×

PMP取引を中心としたプログラマティック広告取引の利点とは?-日本経済新聞社とPubMaticが築いた賢明な広告マネタイズ手法[インタビュー]

オンライン広告の発展に大きな貢献を果たしてきたプログラマティック広告取引だが、近年では広告単価の低下やブランドセーフティへの懸念及び不透明な広告取引を巡る課題が問題視されるようになってきた。これらの課題を乗り越えるべく、独自の仕組みを構築してきた日本経済新聞社とPubMaticの事例を探る。

(Sponsored by PubMatic)

 

海外デマンドをいかに取り込むか

 

菅原氏:今回の対談の司会を務めさせていただくPubMatic Japanの菅原です。まずは各自の自己紹介からお願いします。

 

大郷氏:日本経済新聞社でメディアビジネス ソリューション推進ユニット オペレーショングループ部長を務める大郷 真由と申します。日経電子版への広告配信設定、レポーティング、データ活用、プログラマティック領域などを管掌しています。

 

粟飯原氏:PubMatic Japanのカントリーマネージャーを務める粟飯原 健です。2021年にPubMaticに入社し、2024年より現職に就きました。電通時代を含めた30年以上にわたる広告業界での業務経験を生かしながら、日本の媒体社と広告主の皆様により良い広告エコシステムを提供できるよう尽力しております。

 

菅原氏:改めまして、PubMatic JapanにてCustomer Success Managerを務める菅原 祥子です。日本経済新聞社様をはじめ、ウェブ、モバイルアプリ、コネクテッドテレビ、OTT領域の媒体社様に対して収益最適化やプロダクト活用支援、PMP構築、オークション分析などの業務を担当しております。

 

菅原氏:自己紹介を一通り終えたところで、次に各社の事業紹介をお願いします。

 

粟飯原氏: PubMaticはAIを活用したアドテク企業としてデジタル広告のパフォーマンスを提供しており、世界18都市にオフィスを展開しています。

 

独自のグローバルインフラとAI技術を活用することで、高精度で透明性の高い入札環境を提供しています。こうした技術基盤により、媒体社様がブランド価値を保ちながら、国内外の広告主様との取引機会を広げられるよう支援しています。

 

大郷氏:日経電子版は有料会員が100万人を突破、ID会員は1,000万人規模に達します。ビジネスパーソンに広く読まれているためにBtoB系の広告のご出稿が多いのが特徴です。また充実した会員データに基づくターゲティングも強みとしています。

 

 

なお、当社は2026年に創業150周年を迎えます。2025年はフィナンシャルタイムズと提携して10年となり、グループ全体のデジタル有料購読数も増えています。

 

菅原氏:日電子版の告在庫をどのように販しているか改めてお聞かせいただけますか。

 

大郷氏:当社は自社営業チームによる予約型広告販売が主となっており、プログラマティック広告取引にはこれまでそれほど積極的ではありませんでした。

 

ただし、営業チームがなかなかリーチできない海外デマンドの取り込みを主な目的として、2016年よりPubMatic様との協力体制を構築した上でプログラマティック広告取引に対応しています。

 

粟飯原氏:2022年実施の調査によると、日本の媒体社のはプログラマティック取引をほぼ行っていません。国際的に見ると比較的高い割合だと言えます。

 

理由はいくつかあり、まずいわゆる手売り中心で収益を確保してきたという媒体社様にとっては、プログラマティック広告取引システム導入に伴う体制変更や運用スキルの確保が課題となっているようです。またこれは誤解もあるのですが、プログラマティック広告取引により、広告品質やブランドセーフティの確保が難しくなるという考えも根強くあるようです。

 

 

一方で大郷様が仰ったように、プログラマティック広告取引を活用することで、国内営業チームでは接点が持ちづらい海外バイヤーとの新たな取引機会が生まれます。また媒体価値を損なわずにプログラマティック取引を行うことは可能です。当社としては、媒体社様が広告在庫を適切に管理しながら、海外デマンドと接続できる仕組みを提供していきたいと考えています。

 

Preferred SSPとは

 

菅原氏:海外の広告主様の中には、広告効果のレポーティングを一つにまとめる必要があるからDSPで買い付けしたいと要望を持つ企業もあります。実際には純広告と同じような形態で販売するにしても、SSPを通すことでこうした需要を取り込むことができるようになります。

 

 

プログラマティック広告取引に対してとりわけ課題意識が強い媒体社様に対しては、当社ではPreferred SSPと呼ばれる枠組みをご案内しています。この枠組みでは、いわゆるPMP取引を通じて、媒体社様が広告在庫の管理権限を保ったままPubMatic経由での優先アクセスを確保し、海外を含む幅広い広告主との新しい接点を得ることが可能です。媒体のブランド価値や掲載品質を守りつつ、プログラマティック広告取引の利点を享受できる点が特徴的です。

 

大郷氏:当社はPMP取引に限定して在庫を開放しています。実際にPubMatic様は海外デマンドに強く、Preferred SSPは最大限に活用しています。特に日経電子版と親和性がある海外のテクノロジー企業といった、従来の純広告の営業活動だけではリーチできなかったデマンドとの取引につながっています。

 

粟飯原氏:日本経済新聞社様のような高品質な媒体は指名買いが多いがゆえに、プログラマティックのメリットを活かしたPMP取引で広告在庫を販売する仕組みが非常に適しています。

 

菅原氏:とりわけ海外の広告主様は、信頼性が高く、ブランド価値のある媒体でのPMP買い付けを重視する傾向があります。当社としても、媒体社様の方針に沿った形で最適なPMP構築やデマンド接続を行って、新規の広告主の獲得につなげられるように支援を強化しています。

 

粟飯原氏:一般論として、日本の広告業界は国内に閉じているので、日本に支店がある外資系広告代理店等による手売りを通さないと広告在庫を販売できません。そこでグローバル展開をしている当社を介することで、日本の媒体社様と海外の広告主様を結ぶチャンネルを開拓することができます。

 

地政学的な要因などの影響により、国内メディアに対する海外デマンドは増加傾向にあり、当社でも取り扱いが拡大しています。

 

メディアの品質をいかに守るか

 

菅原氏:Preferred SSPを通じた広告在庫の管理のあり方についてはどのような印象をお持ちですか。

 

大郷氏:日経電子版は紙の新聞広告と同様の掲載基準を設けた上で、広告クリエイティブはすべて事前に審査をしています。ネット広告においては、媒体ごとに基準の差があることが課題として指摘される中で、当社は日本新聞協会が定めた新聞広告掲載基準及び当社独自基準に基づき、ブランドリスクやアドクラッターを排除したオンライン広告掲載環境を維持しています。

 

よって提携するSSP事業者様にもこうした弊社の方針をよく理解していただく必要があります。この点について、PubMatic様は当社の配信方式やバイヤーとの調整にも丁寧に対応していただいていて本当に心強いです。

 

菅原氏:そのようなお言葉をいただき、励みになります。最後にデマンドサイドも含めて、業界としてどのようなことに取り組むべきかご意見をお聞かせください。

 

大郷氏:業界全体的にディスプレイ広告の単価が低落傾向にある中で、当社は適切な販売価格を維持できています。その理由としては、オーディエンスデータを最大限に活用できるという点に加えて、配信環境の品質や安全性を確保していることをご評価いただいているからではないかと思っています。

 

また総務省が「デジタル広告の適正かつ効果的な配信に向けた広告主等向けガイダンス」を通じて、デジタル広告の安全性やリスク管理は経営上のリスクに関わるという考えが鮮明に打ち出されている中で、広告主様が従来のようなオープンオークション方式でのプログラマティック広告取引をそのまま継続するのは今後厳しくなっていくのではないでしょうか。SSPを限定し、サプライパスを単一化することで取引の透明性を高めていくことは一つの手段ではないかと思います。

 

ともかく読者の体験を損ねるような広告表現が増えているので、そういった広告表現を回避し、読者体験を重視している媒体の価値は、今後ますます高まっていくはずです。

 

菅原氏:広告単価の低下やユーザー体験の悪化は世界共通の課題です。単にインプレッションを安く買うのではなく、信頼できるメディアを通じて適切なオーディエンスに適切な頻度で配信するための取り組みが世界中で求められています。

 

当社としては、透明性が高いサプライチェーンの構築、PMPの活用、ビューアビリティやブランドセーフティに配慮した配信環境の整備等を通じて、パブリッシャーの皆様がコンテンツ価値に見合った収益を得られるような支援をしていきたいです。

 

ABOUT 長野 雅俊

長野 雅俊

ExchangeWireJAPAN 共同編集長

ウェストミンスター大学大学院ジャーナリズム学科修士課程修了。ロンドンを拠点とする在欧邦人向けメディアの編集長を経て、2016年に調査・コンサルティング会社シード・プランニングに入社。ExchangeWire主催の大型イベントであるATS Tokyoのモデレーターも務めている。