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Outbrain、「Outbrain Summit 2023」にて、アテンション最大化のためのブランディングソリューション「Onyx」を発表[ニュース]

オープンウェブ上のテクノロジープラットフォームの世界的リーディングカンパニーであるOutbrainは、11月16日、都内神田明神ホールにて、オンライン広告業界関係者向けに開催したOutbrain Summitにて、ブランディングキャンペーン向けの新規ソリューション「Onyx by Outbrain™」(オニキス、以下 Onyx)の日本市場への導入を発表した。

 

 

(Sponsored by Outbrain)

 

Outbrain Japanの設立10周年の祝いも兼ねて開催された毎年恒例の当イベントには200名近くが出席。本社のあるニューヨーク、また欧州やAPAC各地のオフィスに在籍する同社シニアリーダー陣もこの日に合わせて来日し、日本の市場関係者との情報交換や議論に参加した。

 

10年の歴史を振り返る

冒頭の挨拶を行ったOutbrain Japanのジェネラルマネージャーを務める益田敦司氏は、日本オフィス立ち上げ時の2013年時点においては、現在は広く知られている「レコメンド」という機能が日本国内ではまだ認知されていなかったのではないかと述懐。その後コンテンツマーケティングの流行や、コロナ禍の影響、そしてCookielessの進行といった環境変化に応じて同社が提供するソリューションの役割も変わってきたと振り返った。

 

 

続いて、共同創設者兼共同経営責任者のヤロン・ガライ氏は、サスティナブルなジャーナリズムへの貢献、そして、ユーザー体験を阻害することなく、適切なコンテンツと広告を配信する仕組みの構築が必要との信念を持ってOutbrainを創業したことを改めて語った。そして、広告を適切な情報としてユーザーに提供することで、広告主、媒体社、そしてユーザーそれぞれに対して公平でメリットのある在り方を貫きながらも、レコメンドウィジェットやニュースフィードさらにはネイティブ広告の草分け的な役割を果たしてきたと述べた。

 

更に、新たな事業領域にも踏み出している。これまではクリック課金型のレコメンド広告を主に取り扱ってきたが、2023年初頭には総合的なビジネス最適化テクノロジー「Keystone by Outbrain™」をリリース。また当イベントで、アテンション指標を活用したブランディングキャンペーン向け新規ソリューション「Onyx」の日本導入を発表した。

 

さらに「日本市場の開拓には早期から取り組んできた」というガライ氏は、共に市場開拓に取り組んできた株式会社電通グループ 電通イノベーションイニシアティブ エグゼクティブ・ディレクターの青木圭吾氏を壇上に招聘した。青木氏は、これまでのオンライン広告市場は「テクノロジーに寄り過ぎていたのではないか」との見解を提示。その結果として、ユーザー体験をないがしろにする傾向があったのではないかとの反省を述べた。その上で、ユーザーの関心度を計測するアテンション指標の有効活用に対する期待を示した。

 

Outbrain 共同創設者兼共同経営責任者 ヤロン・ガライ氏(左)、株式会社電通グループ 電通イノベーションイニシアティブエグゼクティブ・ディレクター 青木圭吾氏(右)

 

アテンション指標とは何か

ブランドソリューション・EVPのアヤル・スタイナー氏は、広告の品質を評価するための新たな指標として注目されているアテンションを解説。広告の品質を測る指標の一つとしては「ユーザーが閲覧できる状態にある」ことを意味するビューアビリティが積極的に活用されてきたが、アテンションは接触時間、広告サイズ、占有率、アイトラッキングデータなどより多くのデータポイントを参照することでより質の高いデータを提供できると述べた。

 

Outbrain ブランドソリューション EVP アヤル・スタイナー氏

 

さらに記憶の形成に必要とされる「2.5秒以上の広告閲覧」を達成できたか否かについては、ビューアビリティ指標では判断できないと指摘。たとえ全体の広告表示に対して70%以上のビューアビリティを確保したとしても、2秒以上にわたり閲覧されているのは同17%に過ぎないとの研究結果を紹介した。一方で、実際にアテンションに基づき最適化したキャンペーンは、ビューアビリティで最適化したキャンペーンよりも、ROAS、コンバージョン率、サイト訪問者数、購入意欲などにおいて、より高い結果を示す傾向にあるという。

 

これまでOutbrainは、新規顧客の獲得やパフォーマンス領域を得意としてきた。今後は、より高いファネル層へのブランディングにおいて、効果的なアプローチ方法を探しているブランド企業に最も重要となる「アテンション」の獲得、最大化にも注力をしていくとのこと。そして、同氏がプロダクトリーダーを務める新たなブランディング向けソリューション「Onyx」のアジア太平洋市場における初の導入を正式に発表した。

 

Outbrain が15年以上にわたり培ってきた、ユーザーのエンゲージメントが発生する瞬間を予測するAI技術を活用し、ブランド企業が求める目標達成に向け、従来の「閲覧されるだけの広告」以上の価値を提供すべく開発された。インパクトの強いディスプレイ体験やコンテキストベースのプリロール動画といった、高いアテンションを獲得するよう設計されたカスタマイズ可能な大型広告フォーマットが特徴のソリューション

 

 

続いて、エンタープライズアカウントマネジメントチームリーダーの植田一樹氏が、改めてなぜいまアテンションが必要なのかを紹介。そして、Onyxが①新たなテクノロジーの活用、②新たなユーザー体験の創出、③新たな環境の提供、を通じてアテンションの最大化を実現すると説明した。

 

具体策としては、これまでレコメンドウィジェット事業で培ってきたデータや予測エンジンを活用する。この予測エンジンこそがOutbrainを他と差別化し、コンテンツマーケティング支援からネイティブ広告プラットフォームを経由してテクノロジープラットフォームへと進化してきたOutbrainを形成している要素とも言えるであろう。

 

そして、社内クリエイティブサポート機能「Brand Studio」による、よりインパクトと効果の高いクリエイティブの活用、さらにはDoubleVerifyとの統合により安全が担保された、記事の中もしくは直後というユーザーのアテンションを最も獲得しやすい掲載面の提供といった仕組みがOnyxを支えているという。実際に英国ではFord社がアテンション最適化を行った広告キャンペーンを実施し、アテンションスコアは業界のベンチマークと比較して30%増、エンゲージメント率は同2倍を記録したという。

 

Outbrain エンタープライズアカウントマネジメントチームリーダー 植田一樹氏
 

環境変化を受けて競争は激化

イベントの終盤には、益田氏による進行の下、この日行われたプレゼンテーション内容などについて業界関係者によるパネルディスカッションが開催された。

 

まず昨今の市況感について、TBWA\HAKUHODO デジタルマーケティング局局長 岡安由樹氏は、Outbrain Japanが創立された10年前はオンライン広告取引の7割前後が純広告であったが、現在はプログラマティック広告の割合が大半を占めるようになり、加えて現代はリッチな表現を実現する広告ソリューションが多く、「群雄割拠」の時代であると述べた。

 

続いて、株式会社フジテレビジョン 総合報道戦略局 マルチメディア推進部 木下英明氏は、過去数年でCPMが3分の2程度までに低下したことに加えて、不適切な広告を排除する取り組みを強化する必要性に迫られているため、多くの媒体社は苦境に立たされていると発言。

 

両者が示した課題認識を受けて、DAS株式会社/Oceans株式会社/GeekOut株式会社 創業者 Brave Software Asia株式会社 代表取締役 嶋瀬宏氏は、ユーザー体験を阻害しないという大前提をどれだけ遵守できるかが今後は厳しく問われることになる、と述べた。

 

左からOutbrain Japan ジェネラルマネージャー 益田敦司氏、TBWA\HAKUHODO デジタルマーケティング局局長 岡安由樹氏、株式会社フジテレビジョン 総合報道戦略局 マルチメディア推進部 木下英明氏、DAS株式会社/Oceans株式会社/GeekOut株式会社 創業者 Brave Software Asia株式会社 代表取締役 嶋瀬宏氏

 

アテンション指標は日本市場に根付くのか

パネルディスカッションの後半は、Outbrainの新規ソリューションであるOnyxへの評価と期待についての議論を展開。嶋瀬氏はクリック課金型の事業モデルで一つひとつの広告表示を無駄にすることなくユーザーのエンゲージメントを追求してきた同社だからこそ、インプレッション課金型事業モデルにおいても強みを発揮し得るのではないかとの期待を示した。

 

一方、岡安氏は、日本市場の商慣習ではクリック課金型をより高く評価する傾向が根強いため、インプレッション課金型広告に不安を覚える広告主も一定数いるのではないかと指摘した。重ねて同氏は、従来のブランディングキャンペーンで用いられてきたブランドリフト調査に加えてアテンション指標が有効活用されていく可能性があることも言及し、Onyx への期待を寄せた。

 

また木下氏は、アテンション最適化の枠組みを通じて、高単価でユーザーに嫌われない広告フォーマットが確立されれば、媒体社は多大な恩恵を受けると評価。アテンションの高い広告枠のみを残し、それ以外は広告枠自体をなくしてしまうことで、ユーザー体験を向上させることができるとの予測とともに、Onyxへの展望を述べた。

 

Outbrain Japan 10周年

またセミナー後には懇親会を開催。今年は10周年のお祝いも兼ねていることから、和太鼓と三味線のパフォーマンスや、賞品の当たる抽選会が行われ、さらには和の装飾が施されたフォトブースで記念撮影をするなど、参加者は飽きることなく有意義な時間を過ごしていた。当イベントは、普段あまり接することのない媒体社と広告主・代理店関係者が交流でき、意見交換できる場として、参加者から評価されている。

 

 

Outbrain のこれからの10年、そしてOnyxに期待したい。

 

Outbrain Summit 2023 の様子はこちら

 

Outbrain Japan株式会社

https://www.outbrain.com/jp/
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ABOUT 長野 雅俊

長野 雅俊

ExchangeWireJAPAN 副編集長
ウェストミンスター大学大学院ジャーナリズム学科修士課程修了。 ロンドンを拠点とする在欧邦人向けメディアの編集長を経て、2016年に調査・コンサルティング会社シード・プランニングに入社。 日本や東南アジアを中心としたデジタル広告市場の調査などを担当している。