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「CPA改善」「新規層獲得」がミッション―特別座組で臨むSBC湘南美容クリニックのTikTok拡大施策[インタビュー]

 

国内最大級の美容クリニックとして全国展開しているSBC湘南美容クリニック。そんな同社では、業界的に高騰しているCPAの改善と新規層の獲得という2つの課題に対する施策が急務であった。

 

これに対し、「媒体社も含めた特別座組でクリエイティブ強化に臨んだ」というTikTok施策についてSepteni Japan株式会社、そしてSBC湘南美容クリニックのマーケティング戦略を手掛けるSBCマーケティング株式会社の担当者に話を伺った。

(聞き手:ExchangeWireJAPAN 渡辺 龍)

(Sponsored by Septeni Japan)

 

■Septeni Japan株式会社

第一営業本部 第四営業部 神尾 あかり氏

同 部門長 大森 慧史氏

ディスプレイグロース本部 クリエイティブディレクター 髙橋 愛花氏

■SBCマーケティング株式会社

マーケティング部 医療マーケティンググループ 第1カテゴリー 濱田 萌氏

同 グループ長 若林 さとみ氏

 

 

社内、ByteDance社との連携でクリエイティブ量とスピードを確保

―今回のTikTok施策の概要について教えてください

若林氏:二重整形市場全体で各社の広告出稿量が増えたことによるCPAの高騰がSBC湘南美容クリニックの直近の課題となっていました。また、当社では二重施術の予約数がメイン顧客層以外でも伸びていたことから、今後も新規層をターゲットとした施策を講じる必要がありました。そこでこの2点を解決するための新しい打ち手としてTikTok施策の強化に取り組んだのが始まりです。

 

神尾氏:施策の強化にあたってクリエイティブ数や制作スピードを確保するために、社内、ByteDance社で連携しながらクリエイティブの特別座組を組みました。ByteDance社とは運用に関する相談だけでなく、TTCX(TikTok Creative exchange)というByteDance社のクリエイターの動画作成プログラムも活用させていただき、結果としてクリエイティブ数の確保や運用の改善も含めてコンバージョン獲得拡大に繋げることができました。

 

―「クリエイティブの数とスピード感を重視した」とのことですが、具体的にどのように進めていったのでしょうか

髙橋氏:クリエイティブの供給体制は特に意識しました。SBC様側での確認期間や社内の入稿フローを考えると、ByteDance社が推奨する1週間の適正な入稿本数を通常の納期でクリアするのは厳しい面もありました。そこで当社グループのクリエイティブ制作を専門とするSepteni Ad Creative株式会社と連携し、理想的なクリエイティブPDCAを実現する特別座組を構築しました。

 

主に人的リソースの確保だけでなく、ディレクター・デザイナー間の連携工数を最小限にするための制作フローの見直しや、網羅的な表現検証が行える検証スキームを取り入れました。その結果、理想の量とスピード感、そしてCPA改善を実現することができました。

 

 

また、クリエイティブの種類についても、UGC動画やカルーセル、Interactive Add-ons など多様な見せ方・アドフォーマットの網羅性を重視し、多角的にユーザーへアプローチすることにこだわりました。これにより運用×クリエイティブの両軸での施策を実行することができました。

 

 

神尾氏:ByteDance社との連携は特に重要で、最も配信を伸ばした7、8月は2週間に1回ほどミーティングをしながら、運用やデータ計測に協力いただきました。

また、TTCXに納品いただいた動画だけでなく、その素材を当社で細かくブラッシュアップした動画も配信することで、本数の拡充やさらなる効果の改善に繋がっています。

 

 

―運用面はどのように進めていったのでしょうか

神尾氏:同じ配信量でもより最適化がかかりやすい設計にしております。当初は二重施術のメニューごとにキャンペーンを作っていたのですが、各キャンペーンで効率が異なり、低調なキャンペーンでは配信がシュリンクし、上手く最適化がかからない場面もありました。そこで現在は設計を見直し、1つのキャンペーンにすべての施術メニューを集約し、より最適化が促されるように運用しています。

 

 

細かな調整を重ね、計測の乖離を解決

―取組みの中で課題はありましたか

大森氏:媒体計測とツール計測のコンバージョンの乖離については、改善のために時間をかけました。TikTokでは、サードパーティツールで計測する場合に、計測結果に漏れが発生することがある一方、媒体コンバージョンではしっかり計測できており、獲得が出来ていることから、媒体計測に評価軸を見直しました。ただ媒体タグは二重以外の施術の予約でも発火してしまうことがあるという問題点もありました。

 

若林氏:これはつまり二重施術の予約が順調に取れているように見えても、裏側では脱毛など他の予約が入り込んでしまうリスクがあるということです。二重施術だけの予約が追えるようにタグを改修して、正確に計測できるようにするまでに少し時間がかかりましたね。

 

―そういった計測の課題はしばしば耳にするところです

大森氏:そこで今回はサンクスページの1つ前の確認ページで「予約する施術は何ですか」という質問項目を設置し二重施術のみコンバージョンが発火するようにタグ設定を変更しました。

 

また、媒体間で重複発火してしまう懸念に関してもアトリビューションを分析したところ「TikTokから入ったユーザーが離脱して他媒体で最終的にCVする」といった動きは見られませんでした。基本的にTikTokは他媒体に流れずコンバージョンする媒体ではあったので、最終的にそのタグ発火を正当に二重施術のコンバージョンとして評価するというところに落ち着きました。

 

二重施術でコンバージョンが上がっているように見えても、裏側では脱毛でコンバージョンしているといった、計測の乖離も現在はほぼない状態まで持っていけています。

 

―施策を振り返っていかがですか

濱田氏:最初こそ勝ちパターンが掴めずにいましたが、TikTok内のコンテンツに馴染むクリエイティブに変更し、TTCXの素材を活用しながら本数を確保してもらったことで、今では他媒体と同程度の水準のCPAになっています。また、新しい施術メニューを2023年に出したので、まずはそこの認知を広げたいということで運用もお任せしているのですが、順調に予約にも貢献してくれています。

 

若林氏:今回の施策に限らずセプテーニさんはレポートがしっかりしていて、基本的な部分から丁寧にこなしてもらっています。また、クリエイティブの質が本当に高いというのは当初から変わっていません。さらにその運用をしっかり回す体制やチーム感は日頃から感じています。もう4年半ほどのお付き合いになりますが、どんどんセプテーニさんにお任せする領域も予算も増えています。

 

大森氏:そういったお言葉は本当に嬉しいですね。SBC様は当社の方針に対して「まずはやってみよう」というスタンスで、私たちとしてもスピード感を持って臨むことができています。改善案やアイディアもSBC様からの発信でいただくこともあり、本当に1つのチームとして動けていると感じています。

 

―質の高いクリエイティブを供給するためにセプテーニでは独自の取組をしているのでしょうか

髙橋氏: Odd-AI Creation(*1)という自社の独自AIクリエイティブソリューションがあるのですが、AIによる効果改善要因の可視化や事前効果予測機能を用いて、再現性やヒット率の向上が可能な点は当社の強みかと思います。さらにAIによりディレクターの制作業務の一部を自動化することで、ディレクターがクリエイティブ戦略・企画立案に集中しやすいという点もございます。

 

また、技術面だけでなく広告主企業様との向き合い方も大変重要だと考えており、SBC様に関しては、クリエイティブディレクターが打ち合わせに同席し、直接レビューやご提案を行っています。必要に応じてディレクターが直接広告主企業様の温度感を掴みながらクリエイティブに落とし込むことで、要望に沿った制作が実現できているのではと考えております。

 

 

動画の冒頭を変えただけでも効果が大きく改善

―多数の媒体がある中で、TikTokの特徴はありますか

神尾氏:運用の観点では最適化がかかりやすく、1つのクリエイティブが伸びるとそれが引き金になって大きくCPAの改善に繋がるという点です。また、TikTokの通常投稿はユーザー投稿がメインなので、広告もそれに馴染む形のものが主流で、ユーザーからもタップされやすい仕組みになっています。

 

濱田氏:“友達の投稿を見る”を目的に利用されるSNSが多い中で、TikTokは“新しい情報を得る”SNSになっているのも特徴です。新しい情報として二重施術の広告が目に入ってきても、自然と受け入れてもらえる環境にあるのかなと思います。

 

ただ、見てもらえる分興味を引けなければスキップもされやすい媒体なので、最初の掴みや展開に飽きのこない仕掛けは大事です。クリエイティブを作り込まなければならないハードルはありつつも、認知を目的とした施策では、TikTokの活用はとても有効的だと思います。

 

―これまでのお話から、TikTokを始めようとする広告主にとってクリエイティブはやはりポイントになりそうです

髙橋氏:初めは他メディアで使っている素材の転用から始めることもできるので、すでにある素材をもとに新しいメディアでチャレンジしていきたいという企業様におすすめです。

 

TikTokでは、オーガニック投稿に馴染む広告動画は比較的効果が高い傾向があるため、そういった動画素材のご用意や撮影が可能であれば、様々なバリエーションの動画が制作できるかなと思います。今回当社で用意したクリエイティブの中には完全な新規デザインだけでなく、複製ブラッシュアップと呼ばれる冒頭やナレーションを変えただけの動画も多く活用しました。

 

TikTokで効果を改善するには前述の通りクリエイティブの量とスピードが重要なこともあり、実際に小さなブラッシュアップでも効果が大きく改善しているのは注目すべき点です。

 

―今後は2社でどのような展開を考えていますか

若林氏:認知を広げるためのクリエイティブ制作を強化しながら、予約に直結する配信はより積極的に回していただけると嬉しいです。セプテーニさんにお願いしている領域は複数あるのですが、TikTokをしっかり活用しているのは今のところ二重施術の領域だけです。今後も新しいクリエイティブを作りつつ、二重施術の広告配信で見つけた勝ちパターンを脱毛の広告に応用するなどの横展開は期待しています。

 

神尾氏:新しいトレンドに合わせたクリエイティブの拡充はもちろんですが、最近ではカスタマーリストを活用した配信もしています。一段と深いデータの活用や、計測漏れがさらに無くなるようなTikTokの内側の仕組みも交えながら、よりコンバージョンが取れる施策を構築していきたいですね。

 

 

(*1)
AIとヒトの共創で効果を最大化!セプテーニのクリエイティブメソッド「Odd-AI Creation」の全容

【CTRが約2.1倍に改善】AI活用の本質を捉えた独自ソリューション実績のご紹介

Odd-AI Creationサービス概要資料

 

・今後のウェビナー予定

https://www.septeni.co.jp/seminarevent/

 

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https://bit.ly/3JC32I0

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ABOUT 渡辺 龍

渡辺 龍

ExchangeWireJAPAN 編集担当 立教大学社会学部現代文化学科卒業。大学卒業後は物流企業にて海外拠点と連携し、顧客の輸出入サポート業務全般に従事。 その後、2021年に調査・コンサルティング会社シード・プランニングに入社。デジタル広告市場調査などを担当している。