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AIトランスフォーメーションの最前線 JAPAN AI独自開発の高精度RAG技術とは?【インタビュー】

日本のAIトランスフォーメーション(AX)を牽引するJAPAN AI株式会社(代表取締役社長:工藤 智昭、以下「JAPAN AI」)が、独自開発したRAG(Retrieval-Augmented Generation)技術(*1)で業界最高水準の82.7%の精度を達成したことを発表し、大きな注目を集めている。

本記事では、プレスリリースを発表した背景や反響、そして独自開発したRAG技術がJAPAN AIのマーケティングに与えるメリットと、将来展望について同社の執行役員 CMO マーケティング部 部長 飯田海道氏とプロダクトマネジメント部 リーダー 久保田善行氏にお話を伺った。

 

(*1)RAG技術:大規模言語モデル(LLM)の精度と信頼性を、外部ソースから取得した情報で強化する技術。大規模言語モデル(LLM)が持つ一般的な知識に、企業内の信頼できる最新データを組み込むことで、より正確で信頼性の高い回答を生成する。

 

 

RAG技術に関するプレスリリースを行った背景

JAPAN AIは、AIを活用した企業変革を支援するため、コンサルティングやプロダクト提供、AI人材支援まで幅広く展開している。
今回プレスリリースで発表したRAG技術に関しても、同社は創業以来力を入れてきた分野である。

プレスリリースを行った背景として久保田氏は「ユーザー様から『他社と比べて精度が良い』という評価をいただいていたが、定量的な比較はこれまでなかったため」と述べ、自社の技術力を客観的に確認するため、調査・検証を行ったと説明した。

今回の調査・検証では、複数の大規模言語モデル(LLM)を用いて模範解答との意味的な類似性・一致性を考慮した正答率指標により評価を実施。社内外の評価データセットを用い、他社クラウド製品と比較するベンチマークを行ったところ、業界最高水準の82.7%という高精度を達成したことから、プレスリリースを行ったという。

RAG技術というある意味でニッチな分野ではあるが、この発表は大きな反響を呼び、飯田氏も「企業のAI推進者がRAG精度に高い関心を持っていることを実感した」と述べた。

JAPAN AIが発表した検証結果のグラフ。数字は約300の質問に対する回答の正答率で算出している。

 

JAPAN AIが提供しているサービス

JAPAN AI AGENT: 設定された目標に対し、AIが自律的に思考し、タスクを実行するAIシステム。日常的なタスクを自動化することができる。
サービスサイト:https://japan-ai.co.jp/agent/

JAPAN AI CHAT: 最新の言語モデルを活用した法人向けAI活用プラットフォーム。データ連携と独自開発による高精度RAGにより、社内データの検索や回答生成が可能。
サービスサイト:https://japan-ai.co.jp/chat/

JAPAN AI SPEECH: 議事録を自動生成するAIサービス。業界用語への対応や話者分離機能を備え、AIによる要約・編集も可能。
サービスサイト:https://japan-ai.co.jp/speech/

 

今回のプレスリリースに該当する機能

Agentic RAG:独自開発した高精度RAG。単に情報を検索して表示するだけでなく、回答の正当性を検証し、より適切な表現を確認・生成する。具体的には、複数の情報源を参照しながら、回答内容の整合性チェックや、より良い表現方法の検討を行い、最適な回答を生成する。

「Agentic RAG」は、JAPAN AIが提供している各サービスに実装されており、ユーザーは、従来のライセンスのまま使用することができる。

Agentic RAGのイメージ図。カスタム性も高く大規模言語モデル(LLM)に関しても、ユーザー側が最新の推論モデルを含むさまざまなモデルの中から選ぶことができる。

 

 

高精度RAG技術のユーザーメリットとマーケティング戦略

飯田氏はマーケティング視点からも今回の発表に大きな手応えを感じている。
「RAG精度が高いことで、新規のお客様はもちろんのこと、すでにJAPAN AIを利用しているお客様の満足度が上がり、利用率やライセンス数、LTV(顧客生涯価値)向上に直結すると考えています。私も実際に『Agentic RAG』を使用してみましたが、アウトプットされる品質が上がり、生成AIの回答の精度が明らかに向上していると感じています」と語る。

続けて「AIの進歩によって、日常的で雑多なタスクを人間ではなく、AIが行うシーンが今後増えていくでしょう。そんな時、企業におけるタスクの自動化においては、法人独自のデータとシームレスに連携できることは絶対条件であり、かつそこから正しい情報を抽出できることが重用な要素です。その両方を解決できる『Agentic RAG』は、多くの企業から支持されるはずです」と期待を込める。

実際に、今回のプレスリリースで、JAPAN AIのことを知った事業者からの問い合わせも多かったという。

飯田氏は「本リリースを機に、企業のAI活用における『RAG精度が重要な要素』であることを啓蒙し、より多くの企業に選ばれる存在を目指していきます」と強調した。

執行役員 CMO マーケティング部 部長 飯田海道氏
AIの導入に悩んでいる企業に対して飯田氏は「とにかく触ってみることが第一歩。AIツールに日常的に触れることで、業務改善のイメージが膨らみます」とアドバイス。
「JAPAN AIでは無料相談で企業の業務内容やAI利用目的をヒアリングし、最適なソリューションを提案しています。まずはお気軽にご相談ください」とサポートを約束した。

 

Agentic RAGの強みと特徴

「Agentic RAG」は、単なるFAQシステムに留まらず、独自のエージェント機能によって、真価を発揮する。従来のRAGでは、ユーザーが言語化できないニーズをシステムが汲み取れず、最適な回答を導き出すことが難しいという課題があった。しかし、エージェント機能を備える「Agentic RAG」は、システムがユーザーの意図を理解し、必要な情報を自ら考え、文章を吟味し、回答を生成することが可能となった。

この技術に関し久保田氏は「Agentic RAG」がゼロからカスタマイズされている点が大きな特徴と語る。
「他社がオープンソースやプリセットを利用するのに対し、JAPAN AIは独自の技術を開発して精度を上げると共に、将来的なカスタマイズに対応できるようにしています」と解説。

さらに、RAG技術において重要なデータアップロード時のチャンク分割(*2)の最適化について「文脈が維持される形でチャンク分割ができるように調整し、検索精度を向上させています。特に、検索後には質問に対する回答の妥当性をランキングする『Rerank』という手法を取り入れ、より正確な情報を生成できるようにしました」と明かし、JAPAN AIの高い技術力をアピールした。

プロダクトマネジメント部 リーダー 久保田善行氏
「Agentic RAG」の開発に関して久保田氏は「自分を含む社内エンジニア約10名が2ヶ月で基盤を開発しました」と報告。このスピード感もJAPAN AIの強みだ。

 

(*2)チャンク分割:テキストやデータを意味のある小さな単位(チャンク)に分割処理すること。大規模なテキストデータを扱う際、一度に全体を処理するのではなく、分割することで、効率的な処理や検索、分析が可能となる。

 

 

今後の展望

最後、久保田氏、飯田氏にJAPAN AIの今後の展望について聞いた。

久保田氏は技術的な今後の展望として「データベースに保存する前に、AIエージェントがデータ形式を分析し、RAGの精度を自動で最大化する技術を開発中です。2025年の夏までに実装できるように作業を進めています」と報告。

この技術は、AIエージェントが人の手を借りず、自らデータの形式を最適化し、RAGの精度を向上させるというもの。これは、AI自らが考えて改善し、実行するという革新的な技術ではないだろうか。

飯田氏は「多くの企業がデータの保存方法やデータの活用方法(紙ベースのもの、パワーポイントなどテキストではないデータをどのように生成AIに学習させるのかなど)、AI導入による業務プロセスの変化に悩んでいます」と現状を説明。その上で「今後は、さまざまな業務アプリケーションや、他社が提供するソリューションと自社サービスの連携を進め、さまざまなデータソースからの情報を統合し、業務プロセス全体を自動化するプラットフォームとして業務の自動化を加速させていきます」と抱負を語った。

そして最後に、「JAPAN AIは、国産AI企業として、日本企業特有の業務文化に寄り添い、温かみのある支援を提供していきます」と力強く締めくくった。

 

JAPAN AI最新情報

JAPAN AIのプレスリリースは下記から確認できる。
https://japan-ai.co.jp/news/
【PR TIMES】
https://prtimes.jp/main/html/searchrlp/company_id/124536

【広告レポートエージェントの紹介】
JAPAN AIでは自律型AIエージェント「JAPAN AI AGENT」のラインナップとして、広告運用データを自動でレポート化するAIエージェント「広告レポートエージェント」の提供を5月1日より開始した。
詳細は、下記プレスリリースから確認できる。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000077.000124536.html

 

 

ABOUT 町田貢輝

町田貢輝

ExchangeWireJAPAN 編集担当 日本大学法学部法律学科卒業。編集プロダクション、出版社でエンタメ、健康、IT関連の雑誌と書籍の編集・進行管理に従事。2024年に調査・コンサルティング会社シード・プランニングに入社。DX領域のメディア運営全般ならびに、調査研究を担当する。