The Trade Deskが語るアジアのプログラマティック市場 ~求められるプログラマティック人材の育成と・ナレッジの蓄積~

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(翻訳:Asia Plus 黒川賢吾)

グローバルアドテク企業には、アジアのプログラマティック市場はどのように見えるのか。The Trade Deskの幹部が語る現状について、本家ExchangeWireがインタビューした。

 

 

 

 

 

プログラマティックを誤って理解するアジアのマーケティング担当者

The Trade Deskのアジア太平洋上級副社長に着任する業界第一人者のMatt Harty氏によれば、プログラマティックを取り入れようとしている企業にとって、市場でのタレント不足が重要な課題となっているようだ。

 

Matt Harty氏

 Matt Harty氏

–Harty氏:プログラマティックの導入によって企業が得られる生産性と効率性によるメリットは明確であるにも関わらず、企業がプログラマティックの導入に二の足を踏むのは、多くの人が方法を良く知らないからです。プログラマティックを行う代理店ですら人材が不足しているのです。

 

The Trade Deskのアジア太平洋マネージングダイレクターであるAndrew Tu氏はこれに付け加える。

 

–Tu氏:私たちが行う作業は脳外科のそれほど緻密ではありませんが、時間や細部を徹底することを伴う作業です。一方でブランドの観点からは、彼らの優先順位はプログラマティックを行う方法を理解することではなく、棚からスニーカーを下ろすことにあると言えます。

インドなどではCPCが1セントで利用可能な時代で、広告主がデータを重視したマーケティングに過剰な費用を払わなくなっていると述べました。1セントではターゲット広告のあるべき広告効果を得られない。これにブランドが気づいた時に初めてプログラマティックが検討されます。

また、デジタル技術の活用は、CPCを引き下げたり、最も廉価なCPMを見つけたりすることではなく、むしろCPMのパフォーマンスや他の重要なパフォーマンス測定基準を追求していくことにあることを認識してもらうこと。ここ数年を通して、アドネットワークやメディア企業が彼らの収益に影響を与えるという懸念から、プログラマティックの役割を軽視するなど業界が無意味な反発を受けてきました。

トレーディングデスクは、CPMをパブリッシャーから直接入手するよりも低価なレートで購入することができます。つまりプログラマティックを利用するのを思い留まるように仕向けるのがアドネットワークやパブリッシャーの営業マンの仕事だったのです。このことが、プログラマティックはロングテールで、品質の高いコンテンツのあるサイトには効果が薄いという認識を含む“神話”となりました。これらの誤解は今もなお残っており、これを解くことは業界にとって最重要課題です。

広告主は、ブランドの安全性が保たれるか、ポルノやアダルトサイトを含む低品質なサイトに自社広告が掲載されないかを懸念しています。例えば、航空業界の関連企業は、自社の広告が最近起きた航空機事故の記事に掲載されることを避けたいのです。

Peer39が提供するような、ウェブページを分析して特定のコンテンツへの広告主のメッセージをブロックできるツールが利用可能な一方で、アジアのブランド企業は未だにそれらのツールに関する知識を持ち合わせていません。

広告主は、プログラマティックがブランドの安全性の問題につながるという懸念から採用に二の足を踏んでいます。一方で、かつてプログラマティックについて懸念を表明していた人々が、今ではそれを導入し初めています。プレミアムコンテンツの広告主も同様に活用方法を理解し始めており、良い兆しも見えます。

プログラマティックを利用する人々が増え、より良い効果測定基準を利用できるメリットに気づくことで、プログラマティックの利用は拡大していくでしょう。

 

 

APACにおける事業展開の展望

The Trade Deskは、Harty氏をアジア太平洋チームに加えるなど、この技術トレンドの上昇傾向に大きく賭けており、APAC地域における事業拡大に向けて積極的に人材を採用している。2013年の7月にシンガポールオフィスを開き、またその後ソウル、東京、そしてシドニーのオフィスを開設した。
3月に同社に正式に加わり、シンガポールを拠点に活動する広告技術のあるベテランは、最近まで顧客の問題解決を担当するExperian Asiaに在籍していた。

The Trade DeskのCEO兼共同創設者のJeff Green氏はこう語る。

–Jeff氏:私たちのアジア太平洋での成長は、APAC地域と韓国、日本、オーストラリアでの人材需要を喚起してきました。Mattの行動力、業界知識、そして強い絆によって、彼がこのビジネスにすぐにインパクトのある結果をもたらすことを確信しています。

 

Harty氏がまず優先して行うべきは、事業拡大のための潜在的な新市場を特定し、その最適な実現方法をみつけることだ。

–Harty氏:私たちは自分たちの投資と機会のバランスを取らなくてはいけません。中国が話題にのぼらない日はありませんが、私たちにとって次の市場が中国であるべきなのか、または日本にさらに投資するべきなのかを見極める必要があります。各市場におけるクライアント需要に従って決断し、彼らの期待に答えられるようベストを尽くします。
私が同社の事業計画の“戦略的部分”を担当することで、これまではオペレーションと両輪を回していたTu氏は、日々のオペレーションに集中できるようになります。米国に拠点を置くグローバルチームが、APAC地域で期待される成長に対応するだけの体制となっていることを実証していきます。

 

製品開発について、Tu氏はクロスデバイスターゲティングに加えてAdvanced TV が次の大きな動きであると述べた。米国市場は既にこの分野を加速させる動きがあり、テレビ広告をプログラマティックなどの方法で機能させる方法について模索しているとのことだ。
Tu氏はまた、The Trade DeskがAppleのiAd APIへのアクセスを許された世界で2つしかない企業のうちの一つであり、iAd Workbenchとつながるプラットフォームから、25万以上のApp Storeのアプリユーザーをターゲットに出来る点についても言及。iAdはかつてはプレミアムインベントリだったが、現在ではAppleがRTB上での広告売買を可能にしている。
(編集:三橋 ゆか里)
 

 

 

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野下 智之

ExchangeWire Japan 編集長

外資系消費財メーカーを経て、2006年に調査・コンサルティング会社シード・プランニングに入社。 国内外のインターネット広告業界をはじめとするデジタル領域の市場・サービスの調査研究を担当し、関連する調査レポートを多数企画・発刊。 2016年4月にデジタル領域を対象とする市場・サービス評価をおこなう調査会社 株式会社デジタルインファクトを設立。