UNICORN、メディア向け新サービス「UNICORN FOR:Publisher」を提供開始――収益性とユーザー体験の両立を支援

写真:ATSTokyo2024で登壇する山田 翔氏
UNICORNは、デジタルメディアの収益性向上とユーザーエクスペリエンスの改善を支援する新サービス「UNICORN FOR:Publisher」の提供を開始した。
本サービスは、広告を掲載する側であるパブリッシャーに焦点を当て、メディア運営の持続性向上と広告エコシステムの健全化を無償で支援するものである。

デジタル広告市場では、ページビューや広告枠数に依存する収益構造が一般化する一方、過剰な広告量や刺激的な表現の広告が増加し、ユーザー体験が低下する課題が指摘されている。この状況に対し広告主はブランドセーフティの観点から掲載面の選別を強めており、メディアは収益最大化とユーザー体験維持の両立というジレンマに直面している。
UNICORNはこうした市場構造の歪みに危機感を持ち、広告とコンテンツが調和したメディア空間の再構築に取り組む方針を示している。
UNICORNは、メディア空間の質が高まることでユーザー来訪が増加し、広告効果が向上し、結果として媒体の価値向上と収益安定につながると捉えている。「UNICORN FOR:Publisher」は、この好循環を実現することを目的に設計されている。
本サービスでは三つの支援機能を提供する。
第一に、メディアが保有する1st Party Dataを活用した広告配信を行い、そのデータ利用料をメディアに還元する。データはTreasure Data CDPに保管され、CDP利用料はUNICORNが負担するため、メディアは追加コストなしで新たな収益源を得ることができる。
第二に、Lumen Researchのアテンション計測ソリューションを用い、各広告枠における注目時間やアテンション率をメディアに提供する。これにより、ユーザーの注目を得にくい枠を特定・削減することで、全体の収益性を維持しつつユーザー体験を向上させる改善が可能となる。
第三に、メディアの特性や強みを踏まえた戦略立案や実行を通じ、ブランド広告主との接点拡大を支援する。
UNICORNは今後も「UNICORN FOR:Publisher」を通じて、ユーザー、広告主、メディアの三者が価値を享受できる広告エコシステムの実現を目指すとしている。併せてアドウェイズグループ全体として、国内外で実用的な広告マーケティングサービスの開発を進め、持続可能な市場環境の構築に取り組む方針である。
アテンション計測導入と媒体支援が一貫した課題意識のもとで展開
UNICORNによる「UNICORN FOR:Publisher」の開始は、同社が先に発表したLumen Researchとのアテンション計測導入と方向性が一致している。アテンション計測は、広告枠ごとの“見られ方”を可視化し、広告主・媒体双方の改善に活用するものである。
一方、今回の新サービスは、媒体がそのデータを活用し、枠改善や収益改善に取り組むための支援を直接提供するものであり、両施策は補完関係にある。
また、ATS Tokyo 2024での山田翔代表の登壇では、広告がユーザーに十分読まれていない状況や、媒体側がAttentionデータに基づき枠を理解する重要性が述べられていた。
今回の二つの発表は、この問題提起と整合した内容となっており、広告品質向上に向けた実行段階へ移行していることが確認できる。
これによりUNICORNは、広告主向けのアテンションデータ提供と、媒体向けの枠・収益改善支援の両面から、広告効果とメディア価値の向上に作用する施策を展開していることが明確となった。
ABOUT 野下 智之
ExchangeWire Japan 編集長
慶応義塾大学経済学部卒。
外資系消費財メーカーを経て、2006年に調査・コンサルティング会社シード・プランニングに入社。
国内外のインターネット広告業界をはじめとするデジタル領域の市場・サービスの調査研究を担当し、関連する調査レポートを多数企画・発刊。
2016年4月にデジタル領域を対象とする市場・サービス評価をおこなう調査会社 株式会社デジタルインファクトを設立。
2021年1月に、行政DXをテーマにしたWeb情報媒体「デジタル行政」の立ち上げをリード。



