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WireColumn: 日本における動画広告

DAC Mr Saito WireColumn

 (コラムニスト:デジタル・アドバタイジング・コンソーシアム株式会社 齋藤 司)

ブランド広告の新しい手段として、市場規模の拡大が期待されている動画広告。TubeMogul社との資本業務提携、そして日本国内への動画RTBサービス導入を牽引しているDACの齋藤氏による『動画』をテーマにしたコラム連載。第一弾は、日本市場をとりまく動画広告の現状についてまとめています。

 

 

 

 

 

いつもお世話になっております。DACメディア本部の齋藤司です。DACで動画サイトや海外プラットフォーム、ソーシャルメディアを担当させて頂いています。

今日から数回にわたり、動画広告の今までと今後について、様々なテーマでお話しさせて頂ければと考えています。マーケッターの皆さまの中には、私を含め「動画キテルよね?」「動画いつやるの?」「今でしょー!」とお思いの方もいらっしゃるかと思いますが、そういった方がより増える為の一助になればと思い、自社調査の結果や、動画がアツい要因といったものもお話しできればと思います。

第1回目は、「日本における動画広告」といった一般的なお話をさせて頂き、整理していければと思います。

動画広告を取り巻くキーワードは太字で線を引いておりますので、是非覚えておいて頂ければと思います。

 

日本における動画広告

・ユーザーの拡大とデバイスの拡張

日本における動画広告は、2005年4月にUSEN GyaO、2005年12月Yahoo動画のサービスがスタートし、広告としてはコンテンツの前に動画広告を表示する「プレロール(プリロール)広告」の開始が、広告として本格的な動画広告の始まりと考えています。

当初からプランニング、素材活用、セールス手法のあり方としてWEB広告としてではなく、TVCMと一緒に考えていかなければならないといった議論がありましたが、WEBやWEB広告にCM素材を活用する権利関連の処理をそもそもしておらず、素材が使えないといった権利処理における混乱もあった事が思い出されます。

その後2005年にYouTube(米国)、2006年12月ニコニコ動画といった媒体社のサービス開始、また動画コンテンツを抱える放送局等も自社動画サービスやコンテンツ提供を開始し、2012年12月に発表されたビデオリサーチインタラクティブのデータによると、2012年6月現在1ヶ月の動画サイト(PC)の利用率はインターネットユーザー全体の59.2%に達しており、性・年代を問わず一般化しているといえます。

※参照URL  http://trend.netadguide.yahoo.co.jp/column/203/0234/1/

 

図1

 

またこの表を年代別にみてみると、特に1020代の男女の動画サイトの利用時間や利用時間のシェアが大きい事がわかります。多くのデバイスを使いこなし、ブランドを到達させるのが難しいとされる10代、20代の方が長い時間を過ごす動画サイトで、広告主がプレロール広告を検討するのは自然の流れかもしれません。また、このデータはPCのデータであり、スマートフォンへの携帯ユーザーの移行等を考えると、更に動画サイトを見る環境が広がってきていると考えられます。

スマホでのプレロール広告を実施できるようになったのが、YouTubeで2012年8月からになります。今後他の動画サイトでもプレロール広告の掲載が可能になる状況もあり、ますます若年層を捕まえるのは動画といったトレンドになるものと考えています。また、2013年にはバナー広告同様DSPでの動画配信も進み盛り上がってきている状況です。

 

・動画広告には2種類ある!

動画広告(ビデオアド)には基本大画面で、音声デフォルトONの①プレロール型(プリロール型)と、バナー枠を活用した②インバナー型があります。

プレロール型はYouTubeインストリーム広告、TrueView広告や、GyaOインターネットCM等、基本的には動画コンテンツの前に音声がONの状態で掲載される動画広告となり、TVCMとほぼ同様の形式が掲載可能な広告になります。

インバナー型は300×250pixのサイズ等のバナー広告の中で動画広告を掲載するものになり、基本デフォルト音声はOFFで、ボタンをクリックする等のアクションで音声がONになる仕様になっています。日本ではYahoo! JAPANのバナー広告でTVCM等の動画素材をエンコードして掲載できる最大1.8MBまでの容量を同一料金で掲載可能になっています。その枠を活用し動画広告をトップや中面で掲載するケースが多数あります。

 

アメリカのビデオアド市場のレポートは動画配信プレイヤーも多く、プレロール型とインバナー型を合わせて市場規模としてカウントしています。日本でもインバナー型を入れると既に相当大きな市場が出来上がっている事が、Yahoo! JAPANのTOP面の広告を見てもおわかりかと思います。ただ、日本の動画広告市場では現状ではインバナー型の市場把握が難しい事や、TVと同じ視聴環境である、プレロール型を動画広告市場として捉えている傾向があります。

 

図2

 

プレロール広告の利点としては音声と大画面での効果として「認知」効果があります。指標としてはクリックやWEB上でのコンバージョンではなく、「認知・購買意向」を動画広告が掲載された人にどれだけあがったか?といったTVCMと同様の効果を求める広告主が多いのですが、現状では調査やリサーチが必要で計測している広告主はわずかです。我々としては簡易に調査・リサーチできるよう動きをとっているところです。

対してインバナー広告の利点としては「リーチ」がバナー広告と同様に獲得できる点、ターゲティングが多彩な点等があげられますが、効果指標としても通常のバナー広告同様、クリック、コンバージョンを見られる事が多く、また多くの媒体社では大容量の動画配信の為には配信費が別途かかる事もあり、指標としては厳しくなってしまいます。我々としてもプレロール広告と同様のブランディング指標(認知・購買意向の上昇)を評価指標として提案し、採用してもらえるよう仕組み含め動きをとっている所です。

 

・日本の動画広告(プレロール広告)市場について

広告主にも非常に興味をもって頂いているプレロール広告ですが、ここ数年で大きく進展しました。その流れを追ってみたいと思います。

 

2011

YouTubeにおいてインストリーム広告に続き30秒視聴した際に課金される視聴課金型のTrueView広告が販売され、急激にインターネット上に動画を使った広告素材が増えました。 5秒間は強制視聴ですが、その後は、ユーザーがスキップ可能で広告を視聴するかどうか選択できるというもので、動画広告の長さも自由となっています。TVCMだけでなく、商品説明動画、販促用動画、映画業界で言えば映画内容を紹介するトレーラー等30秒を超える長尺のものも素材して多く活用され出稿されています。TVCMを行うには予算規模が少なく、出稿が難しかった商材での出稿のケースも多くみられますし、TVCMの広告主としてはあまりみない広告主も動画広告を実施という例も数多く見られており、広告主数を飛躍的に伸ばしています。この傾向は2012年以降も続いていますが、動画広告の活用の始まりの2011であったと思います。

 

2012

外資系広告主が海外ではTVCM予算を一部動画広告へ予算をシフトしている状況を受け、日本国内でも動画広告を積極的に実施する傾向がみられました。日本国内の広告主も一部が海外動向を受け、WEB上で動画を見せる事がブランドを向上させると考える広告主も出てきました。動画総視聴時間やリーチなどが指標となり、配信数が確保されており、プランニングや効果を設計したインストリーム広告(CPM)のセールスが進んできている状況があります。2012年は動画広告のプランニングのはじまり と言えるかと思います。下の図は2012年のプレロール広告売上の想定数値です。

 

図3

 

この1年で季節的要因も関係なくQ毎に増加し、年間では4倍以上の規模に拡大しています。プレロール広告内の内訳としては現状ではCPV(視聴課金)が全体の半分を上回る割合で推移しているのですが、強制視聴のCPM(配信課金)でのプレロール広告の伸びが徐々に大きくなってきている状況です。

最近は素材の尺の長さでCPMとCPVを使い分けるケースが見られており、CPMはTVCM素材の活用、CPVは長尺のプロモーション活用という形を取っています。

 

図4

 

2013

アメリカでは数年前から新聞社等の媒体社で、今までの「記事+写真」のコンテンツ構成から記者が記事を読み上げるといった動画メインのコンテンツへの切替が行われています。高単価でのセールスが可能な動画広告で収益をたてるのが狙いですが、日本でも媒体社のマネタイズの切り札として動画広告が注目されています。

特に、スマートフォンではバナー広告内でのインバナー動画広告や、大手動画サイトのスマートフォンでのプレロール動画広告といった様々なデバイスやスペースで動画広告が挿入できる環境になってきつつあります。音声をデフォルトでONにできるのか?といった課題は残るものの、着実に到達可能なリーチや、動画広告在庫は増えています。また広告出稿では、昨年来の海外動向を受け、より一層WEB予算としての広告出稿というよりも、TV予算サイドからのアプローチも多くなっています。出稿金額も1キャンペーンにプレロール広告だけで数千万円といった大規模なものも出てくるようになっています。 それに応じて効果指標もクリック、コンバーションではなく「認知、購買意向」を測る為の取組も行われるようになってきている状況です。

 

 

簡単ではありますが、第1回目の「日本における動画広告」の流れをお話しさせていただきました。第2回目は動画広告のアドフォーマットがなぜ効果的なのか?といったWEB広告の中で動画広告をブランド広告主が活用する理由について調査結果を交えながら出来ればと考えています。よろしくお願い致します。

 

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ABOUT 齋藤 司.

齋藤 司

株式会社トーチライト マーケティング ディレクター ラジオ、TVの放送作家を経て 2000年、雑誌をメインとした、広告代理店に入社。 アパレル、衛生機器メーカー等を担当し、2003年11月DACに入社。 メディア開発部等を経て2004年関西支社へ転勤。 広告会社に常駐し、インターネット広告の啓蒙、販売を行う。 2008年DAC本社にて開発・業推部マネージャー等を経て、 現在は第3メディア部マネージャーとして、ソーシャルメディア、動画を担当。 2013年10月より株式会社トーチライト出向によりマーケティングマネージャーとしてソーシャルメディアの啓蒙活動も行っている。 ※2014年2月時点 趣味は、落語、演劇鑑賞、ゴルフ等々