新世代のシゴト観-「ありのままの自分」で挑戦し続ける:UNICORN 岡 優莉称氏

アドテク業界で活躍する若手社員が、どのような価値観・仕事観で、日々の仕事にどう向き合っているのか——。
今回お話を伺ったのは、UNICORN株式会社の営業、岡 優莉称(ゆりな)氏。3年前新卒でアドウェイズに入社し、幅広い業界のクライアント案件を経験。
2025年4月にグループ会社でDSPを提供するUNICORNに異動してわずか数か月ながら、大手代理店に対する柔軟かつ深い提案で存在感を発揮している。
彼女の言葉からは、自分らしさを大切にしながらも、変化を恐れず成長を目指そうとする姿勢がにじみ出る。
課題の奥まで踏み込む営業とUNICORNの魅力
現在、岡氏は自社プラットフォーム「UNICORN」を活用した提案営業を担当している。対象は国内の大手総合広告代理店とその先にいるクライアント。単なるプロダクトセールスではなく、顧客ごとの状況や課題に応じて活用方法を一から共に探るスタイルだ。
営業について岡氏は、「単にメニューを紹介するだけでは十分ではありません。『活用方法を工夫すればもっと成果につながるのでは』『異なるデータを組み合わせれば新しい価値が生まれるのでは』と、顧客と共に発想を広げていくのが醍醐味」と語る。
UNICORNのプロダクトは、あらかじめ決まった形で提案するのではなく、顧客に合わせてカスタマイズできる柔軟性が特徴だ。岡氏曰く、「その柔軟性によって活用の幅が広がり、新たな提案の可能性も生まれている」とのこと。
営業としては固定化されたセールストークはなく、案件ごとに最適解をゼロから組み立てる必要があり、それが大きなやりがいにつながっているとのことだ。
「定型の提案にとどまらず、顧客の状況に応じて設計する案件が多い分、営業としての設計力や発想力が常に試されます。UNICORNの営業はそういう力を鍛えられる環境だと思います」
対クライアントだけではなく、社内のクリエイティブや運用チーム、プランナーとの調整も欠かせない。限られたリソースの中で優先順位を見極め、関係者を巻き込みながら案件を推進させる——若手や経験が少なくとも次々と新しい挑戦を任せられるというUNICORNの職場環境で得られる経験は、岡氏のビジネスパーソンとしての成長を一段と加速させている。
「自分らしさ」を貫く
岡氏の自然体な営業スタイルの原点には、新卒就職活動中のある面接での経験がある。アドウェイズの最終面接で役員からかけられた一言だった。
「岡さんは岡さんのありのままの姿で入社して来てほしい」
社会人になると、多くの場合、会社に合わせて自分を作り込んでしまう。しかしこの時、「自分らしく働いてほしい」と言われたのは初めてだったという。この言葉が転機となり、「自分を尊重してくれる・自分の個性を生かして働くことができる環境がある」と実感し、入社を決意した。
この言葉を胸に、入社後も「任された範囲をこなす」だけでなく、「課題の本質は何か」「自分ならどう動くか」から行動を組み立てるスタイルを貫いてきた。岡氏は「課題の本質を起点に考える姿勢を大切にしている」という。

営業観を変えた「失注からの逆転」
営業としての粘り強さを象徴するのが、新卒1年目にアドウェイズの営業として挑戦した大型コンペ案件だ。年間数億円規模の商談でフロントを任されたが、結果は失注。「必ず受注すると思っていただけに、悔しかった」(岡氏)と当時を振り返る。
しかしその後も諦めることはなかった。失注後も担当者との対話を継続し、関係を途切れさせず、「相手の頭の片隅に自分がいる状態」を意識的に作った。単発の商談ではなく、長期的な会話を重ねることで信頼を築いた約半年後、別部署から新たな提案依頼が舞い込む。
この“再挑戦”では、与えられた条件をそのまま受け入れるのではなく、「自分がクライアント側ならどう課題を解くか」という視点で再設計に取り組んだ。プランナーと何度も議論し、別視点の解決策を提示した結果、受注を勝ち取った。
「お客様から『提案そのもの以上に、岡さんと仕事がしたいと思えた』と言われた時は、本当に嬉しかった。提案内容に加えて、日々のやり取りや信頼の積み重ねが受注につながったと思います」(岡氏)と表情を輝かせる。
クライアントと誠実に向き合うUNICORNスタイル
営業として成果を意識するのは当然だが、岡氏が重要視するのは「クライアントのご予算を、いかに成果につなげる形で運用できるか」という視点だ。
例えば、「UNICORN(DSP)は国内最大級の豊富な在庫を持っていますが、特に期間やターゲティング条件の限定が多い場合、ご予算を最大限に活かすことが難しい局面もある」そんな時はどうするのだろうか。
「実効性を欠いた予算活用につながる提案はしません。無理をして意図しない枠や想定していないユーザーに出てしまうより、本質的で最適な投資戦略を改めてご提案します」
成果を追うことは営業にとって当然ではあるが、その過程でクライアントと誠実に向き合い、自社の予算のためではなく、相手の利益を考え行動する。この正義感や考え方こそがUNICORNという会社のスタイル、いわば「UNICORN流」のようだ。
アドテク業界の魅力は、横のつながりの強さ
岡氏はUNICORNに異動してから、アドテク業界特有の文化を強く実感している。
「この業界は横のつながりが本当に強い。競合関係にあっても互いを敵視せず、情報交換も活発で、業界全体を前進させる仲間と捉える人が多い気がする。健全に刺激し合いながら、新しい市場課題に向き合う文化がある」と感じているそうだ。
Cookie規制やプライバシー強化、AI活用など、変化が激しい中でも、この横のつながりが課題解決を加速させる。「変化が早いからこそ、新しい課題もすぐに出てくる。でも、それを共有して一緒に解決しようという空気がある。これは他業界にはあまりない特徴だと思いますし、とても魅力的です」(岡氏)
業界のイベントに行けば、立場や世代も超えた人たちともフラットに交流することが出来る。会う人は皆明るくてポジティブで、楽しそうに仕事に取り組んでいる。「企業や立場を超えて共通の考えやビジョンについて考える文化が根付いている」と。こうしたアドテク業界全体の前向きな空気を大きく吸いながら、岡氏は自身の成長意欲をさらに高めている。
変化を恐れず、必要とされる存在へ
変化が多い今の環境を、岡氏は脅威ではなく機会と捉えている。
「広告枠そのものの価値は変わらないが、それだけを提供する時代ではなくなった。いま問われているのは、データやテクノロジーをどう組み合わせ、成果につながる価値に変えていくか。変化が早い分、挑戦の余地も大きいと感じる」
若手の役割については、「固定概念にとらわれない発想」と「変化を柔軟に受け入れる姿勢」だと話す。経験が浅いからこそ持てる素直な疑問や新鮮な視点が、新しい可能性に繋がると信じている。
将来のビジョンはどう考えているのか。「顧客から必要とされる存在であり続けたいですね」(岡氏)。広告やアドテクの未来については、よりパーソナライズが進み、生活者が“広告”を意識せず自然に受け入れる時代になると見ているという。
「まずは目の前の課題に対し自ら仮説を立て、相手の期待を先回りして提案できるようになりたいですね。そして将来的にはマネジメントにも携わっていきたい。多様な目的を持つチームメンバーを一つの方向へ導ける、人から信頼される存在になりたいです。」
そしてライフステージの変化が起こるタイミングも見据え「柔軟に働いていきたいですね。次世代のモデルとなれる存在を目指したいです」
岡氏は「一方的ではなく、生活の一部として受け入れられる広告をつくっていきたい。そのために、自分もずっと成長し続けたいです」と今後の意気込みを語った。
取材を終えて
人材不足にあえぐ企業が多い中、勢いのある若手が活躍し成長するUNICORNのカルチャーが取材を通して垣間見えた。
過去アドウェイズで新卒の面接を担当することがあった岡氏は「相手の緊張をほぐして親しみやすい雰囲気を創生してほしい」と言われたそうだ。企業は選ぶ側でもあるが、相手は企業を選ぶ立場でもある。その人らしさを大切に、人の本質をしっかりと見極めるUNICORNだからこそ魅力的な人材が集まり、若手が活躍できるのだろうと感じる。
岡氏をはじめとする、同社の優秀な若手の今後のさらなる活躍が楽しみだ。
ABOUT 野下 智之
ExchangeWire Japan 編集長
慶応義塾大学経済学部卒。
外資系消費財メーカーを経て、2006年に調査・コンサルティング会社シード・プランニングに入社。
国内外のインターネット広告業界をはじめとするデジタル領域の市場・サービスの調査研究を担当し、関連する調査レポートを多数企画・発刊。
2016年4月にデジタル領域を対象とする市場・サービス評価をおこなう調査会社 株式会社デジタルインファクトを設立。
2021年1月に、行政DXをテーマにしたWeb情報媒体「デジタル行政」の立ち上げをリード。




