×

悩み×USPを軸に勝ち筋を見つける。利用意向度アップに繋がったKINTO×セプテーニの新たなミドル施策[インタビュー]

自動車のサブスクリプションサービスを運営している株式会社KINTOは、今年4月からお笑い芸人ZAZYを起用した6種類のYouTube広告を出稿している。ポップさや可笑しさに目を引かれるだけでなく、頭金や保険などユーザーの悩みを起点に「KINTOならこんな方法で解決できる」と強くユーザーに訴求する内容となっている。

 

これまで認知や刈り取り領域では成果を出していたものの、「従来のやり方では頭打ちになってしまった」と語る同社はなぜこのYouTube広告に至ったのか。

 

ミドル施策策定までの流れから、マクロミルが提供するデジタルログリサーチAccessMill(アクセスミル)※を使った配信後の評価指標について、株式会社KINTO マーケティング企画部 主幹 小池 瑛之氏、Septeni Japan株式会社 第一営業本部 第一営業部 上野 佑氏に話を伺った。

※ マクロミルが構築したパネルを基盤に、パネルから許諾を得たデジタルログを活用できるサービス。Web媒体にタグを埋め込むことにより、リーチ状況を属性別に把握することが可能。

 

(聞き手:ExchangeWireJAPAN 渡辺 龍)

(Sponsored by Septeni Japan)

 

 

 

ミドル層への訴求が課題

―自己紹介をお願いします

小池氏:株式会社KINTOのマーケティング企画部 小池瑛之と申します。主にデジタルマーケティング領域を統括しており、日々の業務としては宣伝活動の戦略立案、施策の構築・運用・管理を行っております。

 

上野氏:上野 佑と申します。Septeni Japan株式会社の第一営業本部でデジタルプロモーション全般の支援を行っております。去年の11月からKINTO様に携わっており、マーケティング領域全般のプランニングを電通×セプテーニの協業チームで行っています。

 

―今回のプロモーション内容の概要をお願いします

上野氏:YouTubeを活用した動画広告の配信です。まず自動車のサブスクリプションサービスにおける顧客の悩みを洗い出し、ユーザーニーズ視点でKINTO様のUSP(Unique Selling Proposition)に沿った動画を6パターン作成しました。車に関する悩みを楽しく理解してもらうためにお笑い芸人のZAZYさんを起用しています。

 

―そもそもKINTOではこれまでどのような課題を抱えていたのでしょうか

小池氏:当社は立ち上がってから3年ほど経つのですが、初めはまず社名を知ってもらうことを目的としたテレビCMとサイト訪問者に申し込み完了までを促すための刈り取りの部分で改善を重ねていたのですが、社名を知ってもらったあとKINTOはどういったサービスを提供しているのか、こういうサービスだったら検討したい、といった部分の醸成を考えなくてはいけないということでミドル層に焦点を当てるようになりました。

そういった課題をどう解決していくかを軸に、どのような媒体を使って、どのようなリーチをしていけばいいのかを電通×セプテーニ協業チームに相談しながら進めていきました。

 

―これまではミドル向けにどのような施策を行っていたのでしょうか

小池氏:初めはKINTOの価格の強みを訴求する方向性で、ディスプレイのバナー広告などを出稿していました。しかし、それだとKINTOのメリットがなかなか伝わりづらい部分もありました。車は維持費や車検、オイル交換のメンテナンスなど多くの費用がかかってくるのですが、そういったことが全てコミコミの価格だということが浸透しづらかったこともあり、切り口を変えなくてはならないと思いました。

 

 

ユーザーの悩みを切り口に利用意向を上昇させる

―KINTOの課題を受けてセプテーニではどのような施策を練っていったのでしょうか

上野氏:元々YouTubeを活用した動画を作ろうという話は2021年の11月頃からあがっていました。お客様にメッセージを伝える・教えるという切り口を考えると学校・ラジオ・紙芝居というシーンがいいのではということに。その中で紙芝居のシーンを採用するなら紙芝居芸人のZAZYさんを起用すると面白そうだという話になったのです。その後、KINTO様の課題を背景に、タイプ別にユーザーのお悩みを想定し、それに答えるような動画を作って訴求していく方向でまとまりました。

こういった動画だとユーザー自身のお悩みの「あるある」が自分ごととして伝わるのではないか、ひいては「こういう解決法があるんだ」と検討率が上がるのではないかと考えました。

 

また、配信後の評価をどうするかも重要な点でした。

今回から、デジタルログリサーチツールのAccessMillのタグを活用して、どの媒体で利用意向が上げられるのかという媒体を横断した評価指標を取り入れています。また、動画別でもどの動画が利用意向に繋がっているかを併せて分析しています。

具体的には4月から配信を行い、その後6月まで配信した結果を分析していました。当初はYouTubeをはじめ各媒体で一律の出稿量を保っていたのですが、時間が経つごとにある程度の差が出はじめました。本施策ではYouTubeの効率が良かったため9月からはYouTubeに予算をアロケーションしました。また、6つの動画の中でも、特に効果が出ている4タイプに絞って配信するといったことも行いました。

 

小池氏:以前から一律の媒体横断の評価をしたいと思っていたので、それが今回やっと実現しました。これまでは各プラットフォームのBLS(Brand Lift Survey)という評価で見ていたのですが、AccessMillを導入することで各媒体別のアップリフトが横断で可視化できるようになったので、そこは非常に大きいです。

どのプラットフォームにどの程度の予算をかけるのかのプロモーションプランも立てやすく、来期以降の戦略を練る際にも重要な指標となっています。

 

―配信後の実際の成果はどのようなものだったのでしょうか

小池氏:想像以上に良かったというのが率直な感想です。去年までは15秒ほどの単尺動画をYouTubeで配信していたのですが、なかなか手応えがありませんでした。今回は振り返りの設計がちゃんと出来ていたので、数値が上がってきたことも確認できていますし、社外の人と話すときも『あの広告見たよ、面白いね。KINTOってああいうサービスなんだね。』という声を頂く事が増えてきました。

今後も継続してこの分野への投資は続けていきたいと思っています。

 

上野氏:当初からAccessMillでどれくらい上がるのかの予測は立てていましたが、それ以上の数字が出ました。我々のシミュレーション以上の結果が得られたことには満足しています。

 

 

AccessMill×KINTOのデータを用いた新たな取り組み

―設計と評価にも時間をかけられたとのことですが

上野氏:おっしゃる通り、そもそもAccessMillでどういう質問を取っていくかという設計の部分には時間を費やしました。設問によって結果や得られる効果が異なってくるので、ここはKINTO様と入念に作っていった部分です。

 

小池氏:「ミドル領域」と一言で言ってしまうと簡単に聞こえますが、そこのスコアを可視化するにはどうすればいいのか、初めは手探りの状態でした。BLSだけで見ていればいいのか、検索数のアップリフト幅も一緒に見る方がいいのか、様々な視点が考えられる中で決まった答えはなかったのですが、色々と試した結果AccessMillに繋がりました。

 

上野氏:AccessMillの調査は、広告非接触者に対して広告接触者の方が、サービス利用意向度がどれくらい上がっているかをパーセンテージで出しているのですが、それをKINTO様の棄却者※調査も用いながら最終的な数字を取っています。そことうまく突合させ、AccessMillで上がったリフト値を、KINTO様で取られている棄却者調査のデータで置き換えたときに、どれぐらい検討者が増えたのかという部分も考えました。

※トヨタ新車購入者の中で、KINTOの利用を検討した結果棄却した人数

 

上野氏:AccessMillでの調査自体は珍しいものではないのですが、そのデータをKINTO様が取られていた棄却者調査をはじめ、AccessMillでのデータではない調査結果と突合させたというのは今回の取り組みならではだと思っています。ここまでやっている事例は社内でもなかったと思います。リフト値は見えていたのですが、その結果をもとにこの半年間でどれほど検討者が増えたのかといった、要は検討者に置き換える計算はKINTO様と時間を費やしてきました。

近年YouTubeへ出稿される企業は多いと思います。しかしKPIとして完全視聴率を設定したり、媒体から出てくるBLSで認知度が上がったのかどうかだけでは、それがどの程度サービスに対して寄与しているのか、今回でいくと利用検討者がどれくらい増えたのかどうかを算出するのは難しいです。その点を今回の取り組みの中でクリアにできたのは成果の1つだと思います。

 

―今後のお取り組みについてお聞かせください

小池氏:来期のクリエイティブについての話を進めています。今回YouTube用、TVer用など様々なパターンを試しましたが、良い点悪い点が少しずつ見えてきたので、それに沿ったクリエイティブを来年はさらに作り込んでいきたいです。そこから今まで以上の高スコアに繋がればと思います。

 

上野氏:動画ごとのアロケーションを含めて、下期はより効率的な配信ができるような設計と運用をしていきたいと思います。YouTubeの中でも最近はコネクテッドテレビへの配信ボリュームも伸びているのですが、まだ注力しきれていない部分でもあるので、そこに対しても有効な手を打っていきたいです。

 

セプテーニへのお問い合わせはこちら

https://ln.septeni.jp/XenG7B5

ABOUT 渡辺 龍

渡辺 龍

ExchangeWireJAPAN 編集担当 立教大学社会学部現代文化学科卒業。大学卒業後は物流企業にて海外拠点と連携し、顧客の輸出入サポート業務全般に従事。 その後、2021年に調査・コンサルティング会社シード・プランニングに入社。デジタル広告市場調査などを担当している。