サイバーエージェントが向かう、2025年の動画広告市場における注力領域[インタビュー]
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サイバーエージェントは、今回で11回目となる2024年国内動画広告の市場調査を公表した。
動画広告市場のトップを走り続ける同社がみる動画広告市場のトレンドおよび、同社の動画広告ビジネスにおける注力ポイントについて、前年に続き、同社執行役員 インターネット広告事業本部 統括 中田 大樹氏に、お話を伺った。
(聞き手:ExchangeWire JAPAN 野下 智之)
CTVと縦型動画が成長の原動
―動画広告市場にとって2024年はどのような年でしたか?
広告主のデジタルシフトが総じて順調に進み、動画広告への投資は引き続き高い水準で増加しました。そして2024年はCTV領域の伸びが市場全体に大きなインパクトを与えた1年でした。これは動画コンテンツのCTVにおける視聴割合が増えていることが、前提としてあります。それに伴い、広告主のCTVへの投資に対する関心が大きく高まりました。
また、配信面については、YouTubeショートなどの、ショート動画メディアが大きく増加しました。その他にも、BUMP、UniReelなどのショートドラマプラットフォームも現れており、今後の動向が期待されます。同様のサービスが、米国や中国において大きく伸びています。
-近年の動画広告市場で成長領域とされる縦型動画、コネクテッドテレビ(CTV)に対する広告主の関心の変化について、お聞かせください。また、それに対する貴社の取り組みをお聞かせください。
CTVについては、広告在庫が増えていることと、広告枠としての視認性の高さもあり、広告主の関心も高まっており、リーチ単価が高いものの、最終的には効果に結びついている、という事例も出てきています。このあたりにおいては、スマホ面も含めてデバイスごとに効果や手段が異なる、という前提で、プロモーション設計と評価をするということが重要だと考えています。
同時に、テレビというデバイスに配信される広告が、運用型になり始めています。テレビCMとABEMAやTVerなどのOTT広告におけるコンバージョンを、横断して可視化することが出来るようになりつつあり、この領域への注目が集まっております。
縦型動画広告については、TikTokへの関心が急速に高まっており、当社における取り扱いも増えています。プロダクトとして出来ることも広がっています。2023年にTikTok Liteが日本市場向けのみにリリースされましたが、日本のユーザーにとてもフィットしています。日本にいる一定のポイ活層をターゲットにしていますが、ユーザー数と広告在庫が伸びています。縦型動画メディア向けには、今後最適化されたクリエイティブを次々と作って供給をしていくことが求められています。
サイバーエージェントグループとしては、縦型動画に特化した専門子会社、株式会社サイバーティカルを設立するなど、企画、制作、販売体制を強化しています。
-直近で特に注目されている媒体についてお聞かせください。
注目している媒体の一つは、BeRealです。現在若年層を着実に取り込んでユーザー数が増えており、広告商品の販売も始まっております。今後の広告媒体としての成長に期待しています。
2025年の注力領域は、テレビ向け広告の再定義?!
-2025年の動画広告市場の見通しについてお聞かせください
AmazonPrimeVideoやNetflixなどの参入により、OTT面、あるいはCTV面の広告在庫が相当増えてきています。2025年はこの領域をハックする動きが、さらに進むのではないでしょうか。
また、2025年は広告の買い手側のメディアプランニングにおけるデジタルシフトは一気に進むとなると予想していますが、その行き先がCTVになるのではないかと見ております。
-サイバーエージェントの動画広告領域における、直近の注力ポイントをお聞かせください。
私たちインターネット広告事業では、広告効果の最大化をテーマに経営をしていますが、テレビCMとインターネット広告、それぞれの効果を横並びで可視化することが出来、かつ最適化運用をすることが出来るようにするための動きを現在取り進めています。
2025年は、CTVと地上波CM、またスマホ面も含めた横断での広告効果の可視化や運用における効果の最大化に注力してまいります。
ABOUT 野下 智之

ExchangeWire Japan 編集長
慶応義塾大学経済学部卒。
外資系消費財メーカーを経て、2006年に調査・コンサルティング会社シード・プランニングに入社。
国内外のインターネット広告業界をはじめとするデジタル領域の市場・サービスの調査研究を担当し、関連する調査レポートを多数企画・発刊。
2016年4月にデジタル領域を対象とする市場・サービス評価をおこなう調査会社 株式会社デジタルインファクトを設立。
2021年1月に、行政DXをテーマにしたWeb情報媒体「デジタル行政」の立ち上げをリード。