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アプリ広告主が、データクリーンルームを必要とする背景とは?![インタビュー]

ユーザープライバシー保護に関する取り組みがトレンドとなって以降、デジタル広告業界においてもデータクリーンルームという言葉がしばしば使われるようになった。

アプリ広告業界においては、AppsFlyerが現在エバンジェリストとなり、アプリマーケターにその必要性、有効性を提唱している。

今後データクリーンルームが、広告主であるアプリ事業者と広告メディアに必要とされるその理由と背景について、お話を伺った。

(Sponsored by AppsFlyer)

プライバシー保護のもとで実現する広告効果計測

-自己紹介をお願いします

AppsFlyer Japan株式会社の田口真言と申します。システムエンジニアとして11年、IBMに在籍をしておりました。データベースや、データウェアハウス、ETLやデータガバナンス関連のデータプラットフォーム製品が主な専門領域でした。2020年にAppsFlyerに参画し、カスタマーサクセスマネージャーとして既存のお客様向けのサポートサービスを提供しておりました。直近半年は、ソリューションアーキテクトとして新しくAppsFlyerを利用されるお客様への提案および導入支援や、データクリーンルームのご利用いただくうえでの技術面でサポートする役割を担っています。

 

―データクリーンルームとはどのようなものなのかについて、改めてお聞かせください

一般的にデータクリーンルームは、異なる当事者間がデータを安全に共有し、そのデータをいつ、どこで、どのように使用できるかを完全に制御して分析に使うことができる場であり、そのデータを直接持ち出すことはできません。
それによって、企業は中立的で安全な場において、ファーストパーティのデータを共同活用できます。そのため、データクリーンルームを「データ のスイス」と呼ぶ人もいます。

データクリーンルームを活用することで、アプリ事業者は、消費者のプライバシーを侵害することなく、規制に準拠した空間で、必要なデータにアクセスし、分析できるようになるのです。ユーザーレベルのデータはデータクリーンルームに入りますが、データクリーンルームの外に出力する際には集計されたデータのみになります。

 

―アプリ事業者がデータクリーンルームを必要とする背景についてお聞かせ下さい。

これまでは、AppsFlyerのようなモバイル計測パートナー(MMP)を通じて、アプリ事業者はメディア側に対して、個々のユーザーレベルのアプリインストールやアプリ内行動の情報を送っていました。メディアはそのデータを機械学習することにより広告配信の最適化を行ってきました。また、メディア側も個々のユーザーがどの広告に接触したのかの情報をアプリ事業者側に連携していました。

ユーザープライバシーの懸念から、アプリ事業者からメディア、メディアからアプリ事業者(広告主)の双方向で、ユーザーレベルのデータ連携を制限したいというニーズが出てきており、実際に制限をはじめたところも出てきています。

そこで、アプリ事業者とメディアとの中間の立ち位置にいる我々のようなMMPが、データクリーンルームをご用意して使っていただくことが、アプリ事業者とメディア双方に取ってメリットがあると考え、サービスの開発・提供を開始しました。

アプリ事業者は、もともとユーザーの詳細な情報をメディア側に送りたいということではなく、広告配信最適化を図るためのソースとなる情報を送っていたに過ぎません。メディア側からしても同様に、どの広告キャンペーンの効果が高かったかということを、アプリ事業者側にフィードバックしたいだけです。
詳細な情報を双方で送り合わずにその目的を実現するためのツールとして、データクリーンルームに対するニーズが生まれてきています。

ユーザープライバシーの保護をもっと強化していくべきであるという業界の流れを踏まえ、それに応じたソリューションが必要になるということが、提供を開始することの契機となりました。

メディアによるデータ制御の環境下でも、従来の効果計測環境を提供

-貴社がデータクリーンルームを提供されるに至った背景についてお聞かせください。

GoogleやAmazon、Metaなど大手の広告プラットフォームはデータクリーンルームの提供を行っておりますが、それぞれ自社のデータが使える分析環境を用意し、そこにアプリ事業者のデータを入れて分析をすることが出来るという環境の提供に、その範囲を限定しています。したがって、それぞれ各媒体でしか使えないものとなっています。

また、そのほかSnowflake、Habu、InfoSumのように、データクリーンルームのインフラを用意することが出来るサービスを提供している事業者もいます。ただし、データそのものは広告主側が自身でメディア側との調整も行ない、データクリーンルームに集めることが求められます。

このように、メディアが提供するものと、インフラとして提供されているものがあるのが現状ですが、当社のデータクリーンルームはこの中間に位置づけられます。もともと当社はアプリ事業者やメディアからすでにユーザーレベルのデータをいただいている立ち位置です。データクリーンルームを提供することにより、これまでのように広告効果計測を行ないながら、ユーザープライバシーをさらに強化するというバリューを出しやすいということで、プロダクトを作りました。

MMP事業者において、データクリーンルームを提供し、普及を進めると公表しているのは、おそらくは当社のみです。

 

-グローバルでの普及の状況と、日本における現状をお聞かせください。また国内で普及のボトルネックになることがあればお聞かせください

アプリ広告業界においては、グローバルでもまだまだ普及の途上にあり、現在当社の既存のお客様に対して展開を進めているという状況です。日本でも一部の当社とのお取引のある事業者様が利用を始めようとしている段階です。

ボトルネックということではないですが、モバイルアプリ中心のエコシステムが出来上がっているという点においては、中国・インドなどが進んでいます。一方日本はウェブがまだまだ優位というような、市場環境の違いがあります。
このことから、中国・インドなどではアプリ事業者の方々も我々のツールを高度にご活用いただいていることが多いのですが、そのようなお客様がデータクリーンルームをいち早くご活用いただいています。

海外でご活用いただいているお客様の業種としては、やはりモバイルアプリに特化しているゲーム業界の事業者が比較的多いという印象です。

 

-実際にアプリ事業者がこれを活用するにはどのようにするにはどのようにしたらいいのでしょうか

AppsFlyerのデータクリーンルームは、AppsFlyerの利用が前提となります。AppsFlyerは、アプリでのアトリビューション計測を主軸とするプロダクトです。ユーザープライバシーに配慮しながらも、アプリを拡大させたい事業者にはぜひご検討いただきたいです。まずは是非、AppsFlyerの利用から始めていただければと考えております。

 

-この領域において、貴社はアプリ広告主をどのようにサポートされていくのでしょうか。

データクリーンルームをご活用いただくことで、アプリ事業者(広告主)、メディア双方にとって、ユーザープライバシーを重視しながら、しっかり広告効果の計測が行えるような環境が整います。AppsFlyerはその環境を最大限に活かすお手伝いをしていきたいと考えております。

日本国内においては、複数の大手アプリ事業者様から関心を寄せていただいており、現在そうした企業様に提案をはじめております。また、先進事例として導入を進めている企業様もいらっしゃいます。

このモメンタムを広げて、多くのアプリ事業者様にプライバシーファースト環境のメリットを享受いただけたらと願っております。

 

AppsFlyerデータクリーンルームについてはこちら

ABOUT 野下 智之

野下 智之

ExchangeWire Japan 編集長   慶応義塾大学経済学部卒。 外資系消費財メーカーを経て、2006年に調査・コンサルティング会社シード・プランニングに入社。 国内外のインターネット広告業界をはじめとするデジタル領域の市場・サービスの調査研究を担当し、関連する調査レポートを多数企画・発刊。 2016年4月にデジタル領域を対象とする市場・サービス評価をおこなう調査会社 株式会社デジタルインファクトを設立。 2021年1月に、行政DXをテーマにしたWeb情報媒体「デジタル行政」の立ち上げをリード。