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展望 - 変革の2025年:CTV広告のさらなる進化 2024年を振り返り、来年を展望する

デジタル広告業界はまさにダイナミックそのもので、2024年は変革の年となりました。APAC(アジア太平洋)地域全体の変化を振り返ると、コネクテッドTV(CTV)が広告主にとっての焦点として浮上した状況が、ブランドがオーディエンスとつながる方法を再構築し、デジタル広告でできることの限界を押し広げているのは明らかです。

この記事では、日本を含むAPAC地域全体の2024年の振り返りと2025年の展望について、触れていきたいと思います。

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2024年のCTVの進化:成長痛から成熟へ

 

2024年は、広告付きSVOD(サブスクリプションベースのオンデマンド動画)サービスの台頭が目立ちました。Paramount+、Netflix、Disney+といった世界規模の事業者がAPAC全域で広告付き配信を導入または拡大し、オーストラリアではStan SportやBingeのようなローカルプラットフォームも加わりました。こうした変化は、経済的圧力への対応というより、多様な消費者の嗜好を捉えるための戦略的な動きを反映しています。広告付きモデルが消費者の参入障壁を下げ、広告主のプレミアムインベントリを増やした結果、CTV広告市場は劇的に拡大しました。

 

CTV分野に関わる企業が増えるにつれて、その高度化も進んでいます。フリークエンシーの管理、ターゲティング、測定といった長年の課題が解決され、より合理的で効果的なキャンペーンが可能になりつつあります。ただし一方で、新規参入者の増加により、かつてこの分野を独占していた放送局は広告費をめぐる競争の激化に直面しています。これにより、コンテンツと戦略におけるイノベーションの必要性が高まっています。

 

CTVにおけるプログラマティック取引の急速な普及は、CTVの魅力をさらに高めています。リアルタイムで特定のオーディエンスをターゲットにできることと、テレビという比類のない画面の存在感が相まって、CTVはファネル上部での認知と、パフォーマンス主導型マーケティングのハイブリッドとして位置づけられてきました。バイヤーとパブリッシャーのより緊密な連携によって促進されるプログラマティック取引における透明性の向上も、信頼のギャップを埋めるのに役立っています。

 

しかし、こうした進化に伴い、特にオーディエンス測定や、ウォールドガーデンにまたがるインベントリの断片化拡大といった新たな課題も生じています。

 

 

今後の展望:2025年のCTV

 

2025年になると、CTVの状況はチャンスと課題の両方に直面するでしょう。注目すべき主なトレンドは以下の通りです。

 

1.ウォールドガーデンの課題
独自のエコシステムが台頭したCTVでは、各プラットフォームがインベントリへのアクセスと取引のダイナミクスをコントロールするため、オーディエンスの統合的な把握を求める広告主にとって課題が生じています。プラットフォーム間でオーディエンスを統合的に追跡できないことは、ターゲティングを複雑にするだけでなく、キャンペーンの効率や測定にも影響を及ぼします。広告主は、シームレスなプランニングと実行を確実にするため、より透明性が高く、相互運用可能なソリューションを支持する必要があります。

 

2.オーディエンス測定
測定は引き続き重要な問題です。オーストラリアのオーディエンス測定調査会社OzTAMのような業界リーダーは精度を高めてきましたが、断片化の課題は残っています。Foxtelが測定をKantarに移行するという発表と、Amazon、SBS、YouTubeといった事業者によるVideo Futures Collectiveの結成はともに、一致した測定基準がないことを浮き彫りにしました。CTVが持てる能力を発揮するために、業界は、各社独自のデータを損なわずにクロスプラットフォームのインサイトを促進する標準の確立と共有に向けて、協力して取り組む必要があります。

 

3.フルファネルのソリューションとしてのCTV
これまで、ファネル上部のプレミアムチャネルと見なされてきたCTVは、今やパフォーマンス主導のメディアへと進化しています。ターゲティングとアトリビューションのツール群が成熟するにつれ、より多くの広告主がCTVを利用してファネル中部やファネル下部の成果を促進するようになっています。広告付きモデルのユーザー層の拡大により、取引されるCPMの価格帯も広がり、パフォーマンスマーケティングの担い手にとってより利用しやすいチャネルとなるでしょう。

 

4.差別化要因としてのコンテンツ
オーディエンスの注目を集めるための戦いは、ますますコンテンツの質と多様性に左右されるでしょう。魅力的でローカライズされた独自のコンテンツに投資するパブリッシャーは、視聴者を呼び込むだけでなく、プレミアムな広告支出も確保できます。米国におけるFAST(広告付き無料配信テレビ)チャンネルの成功は、消費者が多様なエンターテインメントの選択肢にアクセスする費用対効果の高い方法を求めているAPAC地域において、何が可能かを垣間見せています。

 

5.タッチポイントを超えたシームレスな広告
2025年、主要ブランドはCTVと他のチャネルを統合した一体感のあるジャーニーの構築を優先するでしょう。CTVの大画面のインパクトは、QRコードやショッパブル広告のようなインタラクティブなフォーマットと組み合わされ、オムニチャネル体験を促進するためにますます活用されるようになります。CTVをオンライン動画と組み合わせることで、特にメディア習慣が大きく異なる多様なAPAC市場において、リーチと効率がさらに増幅されるでしょう。

 

今後の展望:コラボレーションとイノベーション

 

CTVがAPAC地域の広告エコシステムでその役割を確立するには、コラボレーションが鍵となります。パブリッシャー、技術プラットフォーム、広告主は互いに協力して、断片化を克服し、測定を合理化し、プレミアムなユーザー体験を確保しなければなりません。先進的な広告フォーマット、ダイナミックなクリエイティブの最適化、オーディエンス分析といったイノベーションの能力が、この急速に進化する分野での勝者を決めるでしょう。

 

ブランドにとって、2025年は戦略を見直し、CTVの力を最大限に活用する好機となります。コンテンツ、ターゲティング、測定を連携させることにより、ブランドは印象的かつ測定可能な方法でオーディエンスとつながることができます。その結果、CTVは今後数年のうちにメディアミックスの要としての地位を確立するでしょう。

 

コラム執筆者

 

菱田 遼

パブマティック株式会社 Senior Director, Customer Success & Publisher Development

 

 

2013年にサイバーコミュニケーションズ(現CARTA COMMUNICATIONS)に入社、アドネットワークのメディア開拓やアドエクスチェンジのプロダクト担当として従事。2015年にストラテジックアカウントマネージャーとしてPubMaticに入社し、2024年で9年目を迎える。入社当初よりサプライサイドの既存顧客担当として自社プロダクトの導入やマネタイズの支援を行い、現在はPubMatic Japanのカスタマーサクセスチームのディレクターとして、ウェブメディア、アプリ、OTT/CTVにおけるビジネスを牽引。

 

 

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