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Distraction addiction: ポストクッキー時代の到来

ここ数年、広告業界は目まぐるしいトレンドの変化に追従し、ジェットコースターのように不安定な経済状況を乗り切る方法を模索してきました。特に、新型コロナウイルスの影響により生じた消費者の習慣の変化は大きく、広告業界における様々な変革をもたらしています。例えば、ストリーミング・サービスの爆発的な普及は、人々が自宅でコンテンツを消費する時間を増やし、コネクテッドTV(CTV)の成長を加速させました。また、メタバース、NFT、AIなどの最新テクノロジーも台頭し、それをマーケティングに活用しようとする動きも活発化しています。

(Sponsored by Ogury)

 

SafariとFirefoxではサードパーティクッキーの対応をすでに終了しており、いよいよ来年、2024年の前半にはGoogleがChromeにおける一部のクッキーの利用を無効とするなど、サードパーティクッキーの終焉が目前に迫っています。にもかかわらず、近年の目まぐるしい社会変化によって、我々はこのクッキーの終了という重要なトピック以外に翻弄されていたかもしれません。新たに2024年を迎えるにあたり、今こそ改めてクッキーレスの世界を考えてみる必要があります。

 

実際自社調査では、6割のマーケティング担当者がクッキーレス、IDレスの必要性を認知していながらも、4割はまだその代替ソリューションについてほとんど知見を得ていないと回答しています。変化の激しい現代において様々なことに注意を奪われてしまう今だからこそ、プライバシーを第一に考えたサステイナブルな代替案を真剣に模索し、これから訪れるより大きな変化に備えることに集中する必要があります。

 

現状の課題を捉えて今、何をすべきか?

広告業界はサードパーティクッキーの廃止がもたらす課題の大きさを認識しているものの、度重なる計画延期によるものなのか、少し対応が後手に回っている印象があります。実は現時点でも様々な影響が出ていて、プライバシー規制、SafariとFirefoxのCookie非推奨、AppleのApp Tracking Transparency (ATT) の組み合わせは、すでにシグナルロスを引き起こしています。特にEC化率が高い広告主にとっては、ターゲティングの精度、成果、測定に至るまで多くの問題が浮上しています。

 

従来型のデジタルマーケティング活動のように、ユーザーをトラッキングせずに同等の精度を維持し、適切なオーディエンスへ大規模にリーチすることは、いざ完全にプライバシーシフトが起きた時に大きな課題となり得ると言われています。実際、多くの企業にとって、クッキーが消失した場合の主な懸念事項としてこの問題(精度を守りながら拡張性を持たせた広告配信を行うこと)が重要視されていて、53%が最大の懸念事項であると回答している、というデータもありますが有効な打ち手を導き出している企業は多くないということが現状です。

 

自社の戦略に合いそうな方法を選んでみましょう。長年に亘り、企業は独自のデータとオーディエンスセグメントの構築に多額の投資をしてきました。もちろん、企業はサンクコストを最小限に抑え、投資のリターンを追求したいと考えるでしょうが、新しい状況に適応するためには、時に合理的な選択が必要です。

 

プライバシーファーストの視点から、データ活用を単純に0か1かにするのではなく、限られた環境下であったとしても、ブランドの安全性、消費者のプライバシー、拡張性の問題を解決するために、適切な協業先やツールを介して、どのようにそれらを強化できるかがポイントになります。

 

現在の代替策として挙げられるものは、ユニファイドID、コンテクスチュアル・ターゲティング、ファーストパーティーデータ、データクリーンルームなどがあります。これらはユーザーのプライバシーを尊重する新しいソリューションですが、個別の手法だけでは従来のコミュニケーションの質と量を得ることは難しいので、それぞれの施策に適切なツールの組み合わせや選定が必要となります。

 

最優先すべきは何か?

新しい技術やトレンドは、常に市場の概念を再定義し、再構築させるポテンシャルを秘めています。現在、広告業界はプライバシー保護に注力する大きな変革の兆しがあります。この変革にはチャンスが潜んでおり、むしろその可能性を見極め、戦略を見直し、ポテンシャルを最大限に引き出すことが求められます。

 

現時点で考えられる様々なソリューションをテストし、その使い方と相性を見定めておくことで、いざプライバシーシフトの時代が来た時にスムーズに対応することができるでしょう。

コラム執筆者

 

松本 亮

Ogury Japan, Country Manager

 

 

 

L’Oréal、BMW、Johnson&Johnsonなどでブランドマーケティングやカスタマーマーケティングに従事。2014年からCriteoでアジア太平洋担当のマーケティング・マネージャーとして事業拡大に貢献したのち、GumGumの日本ローンチを担当し、クッキーレス広告市場の創出と拡大をけん引した。2022年4月より現職。