InMobi Advertising、AI搭載の購買エージェント向けにモバイル広告在庫と独占提供のCTV広告在庫を開放
by on 2026年6月05日 in ニュース

グローバルテクノロジー企業 InMobi 傘下の InMobi Advertising は、Scope3との戦略的提携を発表した。これにより、Glance(*1)を含むプレミアムCTV広告在庫およびモバイルアプリ内広告在庫を、Scope3 Interchange上のAI搭載の購買エージェントが利用できるようになる。
(*1)Glanceは、エージェンティック・コマースの新モデルを開拓するInMobi Groupの消費者向けプラットフォーム。
背景:差別化された広告在庫が抱えてきたジレンマ
長年にわたり、プレミアムな広告在庫を持つサプライヤーは不都合なトレードオフに直面してきた。プログラマティックの仕組みに参加すれば、プレミアムな広告枠が他の広告在庫と同様に値付けされてしまう。一方で参加しなければ、リーチは限られてしまう、というものである。
InMobi GroupのGlanceは、モバイルとCTVの双方で、アプリ内広告面やロック画面広告面を提供している。これらの広告面は、ユーザーとの接触文脈が明確で、一般的な広告在庫とは異なる希少性を持つ。しかしながらその一方で、こうした価値を保ったまま大規模に取引できるインフラが存在しなかった。今回のエージェンティック(自律的)な購買の仕組みにより、AI搭載の購買エージェントは、Glanceの広告面にその価値を損なうことなくアクセスできるようになる。
システム概要:AdCPが実現する「数分」の取引
InMobi AdvertisingとScope3を結ぶ今回の接続は、AgenticAdvertising.orgが策定したAd Context Protocol(AdCP)を基盤としている。AdCPは、エージェンティックな広告取引における業界標準のオープン規格である。
数日かかっていた作業が数分に
従来、こうした取引には数日にわたる手動のセットアップ、個別のインテグレーション、そしてトレーディングデスク間のやり取りが必要だった。今回の仕組みによって、作業工程の大幅な短縮(数分程度)を実現することができる。具体的には、AI搭載の購買エージェントがブリーフ(要件)を送信すると、InMobi Advertisingが合致する広告在庫、オーディエンスシグナル、そしてすぐに配信可能なキャンペーンのパラメータを返す、という流れである。
InMobi Advertisingの提供価値の特徴は、規模とシグナルの組み合わせにある。AI搭載の購買エージェントは、単一のAdCP接続を通じて、世界で約20億のモバイルユーザーと、Glanceの3億のグローバルアクティブデバイスから得られるファーストパーティの行動インテリジェンスにアクセスできる。同社は、これだけの規模とシグナルを単一のAdCP接続で提供できるサプライプラットフォームは他にないとしている。
「Ad Experiences」戦略の加速
本提携は、InMobi Advertisingが進める広範な「Ad Experiences」戦略を加速させるものである。同戦略は、広告在庫・ターゲティング・計測を、成果を軸に設計したソリューションとしてパッケージ化する取り組みである。エージェンティックな購買は手動による仲介の最後の層を取り除き、AIエージェントがキャンペーンの目的を適切な配信環境——Glance上でのブランド想起の向上や、プレミアムなアプリ内広告在庫での成果獲得で等——に直接マッチングできるようにする。
キーパーソンのコメント
Scope3でGlobal Head of Partnershipsを務めるDavid Fischer氏は、次のように述べている。
「プログラマティック・エコシステムの外側には、まるごと一つの広告在庫カテゴリーが存在している。オークションモデルが、その広告在庫にとっては誤った仕組みだからだ。Glanceはその好例である。モバイルとCTVにまたがる同社の広告面は、注目度・意図ともに高い広告在庫だが、コモディティ化されると本質的な何かが失われてしまう。エージェンティックな購買は、その緊張関係を取り除く。これまでアクセスできなかった広告在庫を発見し、アクセスする手段を買い手に与えると同時に、サプライヤーには、自らの価値を損なうことなく市場へ出る経路を与えてくれる」
InMobi AdvertisingのChief Business Officerを務めるKunal Nagpal氏は、次のように述べている。
「このインフラに早期に移行するブランドやプラットフォームは、時間の経過とともに複利的に積み上がっていく優位性を得るだろう。Scope3との提携により、あらゆるモバイル広告面が、エージェンティック・エコシステムにおけるプレミアムな配信先となる。すべてのインプレッションの背後に、実データに基づくファーストパーティ・インテリジェンスを伴いながら、即座にアクセス可能になる」
今後の展望
パイロットキャンペーンは、今後数週間以内に開始される見込みである。これは、完全にエージェンティックな購買ワークフローを通じて、ブランドがこの規模のモバイルアプリ内広告在庫にリーチする初めての事例となる。
ABOUT 町田貢輝
ExchangeWireJAPAN 編集担当 日本大学法学部法律学科卒業。編集プロダクション、出版社でエンタメ、健康、IT関連の雑誌と書籍の編集・進行管理に従事。2024年に調査・コンサルティング会社シード・プランニングに入社。DX領域のメディア運営全般ならびに、調査研究を担当する。





