デジタルメディアのエコシステムに寄生するフェイクニュースへの対策 |WireColumn

デジタルメディアは、ネット上でのヘイトスピーチ同様、トラブルを招くフェイクニュースに関する厳しい問題に直面しています。当然のことながら、広告主はヘイトスピーチに関連するコンテンツから迅速に自社ブランドを遠ざけてきました。それは、正しい判断です。しかし、ネット上のオーディエンスにあまり響かず、また時には危険でもあるフェイクニュースは、広告主が対処するにあたり、ヘイトスピーチより新しく、微妙な問題となります。

残念ながら、選挙の際のヘイトスピーチおよびフェイクニュースに関する報道記事は広告主に混乱を生じさせます。広告主がフェイクニュースとヘイトスピーチを混同していることが多いです。確かにフェイクニュースもヘイトスピーチもデジタルメディアのエコシステムにはこびる弊害です。しかし、両者は同一のものではなく、それぞれ明確に異なる脅威であり、異なる対策が必要となります。

ネット上のヘイトスピーチを抑制する

アメリカ法曹協会によると、ヘイトスピーチは、人種、宗教、国籍、性的指向、身体障害、その他の特徴に基づく特定のグループを挑発したり、脅迫または侮辱したりする言動のことを指します。ヘイトスピーチの定義には法的な見解が必要ですが、それと対峙しようとするのは当然のことです。

まず、すべての企業は、ヘイトスピーチに対して一切容認しない姿勢を持つ必要があります。実際にヘイトスピーチを禁ずるには、SSPパートナーと緊密に連携して、ヘイトスピーチがあるウェブサイトを特定し、直ちにブロックすることです。ご想像の通り、それはリソースと監視を必要とする継続的なプロセスであるため、広告主は、DSPパートナーがヘイトスピーチをどの程度ブロックできるのかを確認する必要があります。さらに、広告主はヘイトスピーチのフィルタリングを行える入札ベンダー・ソリューションを採用することで、予防的措置を取ることもできます。そしてヘイトスピーチがフィルタをすり抜ける事例を記録し、対峙するためにデジタルツールやソーシャルメディアがますます利用されるなかで、広告主は価値あるタイムリーな対応を消費者に届けることが重要となります。

政治へのヘイトスピーチが広がるにつれ伴う新たな課題

従来、ヘイトスピーチは人種や宗教に重点が置かれてきましたが、政治的な領域にますます進み、広告主とそのパートナーは対策を余儀なくされています。デジタルメディアのエコシステム内における他の企業や広告主と同様に、The Trade Deskは保守的なブログや類似したものになりうるウェブサイトを禁止しましたが、結果、それらはヘイトスピーチ用のプラットフォームとなってしましました。これは、The Trade Deskがヘイトスピーチを一切容認しない確固たる姿勢に沿ったものですが、この判断自体が政治的な意味合いがふくまれることを押さえておくことが重要です。多くの西側諸国でのポピュリスト運動の台頭に起因するものもありますが、ヘイトスピーチを禁止することが政治的または議論の余地があるかについて、分裂した政党は完全には説明できていません。何が起こっているのか、そしてどのように対応すべきかを把握するには、いわゆる”ポスト真実”の時代におけるインターネット文化に対する理解を深める必要があります。そうすることで、フェイクニュースの大きな脅威に立ち向えるのです。

フェイクニュースの脅威と対処方法

ヘイトスピーチとは異なり、フェイクニュースは広告主にとって定義上の問題があります。 IAB Randall Rothenbergが指摘したように、フェイクニュースとは、実際には新たなクリックベイトですが、それが存在していられるのは支持する広告があるからです。

フェイクニュースが、ヘイトスピーチを目立たせたり、助長したりする事例がいくつかあります。それらには古いルールが適用されますが、フェイクニュースとヘイトスピーチとの関連がない場合はどうでしょうか?よく引用されているフェィクニュースの一例として、ローマ法王とトム・ハンクスが実際には支持していないのに、ドナルド・トランプを支持していると伝えられたことが挙げられます。ありえないことのように思えますが、最近の選挙ではフェイクニュースが本物のニュースを凌駕しました。この状態を放置しておくと、フェイクニュースはすべてのデジタルメディアの完全性に対して、本当に重大な影響をもたらします。メディアの価値を損なうだけでなくフェイクニュースが蔓延すると、すべてのメディアが有害になってしまいます。

では、広告主はどのようにしてフェイクニュースへの支持を回避できるのでしょうか。残念なことに、フェイクニュースを一切容認しないというポリシーには、深刻で実質的な限界があります。結局、定義できないものを禁止することは困難なのです。メディアの政治的傾向に関係なく、「ローマ法王、ドナルド・トランプを支持」といったニュースの見出しは明らかにフェイクニュースとみなされるでしょう。しかし、こういった見出しが「The Onion」に掲載されると、これは風刺となります。この違いを解析するには、ヘイトスピーチを禁止するよりもはるかに上回る編集の判断能力が必要です。

すべての広告主が問うべきは、フェイクニュースを回避する方法ではありません。広告費用の100%がメディアの完全性が持つ、より広範な価値を反映するコンテンツといかにして一致させるかです。結局のところ、フェイクニュースを含むクリックベイトの主な前提は、消費者を欺く意図があるということです。時にその巧妙さに悪意がありますが、中には無害のものもあります。しかし、どの広告主も自社のブランドとオーディエンスを欺くコンテンツを関連づけることで利益を得られないため、コンテンツ制作者の最終的な目的は的外れなものとなります。

コンテンツから利益を得るには、広告主やベンダー企業は編集段階で判断を下さなければなりません。ヘイトスピーチフィルタが有効にならないように、判断する必要があります。既に、The Trade Deskは事実を曲げて伝えているコンテンツがあるサイトをブロックしました。そのブロックリストは今後拡大すると予想されており、一方で、フェイクニュースの拡散を抑制する入札ベンダー・ソリューションが登場しています。しかし最終的には、これはブラックリストではなく、ホワイトリストの問題となります。広告主は、自社のメッセージを伝えるために、欺瞞や嫌悪感のない上質なメディアを必要としています。健全なメディアのエコシステムへの投資に失敗すると、ヘイトスピーチやフェイクニュースは企業全体を衰退させます。広告主はオーディエンスに向けた広告枠を取引によって購入しますが、その費用でコンテンツをサポートするため、それらが自社ブランドにふさわしいのか自問する必要があります。

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ABOUT アンドリュー・ アーノルド

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The Trade Desk 市場品質管理部門シニアディレクター

インベントリ・パートナーシップのディレクターとしてSSPおよび広告枠取引に従事したのち、 全インベントリ・広告主に対する品質管理・戦略の監督責任者を担当。 過去には、Connexity、アカマイ・テクノロジーズ、トライバル・フュージョン、コンバサント・メディア(前バリュークリック)をはじめとする様々な企業で、アドテク関連事業の管理職を経験。