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電通デジタルがGEO分析から見えてきた傾向を説明。Google 「AI モード」に対応する国内サポートチームを設置。

株式会社電通デジタルは、9月9日都内にて生成AI活用によるマーケティングの最新動向についてのメディア向け説明会を行った。同社CAIO(Chief AI Officer:最高AI責任者)兼執行役員の山本覚氏は、生成AIに特化した新たなマーケティング手法GEO(Generative Engine Optimization)の重要性・手法を紹介し、生成AIの中で行われるマーケティングについて説明を行った。さらに、同日日本上陸が発表されたGoogleの新機能「AI モード」に対応するため、電通デジタル内にサポートチームを発足したことを発表した。

 

Adobe Analyticsのレポートによると、2024年8月から2025年2月にかけて、生成AI経由でのトラフィックは1,200〜1,700%増加している。デジタルマーケティングにおいては、これまでのSEOに加え、生成AIに対応したGEO※への対応が求められる。

※GEOとは「Generative Engine Optimization:生成エンジン最適化」の略で、生成AIがユーザーに対して行う回答に、企業のブランドや商品を言及させるための手法を指す。従来のSEOが検索結果での上位表示を目指すのに対し、GEOはAIの対話や要約の中に自社情報を組み込むことを狙う。

 
 

生成AIに特化したGEOサービス

 

 

電通デジタルのGEOサービスは、大きく4ステップで構成される。

①AIツール選定とプロンプト設計:ChatGPT、Gemini、Perplexityなど対象ツールを選定し、検証すべきプロンプトやキーワードを設計。

②データ収集・分析:設計したプロンプトをAIに入力し、引用数・言及数を収集。記事ページやFAQなど、引用傾向を可視化。

③最適化提案:サイト構造やコンテンツタイプ別の傾向を分析し、最適化施策を提示。

④モニタリングと改善:施策実施後の引用変化をKPIとして追跡し、PDCAサイクルで精度を高める。

また、開発拠点である電通データアーティストモンゴルと連携し、引用数やセンチメント分析を可視化する専用ダッシュボードを開発中。自社と競合の引用傾向を横断的に把握できる点が特徴的である。

 
 

生成AIの傾向分析

 

電通デジタルの調査分析では、生成AI対策はこれまで「FAQページを作ることが重要」と思われていたが、実際には引用URLの大多数が「記事詳細ページ」であることが判明したとのこと。さらにSEO上位のURLから引用されている傾向はあるものの、生成AIはSEO上位51位圏外からも多く引用しており、生成AIは文脈でのヒットを重視しているとみられる。さまざまな業界別に「どういった引用が行われているか」という分析では、引用元は自社サイトのみならず他社ドメインやストリーミングサービス・個人ブログなども含まれ、幅広い引用元が出現しており、企業にはジャンルや領域ごとに違った対策が必要とされる。

GEO支援対策の事例として、ゴルフダイジェスト・オンラインの「ライトゴルファー(ゴルフ初心者)獲得」に向けた施策が紹介された。生成AIに対する「2025年おすすめドライバーは?」や「初心者向けゴルフ場を教えて」といった100件のプロンプトを分析したところ、記事詳細ページが最も引用されやすいことが判明。生成AIはページ内上部・HTML上の重要要素を引用する傾向が強いとの結果を導き出した。そこでサイト内で「結論ファーストかつパラグラフ単位で簡潔に記載する」ことが重要な可能性をゴルフダイジェスト・オンラインに提案し、コンテンツを追加。結果、引用数は1カ月で144%増加したとのことである。

 
 

Google「AIモード」に対応するサポート

 

Googleが9月9日に国内提供を開始した「AIモード」への対応に向け、国内サポートチームを発足したことを発表した。「AIモード」は、従来の検索行動を大きく変え、単発のキーワード検索から「相談型」の検索スタイルが一般ユーザーに浸透していくと考えられる。検索結果には、ユーザーの文脈に沿った情報が表示され、購買・申込といった行動へ直結するケースが増加すると見込まれる。今後広告が表示される際にも、会話や文脈に対応したマーケティング・設計が必要となる。

電通デジタルでは、今後「AIモード」に適したマーケティング施策の設計やブランド露出の最適化を目標とし、SEOやSEM時代に培ったノウハウや、生成AIの知見を活かしたマーケティング支援を行う。

ABOUT 角田 知香

角田 知香

ExchangeWireJAPAN 編集担当。イギリス・キングストン大学院にて音楽学の分野で修士号を取得。学校・自治体文化講座等にてアート講座講師として活動後、2024年に調査・コンサルティング会社シード・プランニングに入社。