EC化率底上げの起爆剤となるか、日本上陸したTikTok Shopとは[インタビュー]
2025年6月、アメリカや中国などで先立って展開されているTikTok Shopが日本国内向けにローンチされた。TikTok内に買い物機能が追加され、広告主やEC事業者にとっては新たな販売チャネルとなり注目を集めている。Septeni Japanは、TikTok広告が日本でリリースされた2018年当初から、社内におけるTikTok広告専門のクリエイティブ研究チーム「TikTok LAB」を組成し、TikTokを活用した多様なマーケティング施策を展開しながらノウハウを蓄積してきた。TikTokを活用した企業のプロモーション支援に携わってきた、Septeni Japan株式会社の本間氏、仙波氏の2名に、TikTok Shopの機能、グローバル・日本での展開についてお話を伺った。 -自己紹介をお願いします。 本間氏:Septeni Japan AXメディアソリューション領域の統括、縦型ショート動画領域も兼任している本間です。今回のTikTok Shop事業立ち上げにおける事業責任者となります。 仙波氏:Septeni Japan AXメディアソリューション領域 メディア戦略推進部・縦型ショート動画領域を兼任している仙波です。TikTokを活用した広告やドラマを中心に、メディアプランの策定や施策推進を通じて、クライアント企業のサポートを行っています。また、クリエイティブの研究や商品開発においても、実行リードを担っています。現在、本間とともにTikTok Shop事業の立ち上げにおけるマネージャーを務めております。 どうぞよろしくお願いいたします。 -今回ローンチされたTikTok Shopの機能について教えてください。 仙波氏:TikTok内での商品購入が可能となる新機能です。TikTokにECモールが統合されるようなイメージをしていただくと分かりやすいと思います。 主に4つのタッチポイント(①カート付きショート動画②ライブコマース③ブランド専用ショーケース④ショップタブ)から商品の閲覧・購入ができるようになります。決済機能がTikTokアプリ内にあるため、一度クレジットカードなどの決済情報を登録すれば、その後は情報入力の手間が省け、ユーザーは簡単に購入可能となります。 -InstagramやYouTubeでも買い物機能がありますが、TikTok Shopが他ソーシャルコマースと違う点はありますか。 本間氏:TikTok Shop は、外部サイトに遷移することなくTikTok内で決済まで完了できるのが大きな特徴です。購入までのステップが少ないため、購入者は情報入力の煩わしさを感じることなくスムーズに決済できます。 もう一つの特徴はTikTok Shopが「ディスカバリー型メディア」である点です。他ソーシャルコマースだと、情報の拡散性がクリエイターやチャンネルのフォロワー数に左右される傾向がありますが、TikTokでは動画コンテンツが話題になればどんどん拡散されていきます。ユーザーがコンテンツを「ディスカバリー(発見)」し、購入まで繋がっていく新たなEC体験が強みとなります。 -他SNSと比べてTikTokにはどういった特徴がありますか。 本間氏:TikTokは新しいユーザーへのアプローチに強みがあると思います。広告主の方もあらゆるSNSを併用しています。Instagramは、フォロワー限定のライブ配信や商品販売のような、フォロワー増加・エンゲージメント向上を狙いとしたファン層を「濃く」していく施策に向いています。一方、TikTokは、それまでとは違った新しいユーザーに向けて、広くアプローチしていく施策で力を発揮できる媒体だと考えています。 -世界ですでにローンチされているTikTok Shopですが、グローバルでの状況はいかがですか。 仙波氏:TikTok Shopは、2021年イギリスでのローンチを皮切りに、アメリカやヨーロッパ、東南アジアで展開されています。グローバル全体での総売上は上昇しており、各国でそれぞれ購入経路が違うことが興味深いです。例えば、ライブ文化が醸成されている中国では、TikTok Shopでのライブコマースでの購入割合がかなり高いという特徴があります。一方で、アメリカやイギリスなどではショート動画経由での購入が一般的です。 -日本ではTikTok Shopはどのように浸透していくと予想されますか。 本間氏:個人的な予想ですが、日本では、マイクロインフルエンサーと呼ばれるクリエイターがまずショート動画から始めて、のちにライブコマースに挑戦していく流れになるのではないかと思っています。ただTikTok Shopの強みはライブコマースなので、これから「日本型のライブコマース」が立ち上がってくるのではと考えています。ローンチ後の動きについては、さまざまな仮説を立てながら、守備範囲を広く持って研究しています。これまでセプテーニが積み上げてきた広告データの運用知識も活かせると考えています。 -TikTokのユーザーの現状を教えてください。さらにTikTok Shopはどのようなユーザーをターゲットとしていますか。 仙波氏:TikTokユーザーは若年層が多く、我々のクライアントからも「踊ったりする10代向けのアプリでしょう」と言われることもありますが、実はプラットフォーマー側はユーザー年齢の引き上げを戦略立てて進めています。直近では30・40代以上のユーザーが増加しており、平均年齢は36歳あたりではないかと言われています。ただ、TikTok Shopは、デジタルネイティブであるZ世代やミレニアル世代といった新しいものを受け入れやすい層から浸透していくと考えています。 本間氏:グローバルでは、TikTok Shopと相性のよい商品価格は大体3,000円から1万円あたりまでで、「衝動買いしやすい価格」の商品が好まれる傾向にあります。若年層の購買がベースになりつつも、購買力のある世代まで広がっていくか、というところは市場を拡大していくうえで重要な観点だと思っています。 -TikTok Shopを本格活用するには、どれほどの予算やどういった体制を広告主側で用意する必要があると思いますか。 仙波氏:TikTok Shopの出店自体は無料でできますが、本格的に活用するには、ブランドの世界観の構築やデジタル広告における動画制作の知見、アサインすべきクリエイターの把握・選定などが必要となります。具体的な予算規模はこれらの要素によって大きく変動しますが、自社内または専門的な知識やノウハウを持つ外部パートナーとの連携により、TikTokのアルゴリズムやトレンドを理解したうえでブランドイメージと合致したコンテンツを制作できる体制を作ることが重要です。 セプテーニでは、これまで蓄積してきたTikTokでのプロモーションノウハウや各種クリエイターネットワークを活かし、企業アカウントの育成から商品選定、適切なクリエイターの選定ならびにディレクション、コンテンツ制作などに至るまで一気通貫でサポートできる体制を整えています。固定費でのご支援だけでなく、売れ行きによってレベニューシェアという形で伴走させていただくなど、広告主のみなさんのご意向やご予算感によって柔軟に伴走内容を変えることも可能です。 -TikTok Shopでの集客において押さえておくべきポイントはありますか。 仙波氏:先日ヘアケア商材の商談でも話題に上がったのですが、ヘアケアのような変化や効果を視覚的にアピールできるものは、動画メディアととても相性が良いです。視覚的な訴求がしやすい商品は、集客に効果があるのではないでしょうか。 本間氏:美容トレンドを作る商材、コスメ・美容・ファッションはTikTokに向いています。その他ですと、ガジェットやホビー系も相性が良いです。やはり視覚的にアピールしやすく、動画にしたときに効果が発揮できる商材が集客につながると思います。さらにマイクロインフルエンサーなどのクリエイターと商品がマッチしていることも重要です。 仙波氏:加えて、動画コンテンツ制作の手前にあるTikTokのレコメンドシステムを理解していることも大事です。動画投稿から数日で、インプレッションは収束する傾向にあります。アカウントの稼働状況や投稿の頻度を理解して、「やってはいけないこと」を潰していくことも必要です。ユーザーに商品を「ディスカバリー」してもらうために、まず、おすすめに表示される構造を理解しておくことが重要です。 -リテールメディアビジネスが話題に上がることが増えましたが、ウォールドガーデンでの広告運用への影響は感じますか。 本間氏:リテールメディアビジネスは話題になっていますが、ウォールドガーデンにおける広告費や販促費に影響があるとは感じていないです。実際に今回のTikTokのように、ウォールドガーデン型のメディアはリテールメディア市場にも参入していますので、収集できるデータの濃度を考えると、短期的にはオープンインターネットよりウォールドガーデンが有利な状況が続くのでは、と考えています。 また日本は世界各国と比べるとEC化率が低い傾向にあります。リテールメディアの盛り上がりや、TikTok Shopのような新しいコンテンツが、日本のEC化率を引き上げてくれる起爆剤になってくれれば、と考えています。
グローバルビジョンとローカル戦略をつなぐ、フルファネル型マーケティング-Unity 青山 佳那子氏
デジタル広告業界で働く広報・マーケティング担当者は、専門性が高く難解な業界用語と向き合いながら、形として見えにくい自社プロダクトやサービスを、日々顧客をはじめとする様々なステークホルダーに、ストーリー性をもって分かりやすく伝え、自社のブランド価値を高めていくことが求められる。 そんなミッションをもつ広報・マーケティング担当者は日々何を考え、どんなことに向き合っているのだろうか。デジタル広告業界の広報・マーケティングのプロフェッショナルにインタビューを行い、彼らのリアルに迫る。第4回は、ユニティ・テクノロジーズ・ジャパン株式会社の青山 佳那子氏にお話を伺った。 (聞き手:ExchangeWire JAPAN 角田 知香) 【インタビュー対象者】 青山 佳那子氏 ユニティ・テクノロジーズ・ジャパン株式会社 シニアマーケティング・マネージャー 新卒で入社した企業で、純広告やアドネットワークの営業を担当し、タイ・バンコクにおける駐在事務所の立ち上げにも参画する。その後SSPであるAd Generationの立ち上げメンバーとして約8年間勤務。外資企業に興味を持ち、アドテク業界の先輩から「マーケティングに向いているよ」と後押しを受け、Unityのマーケティング職に転職する。現在は広告ソリューション群であるUnity Growの日本市場向けマーケティングを担当。 【インタビュー対象企業】 ユニティ・テクノロジーズ・ジャパン株式会社 アメリカに本社を構えるUnityの日本法人。ゲームやインタラクティブな体験の構築と成長のためのプラットフォーム「Unity」の日本国内における販売・サポートを行う。その中のUnity Growでは、モバイルゲームおよびアプリ開発者の収益化、ユーザー獲得、ビジネス拡大を支援する包括的なソリューションを提供。メディエーションや広告ネットワーク、オファーウォール、パブリッシング、オンデバイス広告など、アプリをビジネスとして成功させるためのあらゆる段階をサポートしている。 -現在ご担当されている業務領域を教えてください。 APACのマーケティングチームに所属し、海外メンバーと連携しながら、日本におけるマーケティング戦略の策定・実行が業務となります。 私が担当しているのはGrowと呼ばれる、モバイルゲームおよびアプリの成長と収益化を支援するUnityの広告ソリューション群の日本市場におけるマーケティングで、日本国内でのイベント企画、ニュースレターやブログ、営業資料のローカライズやメディア対応、ケーススタディの制作などを行います。 自分で進める楽しさ -アドテク業界内で、日本企業の営業から外資企業のマーケティング職に転職されています。想像と違ったことはありましたか。 マーケティング自体はとても楽しく取り組んでいます。始める前は、マーケティングといえばアウトプットの部分、たとえばイベントや記事といった目に見える成果物を想像していましたが、実際にはそのアウトプットに向けた企画立案や準備といった前段階の業務に多くの時間を使うことが多く、想像以上でした。 また、入社当初は日本市場向けのマーケティング担当が私一人だったため、中国や韓国にいるAPACのメンバーに教えてもらいながら仕事を進めていました。ただ、性格的に自分で裁量を持って物事を決めて進めていくスタイルが合っていると感じているので、国内でのポジションが一人であっても特に辛く感じたことはありませんでした。 -海外メンバーとはどのようにコミュニケーションを取っていますか。 マーケティングチームであるAPACメンバーとは、オンラインで英語でやり取りします。入社して2〜3か月のころは、対面でのコミュニケーションがないこともあり、不安を感じることもありましたが、今ではAPACのメンバーとも気軽に質問し合える関係性を築いています。また、APACだけでなく、アメリカやイスラエルのメンバーと連携して施策を進める機会も多く、共有資料はすべて英語で作成しています。ミーティングも8割ほどは海外のメンバーとのもので、業務全体で英語を使う割合はかなり高いです。 グローバルチームとの共有・同業者とのつながりを大切に -主な顧客層を教えてください。 アプリパブリッシャー、広告主、広告代理店の方々が中心です。Unityというとゲームの印象が強いかと思いますが、Unity Growでは、モバイルゲームおよびアプリの企画・パブリッシングからユーザー獲得、収益化に至るまで、アプリ開発者のライフサイクル全体を支援する多様なソリューションと専門知識を提供しており、非ゲームのお客様にも幅広く活用されています。 -どのような業務に時間を割くことが多いですか。 Growにおけるイベントの企画・運営に最も時間を割いています。カンファレンス、ワークショップ、ウェビナーなどを定期的に開催しており、年間の戦略立案から実行までを一貫して担当しています。GTM(Go-To-Market)の観点では、グローバルとローカルの双方の期待値を調整し、各施策が日本でのビジネスにインパクトをもたらすよう注力しています。イベントごとに扱うソリューションや目的は異なるため、ローカルのビジネスチームと密に連携しながら効果的な企画を進めています。 イベントの準備は大変なこともありますが、「どうすれば面白いと思ってもらえるか」「どうすれば驚きを提供できるか」と思索する時間は好きです。リアルイベントではお客様の生の反応を見ることができるため、大きなやりがいを感じます。 また、アドテク業界は横のつながりが強く、会場では同業他社の方とお話しするのも楽しみの一つです。競合であっても気軽にフィードバックをくれたり、悩みを共有できたりと、心強い存在です。 -業務で注力していることは何ですか。 チームとの日頃の情報共有を大切にしています。私が所属するGrowのマーケティングチームのメンバーは世界各国にいるため、日本チームの現状や課題が見えにくいことがあります。以前、Unity本社のセールス担当者が「Issue(課題)がTrouble(問題)になる前に共有することが重要だ」と話していたのですが、これはグローバルチームで働くうえで特に重要だと感じています。日本チームでうまくいっていることも、いっていないことも含めて、意識的にチームと共有するよう心がけています。 -いま最もPRしたいことを教えてください。 Unityでは、モバイルゲームおよびアプリの開発・ローンチ・スケール・収益化に至るまで、開発者の皆さまがアイデアをビジネスとして成功させるための包括的なソリューションを提供しています。一過性の成功ではなく、長期的にグローバル市場でビジネスとして成功するためのノウハウと実績がありますので、アプリに関するお悩みや課題があれば、ぜひUnityにご相談ください。 https://unity.com/ja/grow
ひとりマーケの仕事術、本社には「理解してもらえる」まで伝える-Remerge 倉林 祥子氏
デジタル広告業界で働く広報・マーケティング担当者は、専門性が高く難解な業界用語と向き合いながら、形として見えにくい自社プロダクトやサービスを、日々顧客をはじめとする様々なステークホルダーに、ストーリー性をもって分かりやすく伝え、自社のブランド価値を高めていくことが求められる。 そんなミッションをもつ広報・マーケティング担当者は日々何を考え、どんなことに向き合っているのだろうか。デジタル広告業界の広報・マーケティングのプロフェッショナルにインタビューを行い、彼らのリアルに迫る。第3回は、Remerge株式会社の倉林 祥子氏にお話を伺った。 (聞き手:ExchangeWire JAPAN 角田 知香) 【インタビュー対象者】 倉林 祥子氏 Remerge株式会社 シニアフィールドマーケティングマネージャー 官公庁向け事務局運営を専門とする会社を経て、スウェーデンに本社を置く産業向けシミュレーションソフトウェア開発企業にてセールスオペレーションとしてAPACを管轄しつつ、日本向けのマーケティングを担当する。マーケティングに面白さを感じ、2022年よりRemerge Japanに入社。日本と韓国におけるフィールドマーケティングを担当している。 【インタビュー対象企業】 Remerge株式会社 ドイツ・ベルリン発のグローバルDSP。モバイルアプリ向けに、アプリ内広告を通じた新規ユーザー獲得やリターゲティングをリアルタイムで最適化し、高いコンバージョンとROIを実現する。広告配信からパフォーマンス分析、広告入札やクリエイティブテストまで一貫して支援する。 -現在ご担当されている業務領域を教えてください。 日本と韓国のフィールドマーケティングを担当しています。イベントの企画や運営に携わることが多く、自社企画・他社との共催・展示会への出展など、様々な形でイベントを運営します。ローカライゼーションも対応領域となります。業務の割合は日本が6割、韓国が4割ぐらいです。 -異業種からアドテク業界に転職されていかがですか。 アドテク特有の用語や、言葉の使い方に慣れるまでは大変でした。英語は前職でも使っていたものの、知っている英単語がアドテクでは違う意味合いをもっていたり、戸惑いがありました。転職して最初の一年は、業界を学びつつ、自社プロダクトをプロモートするためには「どんなイベントで何ができるのか」を模索していました。 「理解」から「改善」が生まれる -本社とのコミュニケーションで心がけていることはありますか。 日本オフィス以外でのコミュニケーションは、英語でオンラインがベースになります。海外メンバーには、「伝える」だけでなく「理解してもらえる」まで粘り強く話してこそ、やっと「改善」につながると思っています。そのためにはエビデンスを出す、状況を見せることが必要となります。 以前イベントで配布するノベルティの相談をしていて、日本で喜ばれそうなグッズ案を本社のデザインチームに出したところ、「どうしてそれが良いのか分からない」と言われることがありました。Remergeには社員が2年に一度、他国オフィスで3,4週間勤務できるという制度があります。デザインチームにまず日本のカルチャーや他社の状況を見てもらいたいと考え、「この制度を利用して一度日本に来てほしい」と何度も説得し、ようやく叶ったことがありました。来日した彼らをノベルティ販促の展示会に連れていくと、「言っていたことが分かった」と私の主張を理解してくれました。一度現場を見てもらえるとその後の調整も進めやすくなります。日本のクライアント訪問に同行する、直接ヒアリングするということも可能なので、実際に本社メンバーに来てもらうことの価値はあると思います。 -主な顧客層を教えてください。 フィールドマーケティングとしては広告主様や広告代理店様と関わることが多いです。代理店の担当者の方とは、イベントを通じて知り合ったり、共催イベントを通じてつながりを持ったりすることもあります。 -会社全体の雰囲気はいかがですか。 日本オフィスは実質6名体制で、日本語が話せる外国人社員が3名在籍しています。インターナショナルかつざっくばらんに話せる空気です。年に一度ベルリン本社で研修があり100名以上の社員が世界中から集まるのですが、普段オンライン上でしか仕事をしていないメンバーと話せたりする良い機会です。楽しいことが好きなメンバーが多く、お酒やクラブ文化が盛んだと感じます。 つながりがビジネスになっていく -どのような業務に時間を割くことが多いですか。 イベント運営は日本と韓国それぞれのタイミングで行うので、関わる時間が必然的に多くなります。日韓ともに、四半期に一度のペースで何かイベントができるように調整しており、施策はカントリーマネージャーやセールスと相談して進めていきます。 韓国でのイベントでは、英語ができる会社と連携してロジなどを任せているので、私は運営を円滑にするための社内・社外の調整に注力します。日本と比べると、韓国のイベントでは広告主様の参加率が高いと感じます。日本では代理店経由でのビジネスが多くなりがちですが、韓国では自然に広告主様と接点を持つことができます。 -業務で注力していることは何ですか。 「与えられた予算でどこまで実行可能なプランニングができるか」という調整には神経を使います。予算について本社と調整が必要な時は、例えば「世界的な物価上昇」「イベント来場者の充実度を上げるために○○が必要」といった具体的な理由をひとつずつ積み上げて、交渉を進めます。もちろん予算交渉の前段階として、与えられた予算でどう施策を回していくか、をいろいろなパターンで考えていくことも必要です。 また、アドテク業界で横のつながりを作ることも大切にしています。マーケターの会などがあれば積極的に出向きネットワークを広げています。実際にそこからイベント共催に繋がることもありますし、業界内の人と出会うことで自分の仕事の幅が広がる楽しみがあります。 -いま最もPRしたいことを教えてください。 Remergeは2014年に創業当初からアプリリターゲティング広告に特化したDSPを提供しています。LTV向上やユーザーの呼び戻し、離脱ユーザーの回避を支援し、グローバルなトップアプリから信頼を得ています。日本オフィスは2017年に設立され、現在は世界5拠点で展開中。業界から高い評価を受ける中、iOSのリタゲに特化したiOSアンロック(iOS Unlock)やインストール(UA)プロダクトのテストも進めています。
リテールメディア広告の未開拓領域とは―ATS Tokyo 2024に登壇したpHmediaが語る最新動向 [インタビュー]
日本市場が「リテールメディア元年」を迎えたとされる2023年から既に1年以上が経過した現在、市場はいかに発展しつつあるのか。昨年11月に開催されたATS Tokyo 2024のパネルディスカッション「リテールメディア広告の理想と現実」に登壇したpHmediaの松居達也氏に最新動向について聞いた。 (聞き手:ExchangeWire JAPAN 長野 雅俊) 商談で感じたリテールメディア広告市場の変化 ―自己紹介をお願いします。 株式会社博報堂 コマースコンサルティング局 局長補佐の松居達也と申します。現在はドン・キホーテなどを展開する株式会社パン・パシフィック・インターナショナルホールディングスと博報堂がリテールメディア事業を運営するために2023年12月に設立した株式会社pHmediaに出向しており、同社のCOOを務めています。 ―ATS Tokyo 2024へのご登壇を振り返ってください。 国内リテールメディアの市場課題を、当日会場にご来場いただいた幅広いオンライン広告市場関係者の皆様と共有できたことは良かったです。特にカゴメ株式会社様や株式会社コーセー様といった、リテールメディアに対して広告を出稿するメーカー企業様とご一緒して議論できたことをうれしく思います。 ―2024年11月22日に開催されたATS Tokyo 2024の登壇時と比較して、リテールメディア市場の変化を感じますか。 一部の広告主様がリテールメディアに関する専門部署を立ち上げるなど組織的な取り組みを開始されています。正直なところ、リテールメディアに出稿する広告主様が劇的に増加しているという実感はまだないのですが、既に出稿している広告主様の出稿額は増えてきています。 また、これまでリテールメディアの活用は広告主の営業部門が中心でした。つまりドン・キホーテのような小売企業に対して卸す商品の売上や回転率を上げることを目的として、メーカー企業の営業担当者様が広告の出稿を含めた投資を行うという形式が多かったのです。しかしながら、最近では商談にメーカー企業様のマーケティング担当者や事業責任者といった方々がご同席いただく機会が増えてきました。 そうなると、いわゆる営業費ではなく、広告費やメディアプランニング全体にかかる費用をリテールメディアに投資していくということにつながるので、今後は広告投資金額がさらに増え、またリテールメディアの活用が本格化かつ多様化していくことになると思います。 SMのリテールメディア化はなぜ進まないのか ―ATS Tokyo 2024では、日本市場は小売企業が分散しているため、ドラッグストアなど一部の領域を除き、購買データがサイロ化されていて横断的なリテールメディア広告運用ができないとの課題を指摘していました。 購買データの活用や統合といった取り組みにおいては、ドラッグストアが最も先進的であり、コンビニエンスストアも様々な試みを行っていますが、スーパーマーケット領域での進捗がやや遅れているという状況に大きな変化はありません。 米国におけるリテールメディアの成功事例としてよく言及されるウォルマートのような巨大スーパーマーケットチェーンが日本市場には存在せず、各地域に根差したスーパーマーケットが大多数を占めるので、単一のスーパーマーケットだけでは、リテールメディアとして成立させるに十分な規模を確保できないというのが一因です。だからこそ、各小売企業のデータを束ねる立場にあるベンダー企業の役割が重視されているのだと思います。 このような市場環境においては、どこか特定の企業だけが先行優位を持つような仕組みになると、異なる企業同士の連携が進みません。もちろん競合企業同士がデータ連携する上では様々な課題があるのですが、現在は「得意分野を整理した上で一緒に手を取り合う」ことを実現するための設計図を描こうとしている段階にあります。 ―リテールメディアの取り組みにおける日本のスーパーマーケットの苦戦は、大手ECプラットフォームを利することになりませんか。 どうでしょう。これはリテールメディア事業に限った話ではないのですが、ECプラットフォームがスーパーマーケットの市場を一方的に奪っていくのではないかとする見方に私は懐疑的です。例えばECで注文すると、一般的にはどんなに早くても翌日配送ですが、日常生活で多々発生する「今欲しい」を実現できるのはリアル店舗ならではです。 その他にも独自のサービスや機能がたくさんあるので、恐らく、少なくとも日本市場においては、リアル店舗は今後も引き続き一定の存在感を持ち続けます。そして、Amazonや楽天市場を始めとするECプラットフォームがリテールメディア事業を推進すればするほど、「なぜECができることがリアル店舗でできないのか」という機運が高まり、リアル店舗におけるリテールメディア市場の発展を後押しするはずです。 購買データをいかに使うか ―スマートフォンの普及によって位置情報が利用しやくなったように、リテールメディアが発展すれば購買データの活用が進んでいくと思いますか。 位置情報については、本来的な価値は広告に接触する適切なモーメントを捉えることができることであり、どの瞬間にどんな場所にいる人が何を欲しているかが推測でき、アプローチが可能になる、という点にあると考えています。こうしたメディアの新しい使い方の可能性を提示しているという点で特徴的なデータです。 同じように、購買データは、特定の商品を購入する可能性がある人たちと購入可能なタイミングで接触できることに価値があると思います。購買データをいかに活用すべきかについては引き続き様々な試行錯誤が繰り返されていくことになるでしょうが、購買データの活用法は今後、確実に進化していくはずです。 ―本業となる小売販売業に悪影響を与えかねないとしてリテールメディア開発に否定的な見解を示す小売事業者は多いのでしょうか。 リテールメディアに対する理解が進んできたこともあり、恐らく最近では、収益性や効率性といった観点からリテールメディア開発の是非を検討することがあったとしても、開発自体を全否定する事業者様はあまりいらっしゃらないのではないでしょうか。 一方で、広告収益を得ることだけを目的としてリテールメディア開発を行う企業様はほぼいらっしゃらないと思います。リテールメディアの収益規模は、本業となる小売業の売上規模には遠く及びません。 世界最大級のリテール関連イベントと言われる全米小売業協会主催のNRF Retail's Big Showでも、リテールメディアの意義とは「自社のお客様に対して情報を正しく届けること」であるという見解が示されてきました。やはり「メディア」と称する以上、いかに自社の顧客に対して適切な情報を届けるかという点から各事業者様はリテールメディア開発及び運営を行っているのだと思います。 ―今後の市場課題をどう捉えていますか。 まずスーパーマーケットを始めとする小売業のデータのサイロ化の解消には引き続き取り組むべきでしょう。 もう一つは、購買データを用いてお客様にどのような情報を届けるかという問題としっかりと向き合わなければいけません。広告運用に限定して一例を挙げると、「購買データを用いて広告配信する際に、どのような広告クリエイティブが最も売上増に貢献するのか」という研究がまだまだ不足しているように感じています。逆にこの辺りの研究が進めば、広告効果が一層高まり、市場はさらに成長していくと見込んでいます。 ―「購買データを使うだけで満足するな」ということですね。 競合商品を購入したユーザーに対して広告を当ててみて、そのユーザーがコンバージョンしたかどうか、その後リピーターとなったか、といった分析を行っているメーカー企業様は多くいらっしゃいますが、購買データを使ったクリエイティブの勝ちパターンを見つけられている企業は多くないように思います。 ―そもそも購買データを用いた広告配信規模が限定的だから、広告クリエイティブの種類をそれほど多く用意できないと考えられているのかもしれませんね。 その可能性はあります。でも、そうだとすると、そもそも本当に購買データに基づくセグメント配信が必要なのか、という話にもなるのではないでしょうか。購買セグメントごとのコミュニケーションを設計しようとする一方で、広告クリエイティブは全部同じで良いという考え方にはやはり違和感がありますね。これは自戒を込めてですが、店舗なりECに買い物に来たお客様がどういった体験をするとその商品をまた買いたいと思うのかということに対する想像力をめぐらすことが重要なんだと思います。 当社を含め、リテールメディア広告業界関係者はこの問題意識を既に持ち始めていて、研究や挑戦を続けているところなので、今後の展開を見守っていただけたらうれしいです。
EC化率底上げの起爆剤となるか、日本上陸したTikTok Shopとは[インタビュー]
2025年6月、アメリカや中国などで先立って展開されているTikTok Shopが日本国内向けにローンチされた。TikTok内に買い物機能が追加され、広告主やEC事業者にとっては新たな販売チャネルとなり注目を集めている。Septeni Japanは、TikTok広告が日本でリリースされた2018年当初から、社内におけるTikTok広告専門のクリエイティブ研究チーム「TikTok LAB」を組成し、TikTokを活用した多様なマーケティング施策を展開しながらノウハウを蓄積してきた。TikTokを活用した企業のプロモーション支援に携わってきた、Septeni Japan株式会社の本間氏、仙波氏の2名に、TikTok Shopの機能、グローバル・日本での展開についてお話を伺った。 -自己紹介をお願いします。 本間氏:Septeni Japan AXメディアソリューション領域の統括、縦型ショート動画領域も兼任している本間です。今回のTikTok Shop事業立ち上げにおける事業責任者となります。 仙波氏:Septeni Japan AXメディアソリューション領域 メディア戦略推進部・縦型ショート動画領域を兼任している仙波です。TikTokを活用した広告やドラマを中心に、メディアプランの策定や施策推進を通じて、クライアント企業のサポートを行っています。また、クリエイティブの研究や商品開発においても、実行リードを担っています。現在、本間とともにTikTok Shop事業の立ち上げにおけるマネージャーを務めております。 どうぞよろしくお願いいたします。 -今回ローンチされたTikTok Shopの機能について教えてください。 仙波氏:TikTok内での商品購入が可能となる新機能です。TikTokにECモールが統合されるようなイメージをしていただくと分かりやすいと思います。 主に4つのタッチポイント(①カート付きショート動画②ライブコマース③ブランド専用ショーケース④ショップタブ)から商品の閲覧・購入ができるようになります。決済機能がTikTokアプリ内にあるため、一度クレジットカードなどの決済情報を登録すれば、その後は情報入力の手間が省け、ユーザーは簡単に購入可能となります。 -InstagramやYouTubeでも買い物機能がありますが、TikTok Shopが他ソーシャルコマースと違う点はありますか。 本間氏:TikTok Shop は、外部サイトに遷移することなくTikTok内で決済まで完了できるのが大きな特徴です。購入までのステップが少ないため、購入者は情報入力の煩わしさを感じることなくスムーズに決済できます。 もう一つの特徴はTikTok Shopが「ディスカバリー型メディア」である点です。他ソーシャルコマースだと、情報の拡散性がクリエイターやチャンネルのフォロワー数に左右される傾向がありますが、TikTokでは動画コンテンツが話題になればどんどん拡散されていきます。ユーザーがコンテンツを「ディスカバリー(発見)」し、購入まで繋がっていく新たなEC体験が強みとなります。 -他SNSと比べてTikTokにはどういった特徴がありますか。 本間氏:TikTokは新しいユーザーへのアプローチに強みがあると思います。広告主の方もあらゆるSNSを併用しています。Instagramは、フォロワー限定のライブ配信や商品販売のような、フォロワー増加・エンゲージメント向上を狙いとしたファン層を「濃く」していく施策に向いています。一方、TikTokは、それまでとは違った新しいユーザーに向けて、広くアプローチしていく施策で力を発揮できる媒体だと考えています。 -世界ですでにローンチされているTikTok Shopですが、グローバルでの状況はいかがですか。 仙波氏:TikTok Shopは、2021年イギリスでのローンチを皮切りに、アメリカやヨーロッパ、東南アジアで展開されています。グローバル全体での総売上は上昇しており、各国でそれぞれ購入経路が違うことが興味深いです。例えば、ライブ文化が醸成されている中国では、TikTok Shopでのライブコマースでの購入割合がかなり高いという特徴があります。一方で、アメリカやイギリスなどではショート動画経由での購入が一般的です。 -日本ではTikTok Shopはどのように浸透していくと予想されますか。 本間氏:個人的な予想ですが、日本では、マイクロインフルエンサーと呼ばれるクリエイターがまずショート動画から始めて、のちにライブコマースに挑戦していく流れになるのではないかと思っています。ただTikTok Shopの強みはライブコマースなので、これから「日本型のライブコマース」が立ち上がってくるのではと考えています。ローンチ後の動きについては、さまざまな仮説を立てながら、守備範囲を広く持って研究しています。これまでセプテーニが積み上げてきた広告データの運用知識も活かせると考えています。 -TikTokのユーザーの現状を教えてください。さらにTikTok Shopはどのようなユーザーをターゲットとしていますか。 仙波氏:TikTokユーザーは若年層が多く、我々のクライアントからも「踊ったりする10代向けのアプリでしょう」と言われることもありますが、実はプラットフォーマー側はユーザー年齢の引き上げを戦略立てて進めています。直近では30・40代以上のユーザーが増加しており、平均年齢は36歳あたりではないかと言われています。ただ、TikTok Shopは、デジタルネイティブであるZ世代やミレニアル世代といった新しいものを受け入れやすい層から浸透していくと考えています。 本間氏:グローバルでは、TikTok Shopと相性のよい商品価格は大体3,000円から1万円あたりまでで、「衝動買いしやすい価格」の商品が好まれる傾向にあります。若年層の購買がベースになりつつも、購買力のある世代まで広がっていくか、というところは市場を拡大していくうえで重要な観点だと思っています。 -TikTok Shopを本格活用するには、どれほどの予算やどういった体制を広告主側で用意する必要があると思いますか。 仙波氏:TikTok Shopの出店自体は無料でできますが、本格的に活用するには、ブランドの世界観の構築やデジタル広告における動画制作の知見、アサインすべきクリエイターの把握・選定などが必要となります。具体的な予算規模はこれらの要素によって大きく変動しますが、自社内または専門的な知識やノウハウを持つ外部パートナーとの連携により、TikTokのアルゴリズムやトレンドを理解したうえでブランドイメージと合致したコンテンツを制作できる体制を作ることが重要です。 セプテーニでは、これまで蓄積してきたTikTokでのプロモーションノウハウや各種クリエイターネットワークを活かし、企業アカウントの育成から商品選定、適切なクリエイターの選定ならびにディレクション、コンテンツ制作などに至るまで一気通貫でサポートできる体制を整えています。固定費でのご支援だけでなく、売れ行きによってレベニューシェアという形で伴走させていただくなど、広告主のみなさんのご意向やご予算感によって柔軟に伴走内容を変えることも可能です。 -TikTok Shopでの集客において押さえておくべきポイントはありますか。 仙波氏:先日ヘアケア商材の商談でも話題に上がったのですが、ヘアケアのような変化や効果を視覚的にアピールできるものは、動画メディアととても相性が良いです。視覚的な訴求がしやすい商品は、集客に効果があるのではないでしょうか。 本間氏:美容トレンドを作る商材、コスメ・美容・ファッションはTikTokに向いています。その他ですと、ガジェットやホビー系も相性が良いです。やはり視覚的にアピールしやすく、動画にしたときに効果が発揮できる商材が集客につながると思います。さらにマイクロインフルエンサーなどのクリエイターと商品がマッチしていることも重要です。 仙波氏:加えて、動画コンテンツ制作の手前にあるTikTokのレコメンドシステムを理解していることも大事です。動画投稿から数日で、インプレッションは収束する傾向にあります。アカウントの稼働状況や投稿の頻度を理解して、「やってはいけないこと」を潰していくことも必要です。ユーザーに商品を「ディスカバリー」してもらうために、まず、おすすめに表示される構造を理解しておくことが重要です。 -リテールメディアビジネスが話題に上がることが増えましたが、ウォールドガーデンでの広告運用への影響は感じますか。 本間氏:リテールメディアビジネスは話題になっていますが、ウォールドガーデンにおける広告費や販促費に影響があるとは感じていないです。実際に今回のTikTokのように、ウォールドガーデン型のメディアはリテールメディア市場にも参入していますので、収集できるデータの濃度を考えると、短期的にはオープンインターネットよりウォールドガーデンが有利な状況が続くのでは、と考えています。 また日本は世界各国と比べるとEC化率が低い傾向にあります。リテールメディアの盛り上がりや、TikTok Shopのような新しいコンテンツが、日本のEC化率を引き上げてくれる起爆剤になってくれれば、と考えています。
グローバルビジョンとローカル戦略をつなぐ、フルファネル型マーケティング-Unity 青山 佳那子氏
デジタル広告業界で働く広報・マーケティング担当者は、専門性が高く難解な業界用語と向き合いながら、形として見えにくい自社プロダクトやサービスを、日々顧客をはじめとする様々なステークホルダーに、ストーリー性をもって分かりやすく伝え、自社のブランド価値を高めていくことが求められる。 そんなミッションをもつ広報・マーケティング担当者は日々何を考え、どんなことに向き合っているのだろうか。デジタル広告業界の広報・マーケティングのプロフェッショナルにインタビューを行い、彼らのリアルに迫る。第4回は、ユニティ・テクノロジーズ・ジャパン株式会社の青山 佳那子氏にお話を伺った。 (聞き手:ExchangeWire JAPAN 角田 知香) 【インタビュー対象者】 青山 佳那子氏 ユニティ・テクノロジーズ・ジャパン株式会社 シニアマーケティング・マネージャー 新卒で入社した企業で、純広告やアドネットワークの営業を担当し、タイ・バンコクにおける駐在事務所の立ち上げにも参画する。その後SSPであるAd Generationの立ち上げメンバーとして約8年間勤務。外資企業に興味を持ち、アドテク業界の先輩から「マーケティングに向いているよ」と後押しを受け、Unityのマーケティング職に転職する。現在は広告ソリューション群であるUnity Growの日本市場向けマーケティングを担当。 【インタビュー対象企業】 ユニティ・テクノロジーズ・ジャパン株式会社 アメリカに本社を構えるUnityの日本法人。ゲームやインタラクティブな体験の構築と成長のためのプラットフォーム「Unity」の日本国内における販売・サポートを行う。その中のUnity Growでは、モバイルゲームおよびアプリ開発者の収益化、ユーザー獲得、ビジネス拡大を支援する包括的なソリューションを提供。メディエーションや広告ネットワーク、オファーウォール、パブリッシング、オンデバイス広告など、アプリをビジネスとして成功させるためのあらゆる段階をサポートしている。 -現在ご担当されている業務領域を教えてください。 APACのマーケティングチームに所属し、海外メンバーと連携しながら、日本におけるマーケティング戦略の策定・実行が業務となります。 私が担当しているのはGrowと呼ばれる、モバイルゲームおよびアプリの成長と収益化を支援するUnityの広告ソリューション群の日本市場におけるマーケティングで、日本国内でのイベント企画、ニュースレターやブログ、営業資料のローカライズやメディア対応、ケーススタディの制作などを行います。 自分で進める楽しさ -アドテク業界内で、日本企業の営業から外資企業のマーケティング職に転職されています。想像と違ったことはありましたか。 マーケティング自体はとても楽しく取り組んでいます。始める前は、マーケティングといえばアウトプットの部分、たとえばイベントや記事といった目に見える成果物を想像していましたが、実際にはそのアウトプットに向けた企画立案や準備といった前段階の業務に多くの時間を使うことが多く、想像以上でした。 また、入社当初は日本市場向けのマーケティング担当が私一人だったため、中国や韓国にいるAPACのメンバーに教えてもらいながら仕事を進めていました。ただ、性格的に自分で裁量を持って物事を決めて進めていくスタイルが合っていると感じているので、国内でのポジションが一人であっても特に辛く感じたことはありませんでした。 -海外メンバーとはどのようにコミュニケーションを取っていますか。 マーケティングチームであるAPACメンバーとは、オンラインで英語でやり取りします。入社して2〜3か月のころは、対面でのコミュニケーションがないこともあり、不安を感じることもありましたが、今ではAPACのメンバーとも気軽に質問し合える関係性を築いています。また、APACだけでなく、アメリカやイスラエルのメンバーと連携して施策を進める機会も多く、共有資料はすべて英語で作成しています。ミーティングも8割ほどは海外のメンバーとのもので、業務全体で英語を使う割合はかなり高いです。 グローバルチームとの共有・同業者とのつながりを大切に -主な顧客層を教えてください。 アプリパブリッシャー、広告主、広告代理店の方々が中心です。Unityというとゲームの印象が強いかと思いますが、Unity Growでは、モバイルゲームおよびアプリの企画・パブリッシングからユーザー獲得、収益化に至るまで、アプリ開発者のライフサイクル全体を支援する多様なソリューションと専門知識を提供しており、非ゲームのお客様にも幅広く活用されています。 -どのような業務に時間を割くことが多いですか。 Growにおけるイベントの企画・運営に最も時間を割いています。カンファレンス、ワークショップ、ウェビナーなどを定期的に開催しており、年間の戦略立案から実行までを一貫して担当しています。GTM(Go-To-Market)の観点では、グローバルとローカルの双方の期待値を調整し、各施策が日本でのビジネスにインパクトをもたらすよう注力しています。イベントごとに扱うソリューションや目的は異なるため、ローカルのビジネスチームと密に連携しながら効果的な企画を進めています。 イベントの準備は大変なこともありますが、「どうすれば面白いと思ってもらえるか」「どうすれば驚きを提供できるか」と思索する時間は好きです。リアルイベントではお客様の生の反応を見ることができるため、大きなやりがいを感じます。 また、アドテク業界は横のつながりが強く、会場では同業他社の方とお話しするのも楽しみの一つです。競合であっても気軽にフィードバックをくれたり、悩みを共有できたりと、心強い存在です。 -業務で注力していることは何ですか。 チームとの日頃の情報共有を大切にしています。私が所属するGrowのマーケティングチームのメンバーは世界各国にいるため、日本チームの現状や課題が見えにくいことがあります。以前、Unity本社のセールス担当者が「Issue(課題)がTrouble(問題)になる前に共有することが重要だ」と話していたのですが、これはグローバルチームで働くうえで特に重要だと感じています。日本チームでうまくいっていることも、いっていないことも含めて、意識的にチームと共有するよう心がけています。 -いま最もPRしたいことを教えてください。 Unityでは、モバイルゲームおよびアプリの開発・ローンチ・スケール・収益化に至るまで、開発者の皆さまがアイデアをビジネスとして成功させるための包括的なソリューションを提供しています。一過性の成功ではなく、長期的にグローバル市場でビジネスとして成功するためのノウハウと実績がありますので、アプリに関するお悩みや課題があれば、ぜひUnityにご相談ください。 https://unity.com/ja/grow
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