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ネット広告の全体最適化を図り、テストと最適化を繰り返すことでデータの達人になれ [アドテック東京2013レポート](Day2 後編)

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(ライター:柏木恵子)

9月18日から2日間にかけて開催されたad:tech Tokyo。そのキーノートの中から、Facebookの「Move Fast and Measure Things」(前編)と、Adobeの「Harnessing Data and Technology for Success in a Changing Landscape」(後編)の 2つのセッション概要を紹介する。

 

 

 

 

統合分析によるマーケティングの変革

アドビのビル・ムンゴバン氏が登壇し、マーケティングの変革について語った。アドビは、Photoshopなどのクリエーター向けソフトウェア企業と認識されることが多いが、Creative CloudとMarketing Cloudという2つの製品群も展開している。分析ツールのOmnitureや、最近ではタグマネージメントのSatelliteなど、マーケティング関連テクノロジーの企業を買収し、Marketing Cloud構築に取り入れている。さまざまなメディアやデバイスの広告を、統一してタグで分析する戦略だ。ムンゴバン氏はOmniture出身である。

 

後編1マーケティングにおけるアドビの目標は、全てのコンシューマに最適な体験を提供することだ。つまり、顧客の見たいものを見せ、デバイスに依存することなく適切なコンテンツを見せる。コンシューマエクスペリエンスにおいて、デジタルマーケティングはフロントランナーで、デジタル広告への投資は増えている。マーケターはこれを活用すべきである。

そのために必要なことは、まずデータの達人になること。どのメトリクスが重要か、なぜ今そのメトリクスを設定し最適化しているのか、どうすれば結果が出るのかを常に把握しなければならない。次に、常にテストすること。組織のボスの言うことが常に正しいとは限らない。とはいえ、上司にそれは間違っているとは言いにくい。継続的にテストをすることで、客観的な判断を下すことができる。

 

そして、もちろんデジタルにも積極的に取り組むべきである。今では斜陽となった新聞や雑誌といった従来の印刷メディアも、続々とモバイルやタブレットに進出し、再生を図っている。また、カタログ印刷を廃止したSotheby's(サザビーズ)では、動画を含むデジタルの情報提供に移行しており、それがコスト削減にもつながっている。

 

最後に、常にマーケターであらねばならない。データ分析などの左脳の働きと、クリエイティブな右脳の働きはどちらも重要である。これらを組み合わせ、マーケターの視点を失うことがないように。アドビのコンセプトの中心はこれだ。

 

後編2

では、これは広告主にとって何を意味するのか。サーチ、ディスプレイ、ソーシャルなどはどれも、サイロ化されたままでは存在できない。これらはめまぐるしいスピードで変化を遂げているからだ。個々のチャネルごとに最適化するのではなく、全体をひとつの大きなチャネルと捉えて、共通の目標に向かった最適化が求められる。ここで重要なのが、統合されたデータリポジトリである。ひとつのデータマネージメントプラットフォームで、自社のデータやサードパーティーデータ、パブリッシャーのデータを統合すること。オンライン、オフラインに関わらず、全ての顧客データを一カ所に集め、安全に管理する必要がある。

また、Paid、Owned、Earnedの各メディアを別々に見るのではなく、総合として見ること。統合化されたシステムによる全体最適化のために、分析メトリクスの統合が重要になる。Adobe Analyticsはまさにそのための製品で、アドビが実際に行ったキャンペーンを例にとって、その実効性が紹介された。

 

 

 

ABOUT 大山 忍

大山 忍

ExchangeWire Japan 編集長 米国大学卒業。外資系企業を経て2000年にネット広告効果測定ツールを提供するベンチャーに創業メンバーとして参画。その後、バリューコマース株式会社と合併。 2007年1月にオムニチュア株式会社(現Adobe)に参加、コンサルティングサービスを立ち上げる。ビジネスコンサルタントとして米国のベスト プラクティスを日本の課題やニーズに合わせて提供、ウェブ解析やガバナンス(データ主導の組織・仕組化)に関する執筆・講演を行う。