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RTB House Japanが5周年記念パーティーを開催[ニュース]

深層学習を活用した高度なターゲティング機能を備えたDSPを運営するRTB House Japanは5月18日、都内のホテルにて、5周年記念パーティーを開催した。主催者によると、本パーティーには約200名の広告関係者が出席した。

(Sponsored by RTB House)

 

日本法人の急成長ぶりを報告

2012年にポーランドで創業したRTB Houseは、2018年に日本法人を設立。本法人の開設に合わせて日本に生活の拠点を移したヤコブ・ラタイチャックAPAC代表が冒頭の挨拶を行った。同氏は、過去5年間で、コロナ禍やAI技術の進展及びプライバシー保護の強化といった目まぐるしい環境変化を経験したと振り返った上で、新たな環境下においても高いサービス基準を維持していくとの覚悟を示した。

 

RTB House Japanのカントリー・マネージャーを務める奥内鉄治氏は、日本法人の売上が右肩上がりの成長を遂げてきたと報告。現在は社員数が44名にまで拡大し、96%の案件継続率を達成していると伝えた。

 

 

また2022年7月には「アドフラウドを含む無効トラフィックの除外」と「ブランドセーフティの確保」の2分野において、デジタル広告品質認証機構(JICDAQ)の品質認証事業者としての登録を完了。同8月には世界広告主連盟(WFA)が有害コンテンツとその広告による収益化問題の解決を目的に設立したGlobal Alliance for Responsible Media(GARM)の公式メンバーに加盟するなど、広告の品質や安全性の確保に向けての取り組みにも注力しているという。

 

Cookieターゲティングを上回る成果

RTB Houseはこれまで、深層学習を活用した高精度のリターゲティング機能を提供するDSPとしての定評を得てきた。しかしながら、サードパーティCookie利用制限の強化に伴い、今後はリターゲティング施策が実施できなくなるのではないかとの懸念がデジタルマーケティング関係者の間では広がっている。

 

この疑問に答えるべく、同社のプライベート・アドバタイジング・エコシステムチームにて、Go-To-Market戦略の責任者を務めるマテウシュ・ルミンスキー氏は、サードパーティCookieを用いない未来の技術として、Google社が開発中のプライバシーサンドボックスやProtected Audience API(旧 FLEDGE)の最新状況についての解説を行った。

 

 

Protected Audience API(旧 FLEDGE)は、広告主が保有するファーストパーティデータに基づき、ユーザーを異なる興味・関心ごとのグループに振り分けた上で、関連のデータを各ユーザーの端末上に保存し、広告のターゲティングを可能とする仕組み。個人ではなく、グループ単位でターゲティングし、またデータはサーバーには送信されないことから、ユーザーのプライバシーを保護したままで広告のパーソナライズを行うことが可能になる。

 

RTB Houseは、こうした設計の中に、プロダクトIDに基づき広告を最適化するProduct-Level Turtledoveと、価値の高いユーザーへのターゲティングを行うOutcome-Based Turtledoveという機能を組み込むことを提唱。Googleが採用したことで、今では共にProtected Audience API(旧 FLEDGE)の主要な要素の一つに位置づけられている。

 

Protected Audience API(旧 FLEDGE)は現在、実証実験の段階にある。2023年5月時点では、①従来のサードパーティCookieに依拠したFLEDGE-over-RTBを活用、②Protected Audience API(旧 FLEDGE)を導入した媒体社とヘッダービディングソリューションを通じて連携、③同APIに連携した唯一のSSPであるGoogle提供のAuthorized Buyers(旧DoubleClick Ad Exchange)を利用した場合のみ、実証実験を行うことができる。ただし、これらの枠組みだけで得られるデータ量は限定的であるため、RTB Houseは日本国内のSSPに対しても、実証実験への参画を呼び掛けている。

 

なお、ルミンスキー氏は、広告主と媒体社がそれぞれ取得したCookieを連携させる際に発生するデータロスが、Protected Audience API(旧 FLEDGE)においては起こり得ないと指摘。最適化が進めば、現状のCookieターゲティングを上回る成果を出すことができるとの展望を示した。さらにRTB Houseの取り組みが圧倒的に先行しており、同社が用いる深層学習モデルによってターゲティングの精度はさらに飛躍的に高まると強調。日本の広告関係者に対しては、将来を見据えた上で、新たな基盤作りに向けた準備の重要性を訴えた。

 

広告主によるユニークな事例紹介

パーティーの中盤では、RTB Houseと提携して実際に広告配信を行った広告主による事例発表が行われた。まずはバーガーキングを運営する株式会社ビーケージャパンホールディングスでマーケティング本部マーケティングディレクターを務める麦敏光氏と、ブランドマネジメント部シニアブランドマネージャーの野田裕太氏が登壇。RTB Houseのコンテクスチュアルターゲティング機能であるContext AIを用いて、競合他社関連の記事近くに同社の新商品であるBigBetの広告を配信したユニークな事例を紹介した。

 

 

この取り組みは、広告費に換算すると1億7000万円、8.3万のいいねを獲得し、BigBetは2023年において、同社商品の中で最高の売上を記録したという。

 

また賃貸住宅サービスを提供するビレッジハウス・マネジメント株式会社でマーケティング本部長を務めるミシェル・レドマン氏は、以前はテレビCMに広告予算の多くを割いていたが、より効果的なブランディングのためにデジタル広告媒体に予算を移行してパフォーマンスマーケティングを強化しようとしていた時期にRTB Houseとの提携が始まったと述懐。当初は他のリターゲティング事業者と広告在庫が重複する可能性や、マネージドサービスを展開するRTB Houseと取引を開始することで自社での管理を行うことができなくなることを懸念していたという。

 

 

しかしながら、実際には他のDSP配信には影響を与えずにRTB Houseの広告運用自体も好成績を収め、同社の迅速で手厚いサポートと自動最適化機能に対して信頼を置くに至ったと振り返った。

 

その後は立食形式の懇親会を開催。株式会社オンワードデジタルラボの山下哲代表取締役社長による乾杯後、RTB Houseのテクノロジーを活用して効果的な広告運用を行った広告代理店の表彰式などが行われた。

 

ABOUT 長野 雅俊

長野 雅俊

ExchangeWireJAPAN 副編集長
ウェストミンスター大学大学院ジャーナリズム学科修士課程修了。 ロンドンを拠点とする在欧邦人向けメディアの編集長を経て、2016年に調査・コンサルティング会社シード・プランニングに入社。 日本や東南アジアを中心としたデジタル広告市場の調査などを担当している。