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アウトストリーム型ビデオ広告 – それぞれのメリットによって視聴されるオンライン広告フォーマット

(翻訳:Asia Plus 黒川賢吾)

多くのパブリッシャーや広告主がアウトストリーム型ビデオ広告について認知しつつある一方で、多くの人々がこの新たなフォーマットで何が出来るのかについては把握していない。本コラムではBlue Billywig社で広告を統括するKavin Fox氏にアウトストリーム型ビデオ広告について詳しく語ってもらった。成長が期待出来る市場環境から、パブリッシャー及び広告主がいかにそのメリットを享受できるのかについて説明してもらった。

需要と供給に関する簡単な質問

ビデオ広告は非常に注目を集めているカテゴリーであり、インターネット広告の中でももっとも急激な成長を遂げている。市場は急成長しており、2014年の63.2億ドルから2019年には153,9億ドルまで伸びると予想されている(統計はPWCによる)。

質を伴った広告供給は現在のプレロール型では難しい。パブリッシャーにとって、現像のビジネルモデルに動画を付け加えることはコスト及び時間の両方から容易ではなく、一方で広告の世界では、ビデオ広告予算を使いながらも当初期待していたリーチに至らないケースが見られる。

こういった現状がアウトストリーム動画の成長に繋がっている。エディトリアルコンテンツ、ページメニューやイメージギャラリーなどの他のコンテンツにビデオ広告を掲載するのである。

Blue Billywig社の強み

Kevin Fox氏、Blue Billywig社新たなサービスにはよくあることだが、我々のサービスを以前からあったサービスと比較してみたい。アウトストリーム型のビデオ広告はCPMやROIを伸ばすという観点ではプレロール型広告やディスプレイ広告と変わるものではない。

しかしながら、これらの問題に対しての決まった回答というのは存在しない。というのはコンテンツタイプや地域、ポジショニングなど様々な要素が関連するからである。そのため、私は買い手、売り手の両者にそれぞれのメリットを見極めることを薦めている。それらは、広告主にとってはビューアビリティを高めるインパクトの高いビデオ広告であり、ウェブサイトのユーザーにとっては邪魔をすることのない広告体験である。

買い手、売り手の両者にとってアウトストリーム型のビデオを戦略に組み込むことは多くの利点がある。

パブリッシャーの利点

現状の営業戦略とは重ならない形で、新たなブランド収入を得ることができる


 

ビデオコンテンツカテゴリーに実質的な投資をすることなく、急成長しているデジタルビデオ市場のメリットを享受することができる


 

ビデオコンテンツを常時配信しているパブリッシャーにとっては、アウトストリーム型によるサプライの増加により広告市場から新たな収益を生むことが出来る


 

プレミアムブランド企業に対して、インパクトが高く、高パフォーマンスで、ユーザーフレンドリーな広告を提供する機会を提供できる


 

現状多くのパブリッシャーが収益かで苦戦しているモバイルデバイス上で、デザイン及びパフォーマンスの両面に優れたフォーマットを追加できる点。

広告主及びエージェンシーにとっての利点

サプライ側の質に妥協することなく、求めるデジタルビデオキャンペーンのリーチを得られる

アウトストリーム型に大きく投資をすることで、多くの具体的なオーディエンスにリーチすることができる


 

ユーザーのエンゲージメントを細かなレベルまでトラッキングし、最適化することができる

ユーザーに強制したりインセンティブを提供することなく100%のビューアビリティを提供することができる

広告ボリュームが増えることで、例えばユーザーの特定の日の特定のデバイスをターゲットとするなどの柔軟な対応が可能になる。エンゲージメントが高い朝の移動中のスマートフォンをターゲットとするなども可能

解決すべき問題点

得られる機会については明白だが、まだ妥協しなくてはならない点も多い。

エディトリアルを担当するチームは、調査と執筆に多くの時間をかけたコンテンツに広告が掲載されることを喜ばしく思っていないことが多い。逆の意味では、このようなコンテンツに広告を掲載することは、キャンペーンにおいて広告を多くの人の目に触れる機会となり、継続的に予算が割り振られたり、予算の増大につながっていく。

広告主及びエージェンシーにとって、アウトストリーム型広告はプリロール型広告に期待するものとは様々な点で異なる。コンテンツがユーザーに強制されないため、コンテンツの完遂率は間違いなく下がるだろう。しかしながら、ユーザーのエンゲージメントが消費者の選択によるものであり、そのブランドの情報をさらに知りたいかという純粋な意思によってもたらされるため、より信頼性の高いキャンペーンパフォーマンスにつながっていく点が特長として挙げられる。

ユーザーに選択肢を提供しより良い結果を得る

アウトストリーム型ビデオ市場の成長は、止まる様子を見せず、メインストリームになろうとしている。アウトストリーム広告はプレロール型やディスプレイ型のインベントリと比較されることなく、スタンドアローンのフォーマットとして認知されている。まだ新たな商品ではあるが、アウトストリーム広告はビデオ領域の中でより注目を浴びつつあり、広告チェーンにおけるもっとも重要な要素である消費者に対して、マルチスクリーンで、詳細かつ高インパクトのKPIを、ユーザーの同意を元に達成する可能性を秘めている。

ABOUT 野下 智之

野下 智之

ExchangeWire Japan 編集長   慶応義塾大学経済学部卒。 外資系消費財メーカーを経て、2006年に調査・コンサルティング会社シード・プランニングに入社。 国内外のインターネット広告業界をはじめとするデジタル領域の市場・サービスの調査研究を担当し、関連する調査レポートを多数企画・発刊。 2016年4月にデジタル領域を対象とする市場・サービス評価をおこなう調査会社 株式会社デジタルインファクトを設立。 2021年1月に、行政DXをテーマにしたWeb情報媒体「デジタル行政」の立ち上げをリード。