IAB Tech Lab、CTV広告のプログラマティック取引標準化に向けた仕様案を公開、意見募集を開始
by on 2026年5月20日 in ニュース

デジタル広告の技術標準を策定するグローバルな非営利コンソーシアムであるIAB Tech Lab(CEO:Anthony Katsur、以下 IAB Tech Lab)は、CTV広告ポートフォリオ向け標準化シグナルの仕様案を公開した。2026年6月5日まで業界から意見を募集し、新しいCTV広告フォーマットのプログラマティック取引の効率化を目指す。
新しいCTVフォーマットの取引に課題
IAB Tech Labが公表しているCTV広告ポートフォリオでは、ポーズ広告(Pause Ads)やメニュー広告(Menu Ads)に加え、オーバーレイ広告(Overlay Ads)、スクイーズバック広告(Squeeze Back Ads)といった非割り込み型の広告フォーマットが示されている。
しかし、これらの新しいCTV広告フォーマットは、バイヤーとセラーの双方から高い関心を集めていたものの、システムを通じた自動取引に必要な標準定義が存在しなかったため、取引の多くが手動で行われていた。
今回の仕様案は、こうした課題に対応し、新しいCTV広告フォーマットをプログラマティック取引しやすくするためのものである。
取引対象を示す情報項目を共通化
今回公開された仕様案は、ポーズ広告やメニュー広告などのCTV広告フォーマットを、ビッドストリームや広告配信プロセス上で共通して識別できるようにするため、広告フォーマットの種類や取引対象を示す情報項目を標準化することを目的としている。
こうした標準化シグナルが導入されれば、CTV広告の設定や配信がより効率化され、取引における曖昧さも減らすことができる。バイヤーは購入対象をより明確に把握でき、セラーは新しいインベントリを広告商品として整理し、より大規模に販売できるようになる。
これにより、高付加価値なストリーミングインベントリに対する新たなマネタイズ機会が生まれ、より高い収益性を持つ収益源の確保にもつながる。さらに、すべての取引主体が一貫した定義のもとで取引できるようになることで、エコシステム全体の信頼性向上も期待できる。
業界各社が標準化の重要性を強調
IAB Tech LabのCEOであるAnthony Katsur氏は、今回の仕様案の意義について次のように述べている。
「標準フォーマットは、あくまでも全体を構成する一要素にすぎません。実際に何が売買されているのかを明確に示す手段が必要です。この取り組みは、新しいCTVフォーマットが普及していくなかで、市場参加者がより迅速かつ確信を持って取引できるよう支援するものです。CTV広告ポートフォリオは新たな広告面を提供し、ストリーミングエコシステムの成長を加速させ、ブランドに対して注目度の高い消費者エンゲージメント機会を創出していくでしょう」
アドテクノロジー企業GumGumのCTOであるKen Weiner氏も、プログラマティック取引の拡大における標準化の価値を指摘している。
「これらのフォーマットは意義のある新しいインベントリですが、取引しやすいものでなければなりません。標準化によって取引上の摩擦が取り除かれ、より多くのインベントリがプログラマティックチャネルに取り込まれ、収益成長の加速につながるでしょう」
また、テレビを無料で提供し、セカンドスクリーンを活用した広告モデルを展開する米スタートアップ・TellyでAds & Data部門のリード・プロダクトマネージャーを務めるChristian Babeux氏は、消費者エンゲージメントの観点からコメントしている。
「次世代のCTVフォーマットは、広告に対する考え方を単発の接触機会から継続的な消費者エンゲージメントへとシフトさせています。標準化とシグナリングこそが、そのシフトを拡張可能なものにしていくでしょう。業界に共通の取引言語を与えることで、家庭内で最も大きなスクリーンにおいて、広告主が期待するパフォーマンスをより容易に実現できるようになると期待できます」
2026年6月5日まで業界から意見を募集
本仕様案は、Ad Format Hero Task Forceが主体となって開発し、Advanced TV Working GroupおよびProgrammatic Supply Chain Working Groupの助言を受けながら策定された。
IAB Tech Labは、仕様の最終化に向けて、2026年6月5日まで業界からの意見を受け付けている。今後も、仕様のアップデートや関連リソースの整備を含め、採用促進に向けた実装面での会員企業との協力を継続していく予定だ。
新しいシグナリング仕様のレビューと意見提出は、https://iabtechlab.com/standards/ctv-ad-portfolio/ から行える。
■プレスリリース:https://iabtechlab.com/press-releases/standardized-signals-for-ctv-ad-portfolio/
ABOUT 町田貢輝
ExchangeWireJAPAN 編集担当 日本大学法学部法律学科卒業。編集プロダクション、出版社でエンタメ、健康、IT関連の雑誌と書籍の編集・進行管理に従事。2024年に調査・コンサルティング会社シード・プランニングに入社。DX領域のメディア運営全般ならびに、調査研究を担当する。





