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Teads、APAC地域での事業戦略を聞く―Teads APAC CEO Christian Guinot氏[インタビュー]

 

アドテクノロジーの領域に、常に新しい哲学を込めたプロダクトを持ち込み、アグレッシブな成長を続けるグローバル広告プラットフォームのTeads。APAC地域での事業戦略について、同社APAC CEO Christian Guinot氏にお話を伺った。

(聞き手:ExchangeWireJAPAN 野下 智之)


―自己紹介と貴社の事業紹介をお願いいたします。

ExchangeWireの読者の皆さま、こんにちは。Teadsでアジアパシフィック地区のCEOを務めております、クリスチャン・ギノーと申します。どうぞ宜しくお願いいたします。

Teadsは、世界のプレミアムパブリッシャーと直接契約をし、美しい広告クリエイティブを記事中へ配信させていただいている企業です。

当社の最先端のテクノロジーは、近年のAdvertise Responsiblyへ通じる、個人情報保護法に根ざしたクッキーレス対応として、AI開発やデータ部門の開発に力を入れております。

昨年夏に、CookielessセルフプラットフォームTeads Ad Manager(TAM)をグローバルリリースいたしましたが、R&Dチームの日々の研鑽による技術が組み込まれており、世界中のお客様にクッキーレス配信をセルフサーブでご利用いただけるサービスに成長しました。

創業当時より、「ユーザーを尊重する」という心得のもとで誕生したinReadフォーマットは、動画や静止画を通じて、エンドツーエンドプラットフォームより配信が為されています。

Teads APACは14市場でサービスを展開し、8 か国にオフィスを構えています。Teads Japanはおよそ7年前にローンチし、APACで最も大きなマーケットとしてリードしています。

 

 

-APAC ビジネスと最新の開発について、概要やその開発背景を教えてください。

実際に私たちのビジネスは、他のオンラインマーケティング企業と同様に、インターネットの使用とメディア消費の増加により、Covid-19期間中に大幅な成長をいたしました。Teads では、具体的なビジネス成果をもたらすデジタルソリューションをクライアント様、パブリッシャー様へご提供するために、常に革新を続けています。

先述の通り、セルフサービスプラットフォーム (TAM) を継続的にアップグレードするだけでなく、Cookie を使用しないテクノロジとソリューション、二酸化炭素排出量の測定(カーボンフットプリント削減ソリューション)、アテンションの測定による最適化、米国でのCTVのローンチなど、幾つもの分野で戦略的に業界をリードしています。

製品の開発に関しては、次回のリリースでは、AI を活用した高度なパフォーマンス (ローワーファネル) ソリューションと、eコマースへのイノベーションも提供する予定でおります。

 

 

-サステナブルなソリューションとして、Teads Careを今年の5月にリリースされていますが、日本向けの最新情報がありましたらお聞かせください。

Teads Careというプロジェクトは大変ユニークな取り組みで、ブランドとNPO/NGOなどの非営利団体を結び、広告配信を通じて団体の活動を支援をするという即効性のあるチャリティーのソリューションです。

世界のメディアでも大きな反響を頂き、日本においても初の取り組みとなり、リリース後は多くのメディアにお取り上げ頂くなど反響を頂くことができました。

この Teads Care を使用してこれまでに日本でも、キャンペーンを実施しています。広告主は、無料のメディア寄付を通じて子ども支援団体をサポートし、キャンペーンは成功を収めております。この内容については今季中の発表を目指しています。

 

 

-カンヌライオンズでアテンション測定の発表されておりますが、日本での最新情報を教えてください。

年内には日本を含むAPACでアテンション測定のテストランを予定しています。来年早々に進捗状況をお見せできると考えています。

 

 

-Attentionの調査結果で、日本市場に向けて何らかのインサイトはありますか。

今回のリサーチは英国・米国を対象にTeadsのPublisher環境で実施したものになりますが、調査結果は日本市場でもご活用がいただけると考えております。TeadsとHavas Media Groupは、本年2022年6月に最新のアテンション調査「Project Trinity」をリリースし、読者が広告の配置されているコンテンツにエンゲージしている際、広告により多くの注意を払うことを調査で明らかにしました。

調査結果によると、記事はサブカテゴリページよりも600%近く、ホームページよりも160%多くアテンションを集めており、モバイル画面の中央部に配置された広告は、画面のサイドにある広告よりも25%多くアテンションが向上することも分かりました。

広告の乱立(多くの広告がコンテンツ中に配置されること)は、アテンションを弱めることも分かっています。

スポーツサイトとニュースサイトと比較した場合、スポーツサイトは1画面あたり2倍の広告を掲載しますが、広告あたりのアテンション獲得度はニュースサイトの半分になっています。

また、広告の占める割合がコンテンツの20%の場合では、ユーザーのアテンションが最適化されますが、広告の乱立が見られるコンテンツは、アテンションが抑制される結果となりました。これは、複数の広告を掲載しない広告本数が1本かつ大きな広告は、読者のアテンションを引くのに効果的であるということを示しています。

そのほか、サイトのカテゴリの比較をみてみますと、ニュース、科学、スポーツの Web サイトが最大のユーザー エンゲージメントを生み出していることも分析でわかりました。ニュースは、性別と年齢層を問わず、広告の視聴に費やされた時間で最もパフォーマンスの高いカテゴリでした。

Project Trinity は、アテンションの質が広告の成果を大きく左右することを明確に示しているはずです。

https://www.teads.com/ja/attention-research-from-havas-and-teads-released/

 

-貴社が事業展開をされる地域で、どのような業界/国がより広くビジネスを拡大していますか?またその成功例なども教えていただけますか?

Covid-19禍において、私たちは堅実に事業を行い、おかげさまですべてのマーケットで二桁成長を遂げております。経済が再開しつつある今、その成長がさらに加速しています。

ただし、この2023年は世界情勢からみてみますと、 リスクもありますため(不況、インフレ、通貨の変動など)、引き続き注意深く、ビジネスを進めていく必要があると思っております。

とはいえ、特に観光・航空業界では大きな成長の可能性が見られます。これは、Covid-19によって2年以上もの間、限られた活動を余儀なくされた、私たちの生活を思えば当然のことなのかもしれません。加えて、グローバルの状況では、テクノロジー、ラグジュアリー、各種e-コマースにも勢いが見られます。

ABOUT 野下 智之

野下 智之

ExchangeWire Japan 編集長   慶応義塾大学経済学部卒。 外資系消費財メーカーを経て、2006年に調査・コンサルティング会社シード・プランニングに入社。 国内外のインターネット広告業界をはじめとするデジタル領域の市場・サービスの調査研究を担当し、関連する調査レポートを多数企画・発刊。 2016年4月にデジタル領域を対象とする市場・サービス評価をおこなう調査会社 株式会社デジタルインファクトを設立。 2021年1月に、行政DXをテーマにしたWeb情報媒体「デジタル行政」の立ち上げをリード。