先週のアドテクシーン: JIAAがネイティブ広告に関するガイドラインを策定、Facebookが「LiveRail」を利用したモバイル動画広告展開をF8で発表
(ライター:岡 徳之)
広告テクノロジー業界を定点観測するExchangeWire編集部が、過去一週間に起きたトピックの中から特に注目すべきものをピックアップしてお届けする。
JIAAがネイティブ広告に関するガイドラインを策定
国内のネット広告の業界団体「JIAA」が、ネイティブ広告に関するガイドラインを策定した。ネイティブ広告という名前はバズワードのように広がったが、これによって一定の定義づけが完了したことになる。定義が決まったことでさらなる発展が期待される。ガイドラインでは「ネイティブ広告を媒体社が編集する記事・コンテンツであるとユーザー(消費者)が誤認することのないよう、広告の責任の所在を明確にするために、広告であることと、広告主体者が誰であるのかを明確にすることが必要である」などの旨が盛り込まれている。
メディアシークがスマートフォン向け動画広告配信事業に参入
メディアシークが、動画広告配信プラットフォーム「App-CM」を運営するLUプロモーションを買収し、スマートフォン向け動画広告配信事業に参入する。LUプロモーションは「株式会社アップシーエム」に商号変更し、メディアシークの連結子会社となる。App-CMは動画圧縮時のノイズカットや色彩データの最適化など独自の圧縮技術により、 スマートフォン環境でスムーズな再生を可能にする動画広告配信プラットフォーム。2015年3月よりメディアシークの提供するバーコード読取りアプリ「アイコニット」での動画配信を開始し、アイコニットプラットフォームにおける広告収益拡大を目指す。さらに、近日中に各種人気アプリでの動画広告配信を開始する予定だという。
ユナイテッドのDSP「Bypass」がマイクロアドのSSP「MicroAd COMPASS」と接続を開始
ユナイテッドが提供するDSP「Bypass」が、マイクロアドが提供するSSP「MicroAd COMPASS」とRTB接続した。MicroAd COMPASSは「MicroAd AdFunnel」からリブランドされたプラットフォームで、月間の広告在庫はPCとスマホ合わせて450億インプレッションを有する。Bypassとしては10個目の接続となる。
KCCSがDMPの提供を開始
京セラ傘下のKCCSが、同社のデジタルマーケティングブランド「KANADE」の新サービスとしてDMPの提供を開始する。DMPはRocketFuelの「Rocket Fuel Origin DMP」を扱う。Rocket Fuel Origin DMPは、企業が保有するさまざまなデータに加え、Webメディアなどの第三者から提供される3rd Party Dataを統合し、顧客のセグメントデータを生成。トリプルメディアやマルチデバイスを通じたキャンペーンを実行し、顧客の属性に合ったメッセージ配信をリアルタイムで行うもの。RocketFuelはDSPを主として提供しており、そのノウハウが活かされたDMPである。
TAGGY「おもてなしバナー」がGoogleのDSP「DoubleClick Bid Manager」で配信を開始
TAGGYが、同社が提供する広告上で商品をレコメンドするダイナミックレコメンド広告「おもてなしバナー」の配信を、Googleが提供するDSP「DoubleClick Bid Manager」で開始した。おもてなしバナーは、ECサイト、求人サイト、不動産サイト、旅行サイトを中心に、2015年2月時点で700社に利用されている。今回の連携により、広告主企業は現状のおもてなしバナーの1.8倍以上の配信ボリュームとコンバージョン数の増加が期待できるという。
ALBERTとエヴィクサーがビッグデータ活用分野で資本・業務提携
ALBERTが、エヴィクサーとの間で資本提携を行い、ビッグデータ活用分野で包括的業務提携を行うことを決議した。エヴィクサーは、テレビやラジオの放送データ及び、映画、デジタルサイネージなどのオフラインコンテンツと、スマートフォンを中心とするモバイルデバイスでの接触データを統合する技術を提供している。今回の提携により、ALBERTのDMP「smarticA!DMP」にこれらのO2Oデータが取り込まれるようになり、オムニチャネル施策に役立てるという。
DACのメッセージングサービス管理ソリューションがスマホ向け販促プラットフォーム「Flipdesk」と連携
デジタル・アドバタイジング・コンソーシアムが、Socketと業務提携を行い、DACのメッセージングサービス管理ソリューション「DialogOne」とSocketのスマートフォン向け販促プラットフォーム「Flipdesk」を連携させた。今回に連携により、「LINE」などのメッセージングサービス上で行われる広告主とユーザーのコミュニケーション情報をオウンドメディア内でもリアルタイムで活用し、パーソナライズされたメッセージやクーポンなどを表示することで、広告主とユーザーのコミュニケーションの最適化を図るサービスを提供するという。EC施策もメールの次のステップに入った印象である。
「popIn」がプレミアム媒体での自動再生型スマートフォン向けネイティブ動画広告を開始
ネイティブ広告プラットフォームの「popIn」が、スマートフォン向けネイティブ動画広告「popIn Video Ads」を2015年4月1日に開始する。 popIn Video Adsは、新聞社・通信社・雑誌社などのプレミアム・スマートフォンメディアをネットワーク化しており、インフィードのような形で媒体コンテンツの中で動画広告が自動再生され、タップするとプレイヤーが立ち上がる仕組みになっている。すでにいくつかのプレミアム媒体で導入が決まっている。
Facebookが「LiveRail」を利用したモバイル動画広告展開をF8で発表
Facebookが、デベロッパー向けの祭典である「F8」で、昨年買収した動画広告プラットフォームの「LiveRail」についてモバイルでも展開を始めることを発表した。主な利用者として、モバイルアプリパブリッシャーを想定しており、新たな動画広告配信先となる。利用者はモバイルで配信する動画広告およびディスプレイ広告を管理することができ、またFacebookの手法を利用し、適切なオーディエンスに向けて適切な広告を配信できるようになるという。
日本オラクルがオムニバスとの連携により「Oracle BlueKai Audience Data Marketplace」を拡充
DMPの「BlueKai」を買収後、オラクルブランド「Oracle BlueKai Audience Data Marketplace」で提供している日本オラクルが、デジタルエージェンシーの「オムニバス」と連携する。オムニバスが国内マーケティング用に作成したセグメントと、BlueKaiのセグメントとを紐付けることで、オーディエンスデータのローカライズをした形となる。
ABOUT 野下 智之
ExchangeWire Japan 編集長 慶応義塾大学経済学部卒。 外資系消費財メーカーを経て、2006年に調査・コンサルティング会社シード・プランニングに入社。 国内外のインターネット広告業界をはじめとするデジタル領域の市場・サービスの調査研究を担当し、関連する調査レポートを多数企画・発刊。 2016年4月にデジタル領域を対象とする市場・サービス評価をおこなう調査会社 株式会社デジタルインファクトを設立。 2021年1月に、行政DXをテーマにしたWeb情報媒体「デジタル行政」の立ち上げをリード。