ペルソナとは?単なるデータを超えた価値
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on 2025年1月06日 in40年近くにわたってマーケティング戦略の基盤を支える存在である「ペルソナ」。「ペルソナ」の語源はラテン語の”仮面”を意味する心理学の用語として使われていました。
その概念は、人口統計だけでは見えない対象グループの特徴となる”シグナル”を発見し、消費者の意思決定を左右する動機、関心、行動を掘り下げる目的で企業におけるマーケティング活動において広く採用されるようになりました。
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ペルソナの起源
「Kathy(キャシー)」が世界で初めて設定されたペルソナ、と言われています。1985年、ソフトウェアデザイナーの Alan Cooper が、既存顧客のニーズ、嗜好、悩み、課題に対処するソフトウェアを構築する目的で生み出しました。こうしたアプローチはユーザー重視のマーケティングの設計方法を大きく変化させることとなり、1990年代初頭までに、ペルソナベースのマーケティング手法は一般的なものとなりました。多種多様な生活者の価値観に対応するためにも、属性や性別などの人口統計データだけでは対応しきれなくなっていったことが背景にあったようです。
例えばこちらの2人の著名人を見ると、ペルソナの重要さが分かる例です。2人とも年齢や属性、居住地や同じ境遇であったとしても、全く異なる性格やキャラクターであることが分かります。ペルソナの語源が持つ”仮面”という意味と同じく、潜在的な個性と共にどのような自己表現をするかによってそれぞれ際立った特徴が表れます。
多種多様な価値観を持つインクルーシブな世界を生きる現代人においては、性別や年代、仕事の種類などの属性情報のみで人格や価値観を知ることはできません。
それぞれの人格を正しく理解するためには、より広く深い情報を集めることで本質を捉えることが重要です。
現代におけるペルソナとは
直近約10年間にわたって、デジタル技術が進むことにより、”ハイパー・パーソナライゼーション”と呼ばれる、必要以上に生活者に関わる個人情報を特定する動きが加速してきました。結果として、ユーザーと企業側との距離感を見誤ってしまう現象が起きてしまい、インターネットの環境が健全とは呼べない状態になることもありました。
それを受けて、プラットフォーマーによる自主規制や、改正個人情報保護法などによる社会的な潮流に後押しされる形で、今では企業の経済活動においてユーザーのプライバシーを尊重する考え方は常識となっています。
Ogury(オグリー)は、ペルソナターゲティング広告(Personified Advertising)を活用し、個人ではなくペルソナに向けて広告配信を行います。従来型のデジタルマーケティングは、広告の配信対象を決める時にクッキーやIDをベースにしていました。それに対してペルソナマーケティングは、統計学に基づく調査データや配信面の文字情報や文脈をロジックに活用しています。
ペルソナを構築するゼロパーティデータ
以下に、実際の機能や作用を示す例をご紹介します:
東京を旅行している人たちをマーケティング活動におけるターゲットにするとしましょう。2人の旅行者は同じエリアにいて、1人は日本文化や芸能に関心があり、もう1人は日本のエンタメを楽しみたいと考えています。人口統計データだけではこうした微妙な違いを捉えることは困難ですが、ペルソナなら可能です。
たとえば、「日本のエンタメ愛好者」を例に取ってみます。「流行の飲食スポットに行きたいですか?」や「コンサートやフェスティバルに参加したいですか?」といった調査質問への回答を含め、豊富なデータから編み出されています。こうした独自の調査結果をベースにしたインサイトは表面的な人口統計を超え、ペルソナの解像度を上げて顧客理解を立体的に捉えることが出来ます。
こういったユーザーが自主的に提供するデータをファースト・パーティーデータと呼びます。
2018年に Forrester がデータ活用における未来予測に関するレポートにおいて命名したゼロパーティデータは、生活者が調査やインセンティブが有るキャンペーンなどの手段で、自主的かつ積極的に企業と共有するものの、匿名性が保たれる情報を指します。
生活者の関心や興味をその他の行動から導き出す推定データとは異なり、ゼロパーティデータは決定論的で、生活者から直接的に嗜好や購入意思についての正確なインサイトを提示します。
生活者が車についてのネット記事を読んでいる場合、推定データだと、ユーザーが新車購入を考えているのではないかと推測するかもしれません。しかし、同じユーザーが12か月以内に車を購入するつもりであるという調査結果で明らかになると、購入意欲が高いユーザー群を捉えることが可能となります。
Ogury では、独自にゼロパーティデータを自己申告制の顧客調査から収集しており、嗜好データ、購入意思、個人的な状況、そして生活者がどのくらいブランドを認知しているか把握することができます。そうした精密なデータは、それぞれのキャンペーンや商品設計でペルソナを形成する時に重要な役割を果たします。
こうした明瞭で合意に基づくデータこそゼロパーティデータが、ユーザーが意識せずとも使われてしまっているその他の2nd、3rdパーティーデータとの大きく異なる点です。
実はこのゼロパーティーデータは、まだまだ市場で有効に活用されているとは言えない状況です。Forrester によると、マーケターの82%近くがゼロパーティデータを利用しており、そのうち42%が、ゼロパーティデータを戦略的に活用する方法が分からないと回答しています。
Oguryのゼロパーティデータを活用したペルソナターゲティング広告は、ユーザーのプライバシーを尊重した新しい活用法の一つと言えます。
急速に進化したデジタルマーケティングによって、ユーザーのデータを必要以上に取得してしまった結果、ブランドと生活者との距離感を見誤ってしまうケースが出てきました。プライバシーを尊重したユーザー像の導き出す方法としてペルソナに焦点が当てられる良いタイミングが、まさにこの時です。
企業活動に関わる多くの方が、大なり小なりペルソナに関わっていると思います。学術的なアプローチや属人的な方法を用いて、どのような人に商品やサービスを使ってもらうかを模索する中で、マーケティングにおける永遠の課題である”顧客理解”の手段として、「ペルソナ」の重要性を再認識しそれを活用していくことが、今後の成功の鍵になると考えています。
コラム執筆者
松本 亮
Ogury Japan, Country Manager
L’Oréal、BMW、Johnson&Johnsonなどでブランドマーケティングやカスタマーマーケティングに従事。2014年からCriteoでアジア太平洋担当のマーケティング・マネージャーとして事業拡大に貢献したのち、GumGumの日本ローンチを担当し、クッキーレス広告市場の創出と拡大をけん引した。2022年4月より現職。
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