トレーディングデスクの知見とノウハウで実現するDSP運用の最適化|WireColumn

(コラムニスト:株式会社コスモロジー 石塚 拓郎)

今注目を浴びているDSPのトレーディングデスクについて解説していく本シリーズ。2回目の今回は、DSPのプラットフォームとしての特性という切り口から、トレーディングデスクの強みについてお話ししたいと思います。

 

前回の内容はこちら

http://www.exchangewire.jp/2013/04/11/wirecolumn-masunaga-1/

 

 

 

 

 

 

DSPのプラットフォームとしての特性とトレーディングデスク

 

現在、日本国内の主要DSPはそれぞれが共通する主要なSSP・アドネットワークと連結しており、媒体資料上、配信先についてはどのDSPもほとんど差がありません。そのため、各DSPの違いはシステムや機能の差に集約されると受け取られがちですが、実際はDSP毎に配信先としての違いがあるのが実情です。

 

メディアにおける1つの広告枠に対しては、1つのSSP(あるいはアドネットワーク)が割り当てられる事が比較的目立ちます。また、DSPからアドネットワークやSSPに対して入札を行う際には、メディア内の1つ1つの広告枠に対しての入札を行うのではなく、アドネットワークにおけるインプレッション単位で入札を行うことになります。そのため、あるブランドメディアAの一番視認性の高い枠は、B社のDSPで一番効率的に入札できるといった事態が起こり得ます。もちろん、実際には1つ1つの広告枠単位での入札管理は難航するわけですが、上記のようなプラットフォームの構造上、DSP毎に配信面の特性の違いが生じることを知った上で入札戦略を立てること。それが効率的なトレーディングデスクの運用では重要な要素の一つとなります。

 

 

DSP最適化:ドメイン×掲載枠×コンテキスト

 

では、一様ではないDSPの広告配信面に対して、一体どのように最適な入札を行っていけば良いのでしょうか。DSPが実際に入札する広告の配信先には、主に3つの要素が存在します。

 

● ドメイン: どのメディアに表示するのか

● 掲載枠: メディアのどの枠に掲載するのか

● コンテキスト: どのような内容のページに表示するのか

 

同じバナーを見せる場合でも、どのサイトのどのようなコンテキストのページ、さらにはどの枠に表示するかによって広告のもたらす効果は変わってきます。DSPを最適化する上では、この「ドメイン×掲載枠×コンテキスト」をどう最適化するかを考える必要があります。

 

DSPの配信先を最適化する上で、1つ目の要素であるドメインについては誰もがすぐに思いつくでしょう。ターゲットユーザーが多い、ブランド力の高いメディアに配信することはDSPの配信戦略の中で重要性の高い考え方です。そういう意味で、メディア毎のユーザー属性についての知識を持つことは重要です。女性向けメディア、高所得者層向けメディアなどという知見はメディアを外から眺めるだけで誰でも知り得る情報ですが、実際に配信、運用していると「スポーツメディアだが、実はF2層のコンバージョンも取れる」といったようにメディアごとの特徴が見えてくることもあります。トレーディングデスクでは、複数のDSPを通して多数のクライアントの配信を行うことにより、メディアのユーザー属性に関する情報を知見として蓄積し、運用に活かしています。

 

 

DSP標準機能を補うアドベリフィケーションツール

 

1つ目の要素であるドメインについてはDSPの標準機能としてコントロールすることが可能ですが、2つ目、3つ目の要素である掲載枠とコンテキストについてはDSPの標準機能では捕捉が困難です。これらを見える化し、最適化するためにはアドベリフィケーションツールが有効となります。アドベリフィケーションツールは、直訳すると「広告検証ツール」です。DSPやアドネットワークでの配信が、実際にどのように表示されているかを検証するために用います。

 

アドベリフィケーションツールを用いる大きなメリットは、視認性の高い枠に集中して広告配信ができる点です。同じメディアに配信するのでも、ページ上部の視認性の高い枠に表示される場合もあれば、ページ最下部の掲載枠に表示され、インプレッションはあっても実際にユーザーの目に触れないケースも発生します。アドベリフィケーションツールを活用することで、それぞれのDSPやメディアのインビュー率を可視化でき、視認性の高い枠に集中して配信することができるようになります。

 

また、アドベリフィケーションツールには、どのようなコンテキストのページに掲載するかまでコントロールできるものもあります。通常のDSPやアドネットワークでも、アダルトサイトや暴力的なサイトなど、ブランディングにふさわしくないサイトを除外することができますが、これらはサイト単位でしかコントロールできません。大手ブログサイトなどは、広告を表示すべき良質な口コミページと、ブランドにマイナスイメージをもたらすページが混在することもあり、野放しにするか全て配信を停止するかしかなくなってしまいます。

 

このような場合にアドベリフィケーションツールを活用することで、ページ単位で望ましいコンテキストのページに配信できるようになり、広告の訴求効果を向上させることができるのです。

 

 

トレーディングデスクがもたらすDSP最適化の知見

 

このように、トレーディングデスクでは多くのDSPアカウントを運用する中で、メディアにおけるユーザー層や、DSP毎のメディアにおける掲載枠の違いなど、DSP運用最適化のための知見を蓄積しています。DSPは、ユーザーターゲット機能などが優れており、ある程度の最適化は手を加えなくても自動で行われます。しかし、それは裏を返せば、複数他社の入札も同じスキームで最適に配信されていることを意味します。これでは結局入札競争に巻き込まれ、本来目指すべき最適な運用から遠ざかってしまいます。

 

DSPが機能的にカバーできない部分をきめ細やかな運用とノウハウで補い、他社アカウントと差をつけることで、トレーディングデスクは効率的な運用を実現しているのです。

 

2回目となる今回は、DSPのプラットフォームとしての特性の視点からトレーディングデスクの強みを一部お伝えしました。次回は、ツールの特性を切り口に、トレーディングデスクの強みをお伝えいたします。

 

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ABOUT 石塚 拓郎

石塚 拓郎

株式会社コスモロジー 執行役員 広告事業会社のマーケティング事業部でオンライン広告全般に携わり、スタートアップベンチャーの創業やコンサルティングを経て2013年11月にコスモロジーにジョイン。DSP、リスティング、Web解析ツール等を研究し運用型オンライン広告のマネージメントを担う。