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トルコ:若く、デジタル広告の成長機会に溢れる新興市場

(翻訳:Asia Plus 黒川賢吾)

アドテクに関して、トルコという国を話題に挙げたり、話を聞いたりする機会は少ないだろう。しかしながら、ReklamStore社のCFOのHulya Altunbas氏によると、トルコ市場は機会に満ち溢れ、大きな成長を遂げているらしい。Altunbas氏が今回ExchangeWireに対して、いかに若者の多いトルコの市場が、ソーシャルやモバイルにより、アドテクにとって魅力的な市場になっているのかを語ってくれた。

―ReklamStore社に詳しくない人々向けに、貴社のビジネスと提供するサービスについて教えて下さい。

ReklamStore社は、広告主及びパブリッシャーに対してデータを中心としたパフォーマンスソリューションを提供するデジタル広告プラットフォームです。ReklamStore社はユーザーのウェブにおける行動からデモグラフィックや関心事項を分析し、正しいオーディエンスに向けて正しい広告モデルを提供するソリューションを提供しています。この方法で広告主はターゲットに対し、効果的且つ効率的なオンラインマーケティング戦略の実行を行うことが出来ます。ReklamStore社の優れたチームとテクノロジーによって、広告主、エージェンシー、パブリッシャーのそれぞれがパフォーマンスベースのソリューションを利用することが出来、ターゲットにリーチしブランド認知を高めることが出来ます。

―あなたはトルコのイスタンブールに在住していますが、それ以外の地域の仕事も担っておられますよね。eMarketerはトルコのデジタル広告の2014年から2015年にかけての成長を20%と分析していますが、トルコにいるあなたから見て、この数字はいかがでしょうか?また、トルコのデジタル広告市場は今後数年でどのように進化していくと見ていますか?

ReklamStore社が2007年に創立以来、年間50%以上の伸びを見せています。この数字には自然な売上増以外にも、新製品やテクノロジー、新たな地域からの収入といったものも含まれています。しかしながら当社のトルコ国内からの売上だけに限っても成長率は20%を大きく超えています。また、今後の市場は少なくとも20%以上伸びていくと見ています。これはインターネット普及率がまだ50%に満たないことやGDPに占める広告市場の割合が先進国と比較すると非常に少ないことなどから分析しています。これらの現状から市場が成長する余地は非常に大きいと考えています。

―トルコの消費者に関してヨーロッパや米国の消費者と異なると感じる部分はありますか?例えば利用する機器や、コンテンツに関して利用するアプリやプラットフォームの面ではどうでしょうか?どのような広告へのエンゲージメントが高いですか?

Photo: Hulya Altunbas氏、ReklamStore社モバイルデバイスの利用とオンラインでのエンゲージメントが非常に高いという特長があります。comScoreの調査によるとトルコの消費者のオンラインでのエンゲージメントは世界中で最も高い部類に入るそうです。トルコは若い人々が多いため、ソーシャルメディアに関して最も魅力的な市場の一つとも言えます。FacebookやTwitterは非常に人気が高いです。結果、デジタルの分野で最も高い成長を遂げているのはモバイルです。モバイル広告市場は2015年に61%の成長を遂げ、デジタル広告全体の20%という数字を大きく上回っています。デジタル広告に携わる企業はこのトレンドに沿った戦略を立てるべきです。ReklamStore社も、モバイル市場での更なるビジネス拡大のために最近買収を行いました。買収したのはRekmob社という、トルコで初のセルフサービスのモバイルアドネットワークです。Rekmob社のソリューションを通じて、広告主は、数百ものモバイルアプリから数百万もの消費者に対してリーチすることが可能になります。

―クロスデバイス上でのターゲティングもここ数年広告業界ではホットなトピックです。今後単独の事業者が提供し、単独の広告企業が利用するようなクロスデバイス上のユーザー管理方法が誕生すると思いますか?また、このようなデータは確率的データと、決定的データのどちらの方法を選択すると思いますか?

マーケッターはカスタマージャーニーの重要な時点で顧客と接点を持ちたいと考えています。これを実現するためには複数のデバイスにおいて消費者の行動を理解する必要があります。そのため、クロスデバイスにおけるユーザー管理がデータ重視の広告には必要となるのです。多くのデジタルマーケティング企業が自身で所有するデータを活用し、アルゴリズムを用いてユーザーのマッピングを行っています。その為、彼らは確率的な方法で決定的データを活用しています。データ重視の広告手法に強い広告企業は今後そのプロセスにおいて様々な利点を見出すことができるでしょう。

―(モバイル、ネイティブ、動画、ディスプレイなど)どのような広告フォーマットがどういった顧客に対して機能すると考えていますか?

ディスプレイ及び動画広告はブランディングに効果を発揮します。一方でパフォーマンスを重視するクライアントにはモバイルやネイティブ広告のモデルが適していると思います。

―最後に、トルコおよび近隣諸国のデジタル広告の将来性について意見を聞かせてください。

トルコは中東、北アフリカ、東ヨーロッパと同様に今後成長が期待できる地域です。市場の成長率は先進国より高く、市場の潜在性も大きいです。デジタル広告における成長性も世界レベルよりも高いでしょう。国民は若く、機動性に富み、新たなトレンドにもオープンです。この市場には多くの可能性があります。ReklamStore社では、これらの機会を捉えるための最新のアドテクソリューションを広告主及びパブリッシャーに提供していきます。

ABOUT 野下 智之

野下 智之

ExchangeWire Japan 編集長   慶応義塾大学経済学部卒。 外資系消費財メーカーを経て、2006年に調査・コンサルティング会社シード・プランニングに入社。 国内外のインターネット広告業界をはじめとするデジタル領域の市場・サービスの調査研究を担当し、関連する調査レポートを多数企画・発刊。 2016年4月にデジタル領域を対象とする市場・サービス評価をおこなう調査会社 株式会社デジタルインファクトを設立。 2021年1月に、行政DXをテーマにしたWeb情報媒体「デジタル行政」の立ち上げをリード。