Vponが日本・台湾・中国・香港のモバイルディスプレイ広告市場調査結果を公表
台湾最大手のモバイルアドネットワークVpon日本法人のVpon Japanが3月5日、“2014年台湾モバイル広告市場年末報告”と題する市場調査レポートを公表した。(PDF)
この調査レポートでは、台湾のモバイルユーザーのデバイス保有状況、OSシェア、コンテンツの消費行動などを含め、利用動向が詳細に報告されている。レポートではまた、2014年の日本・台湾・中国・香港のモバイルディスプレイ広告市場に関する比較分析及び、台湾市場における産業別投資額の状況なども網羅されている。
以下、モバイルディスプレイ広告市場(※)に関する調査結果の一部を紹介する。
※なお、以下紹介する報告書において 「モバイル広告市場」と記載されているものの対象は、モバイルディスプレイ広告である。(Vpon Japanへのヒアリングによる)
類似する日本と台湾のモバイルディスプレイ広告市場、モバイルプログラマティックは普及途上
同社が集計した2014年の各国・地域別のモバイルディスプレイ広告市場のチャネル別構成比(金額ベース)によると、日本・台湾が類似していることが分かる。両国ともアドネットワークの割合が高く、メディア(ここではアプリ)によるダイレクト販売の割合が小さい。
一方、ダイレクト販売の割合が最も大きいのは香港であり、全体の2/3がダイレクト販売となっている。メディアによる広告販売は、サードパーティーに対して4か国中で最もクローズドな環境にあるといえる。
また、DSPの割合は、最も大きい台湾においても15%にとどまっている。モバイルプログラマティックの普及は、どの国・地域においても途上にある。
(構成比は金額ベース・Vpon社データ及び市場データ・業界ヒアリングを元に集計)
■日本:AD Network 85%、DSP10%、Individual App5%
■中国:AD Network 50%、DSP 5%、Individual App45%
■香港:AD Network 20%、DSP 5%、Individual App75%
■台湾:AD Network 80%、DSP15%、Individual App 5%
(※報告書で数値が記載されていない個所はVpon Japanヒアリングにより数値を記載)
各国でバナー広告が中心のディスプレイ広告、多様化が進む台湾
次に、モバイルディスプレイ広告のフォーマットの構成比(impベース)についてであるが、各国・地域ともバナー広告が中心となっている。このうちバナー広告以外のフォーマットの割合が最も大きいのが台湾であり、最も小さいのが中国となっている。ちなみにグラフに記載されている“CRAZY AD”とは、リッチメディア広告のことを示しており、台湾で使われている呼称である。
台湾で加速する「ヘルス&ビューティ」セクターによるモバイルディスプレイ広告への投資
台湾におけるモバイルディスプレイ広告の産業別投資額は、 「ヘルス&ビューティ」セクターが最も多い。成長率を見ると、「食品&飲料」、「ファイナンス」の投資額も、前年比で約2倍の水準に増加している。
(金額ベース・Vpon社データを元に集計)
(金額ベース・Vpon社データを元に集計)
(編集:三橋 ゆか里)
ABOUT 野下 智之
ExchangeWire Japan 編集長 慶応義塾大学経済学部卒。 外資系消費財メーカーを経て、2006年に調査・コンサルティング会社シード・プランニングに入社。 国内外のインターネット広告業界をはじめとするデジタル領域の市場・サービスの調査研究を担当し、関連する調査レポートを多数企画・発刊。 2016年4月にデジタル領域を対象とする市場・サービス評価をおこなう調査会社 株式会社デジタルインファクトを設立。 2021年1月に、行政DXをテーマにしたWeb情報媒体「デジタル行政」の立ち上げをリード。