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「広告が嫌われない場所」へ ─レノボ・ジャパン×電通デジタル×UNICORNが示す、ゲーム内広告の可能性[インタビュー]

右:電通デジタル Dentsu Digital Global Center (DDGC) Manager 竹内 知熙氏

左:UNICORN ブランドマーケティング ディビジョン シニアマーケティングコンサルタント 堀 貞寛氏

 

スマートフォンゲームが幅広い生活者の“日常行動”として定着し、ゲームはもはや一部の愛好家だけの文化ではなくなった。ゲームは広告主にとって大規模かつ高頻度で接触し得る新たなメディアとして注目されている。なかでも、昨今注目を集めているのが、ゲームプレイの中に自然に溶け込む「ゲーム内広告(In-Game Advertising)」だ。

欧米ではすでに一般化しつつあるゲーム内広告(In-Game Advertising)だが、国内ではまだ事例が少なく、その広告媒体としての魅力、可能性についての理解も発展途上にある。

今回、レノボ・ジャパン(以下、レノボ)がUNICORNのゲーム内広告ソリューションを活用し、レノボのゲーミングブランド「Legion(レギオン)」の認知向上を目的としたキャンペーンを実施した。本施策は、電通デジタルが導入を支援し、広告主・代理店・配信プラットフォーマーの三者が連携して実現した。

ユーザーのゲーム体験を妨げず、自然に視界へ入り、かつ嫌われにくい──。こうしたゲーム内広告の本質的な価値とは何か。そして、レノボの事例はゲーム内広告の未来にどのような示唆を与えたのか。

電通デジタル Dentsu Digital Global Center (DDGC) Manager 竹内 知熙氏と、UNICORN ブランドマーケティング ディビジョン シニアマーケティングコンサルタント 堀 貞寛氏にお話を伺った。

(Sponsored by UNICORN)

(聞き手:ExchangeWire 野下智之)

 

生活者の“可処分時間”を捉える新メディア

まずは自己紹介をお願いします。

竹内氏:私は電通デジタルのグローバルセンターに所属し、海外企業の日本市場でのデジタルマーケティング支援や、日本企業の海外進出支援を担当しています。広告・デジタル・インフルエンサーなど幅広い領域を経験していますが、ゲーム内広告を本格的に扱うのは今回のレノボのプロジェクトが初めてでした。

 

堀氏:UNICORNの堀です。昨年4月に同グループのアドウェイズからUNICORNに参画し、現在は電通デジタル向けの営業を担当しています。グローバルアカウントを中心に、クライアントのKPI達成に向けたUNICORN活用を提案しています。

 

ゲームという媒体が広告主にとって魅力的なのはなぜでしょうか?

竹内氏:まず、市場規模とユーザー数の多さが挙げられます。国内のゲームコンテンツ市場は2兆円を超え、アプリゲームを含めると5,000万人以上がプレイしています。世界では約30億人以上と言われており、もはやゲーム自体がマスメディア化している実情があります 。

生活者の可処分時間において、SNSなどと並んで多くの時間を占めているのがゲームです。特にゲーム中は画面への集中度が高いため、そのモーメントの中で広告枠を活用することは、戦略的に非常に有効だと考えています。

 

 

 広告感がない”から嫌われない─ゲーム内広告の本質

近年のゲーム内広告技術の進化について教えてください。

堀氏:従来、アプリゲーム内の広告といえば、動画を見てポイントをもらう「リワード広告」などが主流でした。しかし今回実施した「ゲーム内広告」はそれとは異なります。 例えば野球ゲーム内の球場にある看板や、街作りシミュレーションゲームのビルボードなど、ゲームの世界の中に自然な形で広告を掲出する手法です。

リワード広告は高い視認性と確実なリーチが得られる一方で、ゲーム体験が一時的に区切られるという特性も持っています。

一方ゲーム内広告は、自然な形でユーザーの視界に入るため、ユーザーからゲーム内のクリエイティブの一つとして、受け入れられる点が大きな特徴です。

 

レノボへの提案時の反応はいかがでしたか?

竹内氏: とてもポジティブに捉えていただけました。ですが一点、ゲーム内広告はユーザーのプレイを中断させないために「クリックができない」という特性があります。

今回は認知とサイトトラフィックの両方が目的でしたが、ゲーミングブランド「Legion」という商材がゲームと親和性が高かったこともあり、ユーザー体験を損なわないこの手法がフィットしました。

 

堀氏: 当初はUNICORNのコンテクスチュアルターゲティングを使ったYouTube配信を提案していたのですが、「せっかくならゲームユーザーが集まる場所へ」ということでゲーム内広告もセットで提案させていただきました。

ゲーム内広告は、ユーザーが広告をクリックすることはできませんが、ブランドリフト調査(BLS)で効果を可視化できる点をご説明し、実施に至りました。

実際に、ゲーム内広告は自然な露出であるため、ブランドリフト調査(BLS)においてブランド想起が上昇しやすいのです。

 

 

レノボ事例が示した確かな手応え

UNICORN 堀 貞寛氏

 

レノボの施策で得られた結果を教えてください。

堀氏:非常に良い結果が出ました。特にターゲットとしていた18〜34歳の若年層においては、広告非接触者と比べて広告接触者の広告想起が大幅に増加しました。また、今回は比較のために35〜69歳の層にも配信したのですが、こちらも、若年層には及ばないもののリフトが見られました。若年層はもちろん、幅広い年齢層にアプローチできた点は大きな成果です。

 

竹内氏:ゲームプレイを中断させずに、看板広告のように視界に入ることで認知を獲得できた点がワークしたのだと思います。ゲーミングPCや周辺機器、エナジードリンクなど、ゲームと親和性の高い商材であればかなり高い効果が期待できると確信しました。

 

ゲーム内広告は、クリエイティブの差し替えなどは可能なのでしょうか?

堀氏:はい、ご要望に応じて差し替えることもできます。ゲーム内広告は、デジタル上のOOH(屋外広告)に近いイメージですが、通常の屋外看板と違い、ターゲットを絞り込んだり、効果を計測したりすることもできます。

 

レノボ担当者Jade Lee氏のコメント

今回のゲーム内広告施策を振り返ると、実施前から「ユーザー体験を損なわずにブランドを自然に想起させられるのでは」と期待していました。実際に取り組んでみて、ゲームプレイの没入感を妨げない形で Legionの世界観を届けられた点に、大きな手応えを感じています。

Legionはユーザーに寄り添い、ゲーム体験をより豊かにすることを大切にしているブランドです。その意味でも、今回のような"嫌われない広告体験"を実現できたことは、広告主として良かったと感じたポイントでした。

今後も、ユーザー体験と調和する広告メニューの拡充に期待しています。

 

 

国内の配信環境と市場課題を超えて

国内の配信面の状況はいかがですか?

堀氏: 現状、ゲーム内広告の在庫(枠)を提供しているSSPは海外企業が中心です。国内の主要ゲームデベロッパー様は、広告枠の開発やSDK導入、トラブル時の対応などに慎重で、まだ開拓が進んでいないのが実情です。

しかし、国内メジャータイトルに配信できるようになれば、「そのゲームに出稿したい」というクライアントニーズは爆発的に増えるはずです。リワード広告が国内アプリに浸透したように、ゲーム内広告も今後広がっていくポテンシャルは十分にあります。

 

ブランドセーフティへの懸念についてはどうお考えですか?

竹内氏:たしかに、「ゲームには暴力的な表現があるのではないか」と懸念される広告主様もいらっしゃいます。しかし、映画やドラマにも同様の表現はありますし、ゲームはあくまでエンターテインメントとして楽しまれているものです。

「銃撃戦があるゲームだから広告を出さない」ではなく、ユーザーが楽しんでいるその場に広告を出すことに価値がある。そうした認識の変化(パーセプションチェンジ)が、我々エージェンシーや広告主側にも必要だと感じています。

 

「アテンション」に向き合う──今後の展望

電通デジタルでは今後、ゲーム内広告をどう位置づけていきますか?

竹内氏:今回の結果を受けて、ゲーム関連商材に対しては十分にワークすることが分かりました。

また、dentsuとLumenの調査(2024年)では、ゲーム内広告は通常のオンライン広告に比べて約2.4倍のアテンションを得ているというデータもあります。今後は、クリック計測至上主義ではなく、アテンション(注目)をベースにした評価ができれば、さらに活用の幅は広がると思います。

 

─UNICORNとしての今後の展望をお聞かせください。

堀氏: 私たちは今、「アテンション計測」に注目しています。私たちの広告ではすでにアテンションに基づいた配信最適化が可能ですが、ゲーム内広告においても将来的にアテンション計測(OM SDK対応など)ができるよう開発を進めています。

「ただ出稿して終わり」の看板広告ではなく、実際にユーザーに見られているかを計測し、それに基づいて配信を最適化する。これが実現すれば、ブランド想起や好意度といった態度変容指標をより正確に可視化・最適化できるようになります。

生活者の可処分時間の多くを占有しているゲームというメディアには、確実にユーザーが存在します。そこに「価値のある広告」を提供できるよう、プロダクトをさらに進化させていきたいと考えています。

 

 

今回の、レノボにおける事例は、ユーザー体験を阻害しない「ゲーム内広告」が、若年層を中心としたブランドリフトに極めて有効であることを実証した。クリック至上主義から脱却し、アテンションとブランド効果に向き合うこの手法は、広告主にとっての新たな“聖域”となるかもしれない。

こうした「体験融合型」のゲーム内広告に加え、近年では、ユーザーが自ら選択して広告を視聴する「リワード広告」も引き続き活用されており、目的やKPIに応じて使い分けられる環境が整いつつある。

ゲーム空間は、単一の広告手法に依存するのではなく、複数のフォーマットが共存することで、いよいよ多面的なマーケティングの場へと進化している。UNICORNは、この潮流を確かなものにするため、さまざまなフォーマットを通じて「ゲームというメディアの価値」を最大化させる取り組みに、より一層注力していく。

ABOUT 野下 智之

野下 智之

ExchangeWire Japan 編集長  

慶応義塾大学経済学部卒。
外資系消費財メーカーを経て、2006年に調査・コンサルティング会社シード・プランニングに入社。

国内外のインターネット広告業界をはじめとするデジタル領域の市場・サービスの調査研究を担当し、関連する調査レポートを多数企画・発刊。

2016年4月にデジタル領域を対象とする市場・サービス評価をおこなう調査会社 株式会社デジタルインファクトを設立。
2021年1月に、行政DXをテーマにしたWeb情報媒体「デジタル行政」の立ち上げをリード。