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ビックデータが機能しない時に何が起こるのか? [インタビュー]

(翻訳:Asia Plus 黒川賢吾)

今月の初めに(12月2日)フラッシュストレージの提供元であるPure Storage社によって発表された研究によれば、企業はビッグデータ活用の失敗により、2000万ポンド(約36.7億円)相当の機会を逃している。この件において、私たちは「Big Data’s Big Failure」というPure Storageのレポートにおける研究結果をレビューし、どのようにフラッシュメモリー技術がデータ管理を変換しているのかについてPure StorageのCMOであるJonathan Martin氏に話を聞くことができた。

不十分なデータ管理は、非常によく見られる問題

ちょうど半数を超える(51%)の回答者が 、情報の不足が原因で機会を逃したことがあると回答した。さらに、機会を逃したと報告した人たちのおよそ3分の1(31%)は、少なくとも一週間に一度程度機会を損失していると述べている。

あなたはビジネス上で、情報の不足によってビジネス機会を失った事がありますか?Yesと回答した場合、それは平均してどの程度の割合であなたのビジネスに起こっていますか?

Source: Pure Storage
※上図グラフの日本語訳
 左側のグラフ
・設問:あなたはビジネス上で、情報の不足によってビジネス機会を失った事がありますか?
 右側のグラフ
・設問:Yesと回答した場合、それは平均してどの程度の割合であなたのビジネスに起こっていますか?
・回答項目(上から):1年に1度より少ない、年に1度程度、年に数度、月に1度、月に数度、週に1度、週に数度、ほぼ日時で

「彼らはどこから手を付けるべきであるのかが、わからないのです」と、なぜこの問題が根強く残っているのかについて、Pure Storage のEMEA担当副社長であるJames Petter氏は述べた。

Jonathan Martin, CMO at Pure StorageExchangeWireとのインタビューにてPure StorageのCMO  Jonathan Martin氏(右の写真)は次のように述べた。「ここ30年間、情報は大規模な回転型のディスクアレイに記憶され、すべての業者が同様にそうしてきました。それが、フラッシュメモリー技術の導入により数年前から変化し始め、インフラの構築方法に影響を与えるようになりました。」。Martin氏は、コンシューマー機器に改革をもたらしたのと同様のフラッシュメモリー技術について言及している。彼は次のように続けた。「私たちは、より速く、より濃密で、(作動に)より少ないパワーを必要とするパフォーマンステクノロジーを視野に入れながら、フラッシュにおけるストレージアレイの構築を決めました。」

最先端の技術を6年もの間サポートすることで、Pure Storageのフラッシュ技術はマーケティングや広告業を含む多様な産業で使われている。Martin氏は次のように話した。「すべての産業は、より良いパフォーマンスを探しています。ここ10~20年もの間、どのIT管理者もパフォーマンスのボトルネックはストレージであったと述べるでしょう。(ストレージが)すべての速度を遅くしてきたのです。」

デジタルにおける進化論

データというものが、役立ち価値があるということを信じないことが、専門家が必要な情報にアクセスしない一番の理由であった(42%の支持)。

会社の全員が正しい決定を下す為に必要な情報にアクセスしていますか?その理由は?

Source: Pure Storage
※上図グラフの日本語訳
 左側のグラフ
・設問:会社の全員が正しい決定を下す為に必要な情報にアクセスしていますか?
・回答項目(左から):はい、何割かはしている、限られたスタッフしかしていない
 右側のグラフ
・設問:その理由は何ですか?
・回答項目(上から):データ保護への懸念、データがない、データを活用するスキルがない、ビジネスがサイロ化している為、技術能力不足、情報に価値があると思えない為

人々が必要なデータにアクセスし正しい決断を下すためには、組織がデータを重視するように変化をする必要がある。そのためにはトップダウンによる行動が必要である。

「あなた自身が自ら行動し、思っていることを口にしない限り、変化は起こりようがありません」。Pure StorageのEMEA担当副社長であるJames Petter氏は、変化が起こらない原因についてこう述べた。

上級リーダーたちがデータをより上手に活用する事で、費用の節減が出来、より利益の確保につながる事を理解する必要がある。データストレージや管理方法について優先課題としている上級リーダーの数は非常に乏しく、ほとんどの企業が「トライアンドエラー」の方法で効率性を見出そうとしている。Peter氏はこれを「デジタル進化論」と呼んでいる。

Nielsenはデータ管理によってビジネスをより改善していく為に上級リーダーが率先して取り組んでいる企業の一例である。Nielsenはここ数年データセンターを現代的な仕様に革新し、取り扱うデータの量も格段に増大させた。その結果、クライアントに対してより効果的で素早くデータの提供が可能になり、早期にデータや分析をクライアントに届ける事が出来るようになる等、生産性が数倍以上向上するに至った。古くからのディスクベースからフラッシュベースのシステムに移行することで費用及び償却コストも下げることに成功した。

データをPLに加える

Gartnerはこれから5年で208億ものコネクテッドデバイスが世の中に出回ると、予想している。そして、これらのデバイスは継続的にデータを排出する。

Pure Storageのリサーチによってもたらされた疑問の一つが、所有するデータ価値はPL上の帳簿に記載されるべきかどうかという点である。Martin氏はこう述べる。「いま、とても素晴らしいトレンドが起ころうとしています。インターネットはIoTに進化をし、冷蔵庫からワイドスクリーンまで全ての機器がネット接続された状態になっていきます。人々がデータを収集していくにつれ商品の価値が、その商品自体のみから、商品とその商品が収集するデータによるものに変化していくことに気付きはじめるようになります。」

彼は次のように続ける。「その情報は例えば保険業界といった他の企業にとっても意味のあるものです。価値は商品からではく、商品が生み出す情報から生まれるように変化を遂げていきます。情報の交換はオンラインエクスチェンジやマーケットプレースなどで行われ、より良いビジネス上の決定を行えるようなデータやデータサービスを取得できるようになっていきます」。

James Petter, Pure Storageデータ管理の英国経済への影響についてPeterは次のように述べる。「経済的な観点から考えると、英国がデータ管理上においての安全な場所であり続け、多くのビジネスがデータを英国に置いておきたいと考えることが必須です」。データの価値について理解しドキュメント化を行うことが、今後英国政府が正しい決定を行う上での助けとなり、データ管理を英国で行おうとする企業が英国経済に寄与していくのです。

ABOUT 野下 智之

野下 智之

ExchangeWire Japan 編集長   慶応義塾大学経済学部卒。 外資系消費財メーカーを経て、2006年に調査・コンサルティング会社シード・プランニングに入社。 国内外のインターネット広告業界をはじめとするデジタル領域の市場・サービスの調査研究を担当し、関連する調査レポートを多数企画・発刊。 2016年4月にデジタル領域を対象とする市場・サービス評価をおこなう調査会社 株式会社デジタルインファクトを設立。 2021年1月に、行政DXをテーマにしたWeb情報媒体「デジタル行政」の立ち上げをリード。