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先週のアドテクシーン:OpenXが2014年の業績を公開 ネット収益で1億ドルを超える 、ベクトルがデジタルサイネージ事業においてマイクロアドデジタルサイネージと業務提携

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(ライター:岡 徳之

広告テクノロジー業界を定点観測するExchangeWire編集部が、過去一週間に起きたトピックの中から特に注目すべきものをピックアップしてお届けする。

 

 

 

 

リンクシェア・ジャパンが「成果報酬型ネイティブ広告サービス」を開始

楽天グループのリンクシェア・ジャパンが、ネイティブ広告ネットワーク事業を展開するサムライトの協力のもと、「成果報酬型ネイティブ広告サービス」を開始した。本サービスは、リンクシェア・ジャパンが提供するアフィリエイトプログラムの「リンクシェア アフィリエイト」と「TGアフィリエイト」を利用する広告主を対象に、ネイティブ広告ネットワークへの広告の配信および、商品・サービス内容に関する記事形式のコンテンツの作成を行うもの。記事形式のコンテンツは、サムライトが社内外で抱える各分野の専門家や有識者により広告の訴求内容に応じて作成される。ネイティブ広告ネットワークへの広告配信に加えて、記事形式のコンテンツ作成も併せて成果報酬型の課金体系で提供する。

 

VOYAGE GROUPとエスワンオーインタラクティブがPMPを運営する新会社を設立

SSPのFluctを運営するadingoを抱えるVOYAGE GROUPが、アドテクノロジー市場における新たな取り組みとして、トレーディングデスク事業を展開するエスワンオーインタラクティブと合弁で、プライベートマーケットプレイスを運営する新会社、「intelish」を設立した。intelishでは、Fluctを導入している媒体社をはじめ、プレミアムな広告枠を中心としたPMPを構築し、限られた広告主がRTB形式で広告を出稿できる仕組みを提供する。なお、新会社の出資比率は、VOYAGE GROUP 51%、s1o-i 49%。PMPは、2015年春頃にテスト稼働していく予定。国内でもPMPの考えが浸透し、市場として成り立ち始めたことに伴っての設立といえる。今後もこの分野はさらなるプレイヤーが参入が考えられる。

 

OpenXが2014年の業績を公開 ネット収益で1億ドルを超える

OpenXが、2014年の業績を公開した。ネット収益が年間で1億ドルを超えたことを筆頭に、ExchangeとSSPを足した利用クライアント数が7割増加したなど、市場と共に成長をしていることが述べられている。

 

サイバーエージェントがアプリとウェブを横断したスマホリターゲティング広告配信を実現

サイバーエージェントのアドテクスタジオが、これまでスマートフォンの課題とされていた、アプリとウェブを横断したリターゲティング広告を実現するSDKの提供を開始した。技術仕様などはリリースには書かれておらず、独自技術となっている。また、特許も出願中とのこと。これにより、スマートフォンアプリを利用したユーザと、スマートフォンでウェブサイトを閲覧したユーザの識別を行うことが可能となり、アプリとウェブを横断したリターゲティング広告の配信を実現する。第一弾として、同社が提供する、「AMoAd」「Dynalyst」「Smalgo」の3つのアドテクノロジー広告にて、本SDKを活用したリターゲティング広告の配信を2015年2月末より開始する。

 

PubMaticがDSP/代理店向けに新たなオーディエンスディカバリーツールをリリース

SSPのグローバルプレイヤーであるPubMaticが、買い手であるDSP/代理店向けのツールを発表した。オーディエンスディカバリーや在庫調査が出来るバイヤー側のポータルになる。これはプログラマティックダイレクトを強化する中の施策である。

 

Innityが東南アジア3ヶ国におけるYahoo!広告の独占販売代理契約を締結

国内ではDACと資本関係のあるマレーシアに拠点を置くInnityが、東南アジア3ヶ国における、Yahoo! SINGAPORE DIGITAL MARKETING PTE.LTDが提供する広告スペースの独占販売権を有する広告取引契約を締結した。同社は、本契約を東南アジア地域の広告主に対して、プレミアムメディアソリューションの提供を拡大する戦略の一環と捉えている。

 

Time IncがMediaMathと協力し紙面ユーザをセグメント化しデジタル面でのターゲティング配信を開始

Time誌が、紙面のユーザをセグメント化してそのセグメントユーザにデジタル面でのプログラマティックバイイングを実現した。実現するにあたりDSP事業者のMediaMathと協力し行った。紙ベースの媒体社からするとデジタルとの横断は課題であり続けていたが、ついにブレイクスルーが生まれ始めたといえるかもしれない。

 

アライドアーキテクツがアドテクノロジー事業に参入

アライドアーキテクツが、アドテクノロジー事業に参入すると発表した。SNSマーケティングとアドテクノロジーはますます融合が進んでいることが背景にある。サービス第一弾として、商品/サービスに対して「好意・愛着」を持っているユーザのデータを活用してターゲティング広告の精度を向上できる、「SNS対話データ・ターゲティング」の提供を開始した。「SNS対話データ」とは同社独自のデータ概念で、「当社サービス上で広告主企業が行うユーザンケートなどによりSNSユーザから直接的に収集できるリアルな意思・嗜好データ」をあらわす。このデータをもとに、ユーザひとりひとりの企業/ブランドへの「好意・愛着」の度合いを可視化し分類することができるという。

 

The Trade DeskがForbesが発表した将来有望な企業ランキングでTOP10入り

DSP大手のThe Trade Deskが、Forbesが発表した将来有望な企業ランキングで9位に選ばれた。アドテク関連企業では最も上位である。The Trade Deskはまだ日本では馴染みが少ないが、米国だけでなくアジア圏でもトレーディングデスクに多く支持されているDSPである。

 

ベクトルがデジタルサイネージ事業においてマイクロアドデジタルサイネージと業務提携

ベクトルが、マイクロアドデジタルサイネージと協業し、MADSが提供するデジタルサイネージアドネットワーク「MONOLITHS」を通じた、ニュース映像コンテンツの配信を開始する。この協業により、ベクトルが提供するニュース映像コンテンツをオンライン上で流通させるサービス「Native News Wire」と、全国約30,000面以上のネットワークであるMONOLITHSを連携することで、デジタルとリアルの双方でニュース情報を拡散させることが可能となる。

 

 

 

ABOUT 野下 智之

野下 智之

ExchangeWire Japan 編集長   慶応義塾大学経済学部卒。 外資系消費財メーカーを経て、2006年に調査・コンサルティング会社シード・プランニングに入社。 国内外のインターネット広告業界をはじめとするデジタル領域の市場・サービスの調査研究を担当し、関連する調査レポートを多数企画・発刊。 2016年4月にデジタル領域を対象とする市場・サービス評価をおこなう調査会社 株式会社デジタルインファクトを設立。 2021年1月に、行政DXをテーマにしたWeb情報媒体「デジタル行政」の立ち上げをリード。