ExchangeWireが予測する、2014年、アドテク業界で起こるべきで多分起こらないこと【後編】

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年明けにExchangeWireロンドンのエディターが投稿した「The Things That Should Happen In Ad Tech In 2014… But Probably Won’t」の翻訳記事後編です。

 

 

 

 

 

 

Yahoo社と中国企業による想定外の利益

さて、AppNexusやその他アドテックプレーヤー(すなわちTubemogul、MediaMath、Turn、そしてRubicon)という文脈の中で問うべき問題は、年内にAlibabaのIPO後に発生する数十億ドルというたなぼたの利益をYahooがどうするかだ。Yahooをプログラマティック・スペースにおける実効性あるプロポジションにするために、Marissa Mayer(マリッサ・メイヤー)氏はいくつかの広告テクノロジーを是が非でも買収する必要がある。さて、AppNexusを買収するだろうか? O’Kelley氏とYahooの過去の経緯を鑑みればリスクは大きいが、他にも検討可能な選択肢がある。来年は、この差し迫ったチャイニーズ・マネーがアドテク絡みのM&Aを多少浮つかせるに違いない。

 

データ力を駆使するビッダーの台頭

2014年は、データ力を駆使するビッダーがプログラマティック市場の大きな割合を奪う年となるだろう。代理店は今後、従来型の「DSP」プレーヤーの先にあるオファリングの検討を始めるだろう。Twitter、Facebook、MediaMathを基盤とした楽天や、もちろんみんなのお気に入りである眠れる巨人、Amazonからのショッピング・インテンダー(*2)搭載ソリューションの検討だ。

*2:インテンダー:Intend、すなわち「何かの意図を持っている」人。この文脈ではAmazonにアクセスする「購買意欲を持っている人」の意味。

一部管理されたものはあるが、そのほとんどはセルフサービス方式となるだろう。このプランには、クライアントのために最高のパフォーマンスを発揮できるよう代理店を支援する、データの潤沢なメディア企業が参画してくる。この新しいソリューションプロバイダーの管理サービスが伸び、一部企業がトレーディングスペシャリストを買収するのを目にしても驚いてはならない。繰り返すが、ヨーロッパ系企業は卓越した価値を提供しているのだ。

 

検索ビジネスに一石を投じるヨーロッパのプレミアムパブリシャー-ホワイトレーベルのYandexと契約、国別プレミアムコンテンツ検索エンジンを稼動

これは2014年における大胆な予想だ-言い換えれば、実現の可能性はない。このような大穴を当てるには、途方もない労力が必要だろう。しかし、うまくいけば数十億ユーロの収益を獲得できるかもしれない。Googleとプレミアムパブリッシャー/メディアセールス会社間の緊張は高まる一方だ。広告のCPM価格が下落すればするほど、Googleの検索ビジネス-史上最も偉大な広告モデル-に関する議論は激化するだろう。

プレミアムパブリッシャーは、彼らのコンテンツがGoogleの検索エンジンで収集・整理される方法に不満を持っている。そのほとんどが、極めて高収益であるAdwordsビジネスに有利なように使われているという。同エンジンによってパブリッシャー達にトラフィックを送っているとGoogleは指摘しており、その指摘は正しい。懲罰的な、または見当違いな規制によりGoogleを罰すべきでない。この点に異論はない。これは自由な市場なのだ。従って、Googleにはヨーロッパ検索市場での公正な競争の機会を与えるよう、提案したい。

仮に、2014年、ドイツのメディアセールス会社上位20社が、Yandexとの間で、新しいプレミアムコンテンツ検索エンジン上に参加20社の検索結果だけを提供する契約を結んだとしよう。20社のコンテンツの検索リスティングは、ドイツにフォーカスした新検索エンジンを通してのみ利用できることになる。新しい取り決めはジョイントベンチャーという形態を取り、検索収益は全て参加企業間で分配される。

その検索が提供する卓越性を確保するため、モバイルプロバイダやコンテンツサイトと契約を結ぶだろう。また大規模なマーケティングキャンペーンが実施される。メディアセールス会社は極めて多様化されたメディアビジネス(TV、雑誌、出版及びデジタル)であるから、コストを低く抑えることは可能だ。その結果、ドイツのメディアセールス会社は全く新しい、そして増大する収入ストリーム(流れ)を開放することになる。

Yandexはまたヨーロッパの最大検索市場のひとつに参入することになる。これは、北欧やフランスのようなパブリッシャー間の協業が一般的な市場にも当てはまるだろう。このような戦略が話題に上るだけで、Googleとの興味深いディスカッションに発展するに違いない。但し、実現確率は大変小さいけれど。

 

米国企業は多額な外貨の一部を欧州におけるM&Aに使う

ほとんどのIT企業がダブリンを拠点とするのはこのためだ。確かに、ダブリンの天候は決して恵まれているとは言えない。また、有り余るほどのエンジニアがいるわけでもない。しかし、途方に暮れるほどの膨大な税金を払わずに企業収益を上げるには実に最高の場所だ。その理由だけで、ダブリンを本拠とするほとんどの米国企業のバランスシートには巨額の外貨が鎮座している。

Microsoftが最近Skypeに支払った80億ドル(約8,240億円)という高額に、多くが難色を示した。が、これには明確な戦略があった。いくつか優れたVOIPテクノロジーを手に入れただけでなく、外貨を米国に送金した場合の法人税を、Skypeへの支払額の何倍も回避できたのだ。そのため、2014年にはヨーロッパのアドテク分野のM&Aにミニバブルが起きるかもしれない。ヨーロッパにおける買収候補として有望なアドテクはAdformだろう。

SalesforceとAdobe(それぞれかなりの外貨を保有)の両者が代理店市場に何とか参入するには、強力なアドサーバの取得が必須となろう。エンタプライズマーケティング技術について議論するのは結構だが、現実として(今のところ)代理店がマーケティングと媒体予算へのゲートキーパーだ。Adform は、(ポイントソリューションを含む)市場で最高のサーバのひとつ、及び有効なビッダー(入札機能)を所有している。このような複合機能を備えた企業として、他にも数社の候補がある。とりわけSwitch ConceptsVideoplazaPowerlinks そしてフランス、ドイツ、及び東欧のビジネスだ。しかし、点と点を結ぶのはM&A担当者に任せよう。

2014年末には、これら予想がどうなったか振り返ってみたい。1つか2つが実現しているかもしれない。私の予想はさておき、2014年は確実に興味深い一年になるだろう。というのも、新規株式公開(IPO)が予定されているし、パブリックアドネットワークの数社にとっては売却禁止期間が終了するからだ。第2、第3四半期の業績発表で、その後予定されている新規公開株に対し市場の期待値が示されるだろう。2014年はIPO、M&A活動、及びビジネスモデルシフトに関し、重要な分岐点になりそうだ。どんなことが起こるのか、楽しみだ。

「起きるべきだが実際には実現しない」2014年の予想項目と、その実現確率は以下の通り:

– 代理店/ブランドが広告ネットワークを買収実現確率: >65%

– スーパー・イールド・オプティマイザーの台頭、バイサイドからセルサイドへのシフト実現確率: >90%

– Twitterがビッダーを買収/構築、ネットワーク買収目的でTwitterデータをバンドル化実現確率: >70%

– FacebookがAppNexusを買収、Social Graph Bidderを稼動、そしてFBビッダーからのみFBXへアクセス可能になる実現確率: <50%

– 代理店及びクライアントダイレクト用のバイイングポイントとして、データ力を駆使するビッダーの出現実現確率: >80%

– Yahooがアドテクのいずれかを買収(可能性のある候補者リスト: Tubemogul、MediaMath、Turn、Rubicon あるいはAppNexus)実現確率: >80%

– ヨーロッパのプレミアムパブリッシャーがYandesと契約、専用プレミアムコンテンツ検索エンジンを設置実現確率:<10%

– 米国企業がヨーロッパのアドテック買収に巨額の外貨を消費実現確率: <30%

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大山 忍

ExchangeWire Japan 編集長 米国大学卒業。外資系企業を経て2000年にネット広告効果測定ツールを提供するベンチャーに創業メンバーとして参画。その後、バリューコマース株式会社と合併。 2007年1月にオムニチュア株式会社(現Adobe)に参加、コンサルティングサービスを立ち上げる。ビジネスコンサルタントとして米国のベスト プラクティスを日本の課題やニーズに合わせて提供、ウェブ解析やガバナンス(データ主導の組織・仕組化)に関する執筆・講演を行う。