5のリリースから約6カ月が経過した現時点での影響をデータに基づき振り返る。(Sponsored & Organized by TrainTracks)

 

Appleは2021年4月26日にiOS 14.5をリリースしました。iOS 14.5には、ATT(App Tracking Transparency/アプリのトラッキングの透明性)など、ユーザーのプライバシーに関する大幅なアップデートが含まれていました。これにより、ユーザーは自身の情報が含まれるIDFA(iOS端末の広告識別子)を共有するか否かを、アプリのプロンプト表示で選択しなければならなくなりました。

 

その後、ここ数ヶ月の間に配信されたiOS 14.6と14.7を機に、多くのユーザーがOSをアップデートし、IDFAによる情報収集のオプトイン・オプトアウトを選択するようになりました。7月の時点で、InMobi DSPが入札した全トラフィックの55%にはIDFAがありませんでした。

 

 

広告主は、IDFAがなければ、測定やアトリビューションの標準モデルが機能しないことをかねてから認識しているため、SKAdNetwork(SKAN)の採用へと動いています。SKANは、プライバシーに配慮したメカニズムで動作するAppleのアトリビューションソリューションです。すべてのユーザーに対応していますが、粒度が限られてきます。InMobiは、SKANへの移行ができるだけ円滑に行われるよう、エコシステム内のパートナー企業と連携して取り組んでいます。

 

ところで、このSKANは現段階でどの程度、普及しているのでしょうか?7月のSKAN在庫のビッドリクエストは85%を超えていました。これは、InMobi DSPがパブリッシャーのパートナーから受け取っているSKAN在庫の割合です。

 

SKAN活用の実績

InMobi DSPは、広告主がSKANでキャンペーンを拡充する際に必要なあらゆるサポートを提供しています。

 

IDFAを使用しない場合でも、7月には、世界のSKANを使用している36社の広告主のアプリインストール数が総じて52倍伸びました。

InMobi DSPは、様々なバージョンのSKANに対応しており、広告主がキャンペーンを拡充する際の適切なソリューションを提供してきました。詳しくは、こちらの事例(英語)を確認してください。動画ベースの大手ソーシャルメディアプラットフォームをInMobiが支援し、iOS 14.5以降のバージョンの端末でのアプリインストール数が、1日あたり6倍の伸びとなった取り組みを紹介しています。また、こちらの事例(英語)では先ほどとは異なる大手ソーシャルメディアプラットフォームが、ATTリリース後にApple端末での1日あたりのアプリインストール数が13倍に増加した取り組みを紹介しています。

InMobi DSPは、SKANバージョン2.0よりもバージョン2.2で、アプリのインストールをより一層促進することができました。その大きな要因は、AppleがSKAN 2.2で実装したビュースルーアトリビューションにあります。

 

CPIとIPMの動向

SKANを使用しても、以前のモバイル測定プラットフォーム(MMP)に比べると、ユーザーレベルのデータは減り、最適化の粒度は粗くなります。では、InMobi DSPはどのようにして、広告主のCPI(インストールあたりのコスト)やIPM(1,000インプレッションあたりのインストール数)の目標を達成させているのでしょうか?InMobiが各地域や様々な業種で達成した最新の実績を示した次のデータを見てください。

注:調査されるキャンペーンの規模や期間によって数値が変わるため、高い数値と思える広告主カテゴリーがあります。InMobiは、今後も常に動向を観察し、最新の結果をお知らせいたします。

なぜ、ほとんどの広告主カテゴリーで、CPIの上昇がみられるのでしょうか?これは、リアルタイムのターゲティングやアトリビューションに関する情報がないことが原因です。ユーザーレベルでの最適化ができないため、UA(ユーザー獲得)広告主の多くは、目標を達成するために、より多数のユーザーにより多くの広告を表示する必要があり、それがCPIを上昇させることになります。

 

この例外となるのが、あるEコマースのキャンペーンです。このキャンペーンでは、特定の地域でのみキャンペーンを実施しました。ターゲットとしたアプリが人気を博し、優れたSKANトラフィック能力を備えていたため、大きな成果が上がりました。

 

InMobi DSPをはじめとした多くのDSPがSKANを使用してキャンペーンを実施するようになりましたが、InMobiはキャンペーンIDを用いた最適化といった形で機能を向上させています。IPMやCPIは間もなく、SKAN普及前のレベルに戻るとみています。このように、iOSでの大規模なインストールは可能で、InMobiがそれをサポートします。

 

InMobi DSPがAppleによる変更にどのように対応しているか、また、IDFA取得のオプトイン化以降の状況下で広告主のお客様のユーザー獲得目標の達成をどのようにサポートしているかについては、InMobiのモバイルマーケティングの担当者(InMobi-Japan@inmobi.com)までお問い合わせください。さらに詳しくご説明いたします。

ABOUT 井料 武志

井料 武志

InMobi Japan カントリーヘッド
関西学院大学卒。産経新聞社を経てAll About のスタートアップに参加、IPOに貢献。楽天で国内の広告事業の成長をけん引した後、国際広告部長としてシンガポールに移り、海外広告ビジネスの立ち上げを担う。その後、Appier日本法人やMobvista日本法人の設立と事業責任者を経験した後、2020年11月InMobi Japanのカントリーヘッドに就任。InMobiは2007年にインドのバンガロールで設立され、2010年に日本進出。世界最大級のモバイル広告プラットフォーム提供企業として、20カ国で1500人以上の従業員を擁する。