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動画を活用したマーケティングが変える、ユーザーとのコミュニケーションの形 (第1回)~マイクロアド~ |WireColumn

2011年ごろ、YouTubeをはじめとした動画広告が登場した。
動画広告は、それまでにはない新しい広告形式であり「映像・音声・文字」により、ブランドイメージやサービスを訴求することを可能にする。

インターネットインフラの整備も伴い、動画広告普及の兆しが見えたのは2013年頃であろうか。
それから、動画元年と言われ続けた近年であったが、動画広告市場の進展および動画広告成功のポイントはどう移り変わっていったのか。

本コラムは、動画広告の解説とその活用、そして動画広告を通したマーケティングの発展について、動画広告に精通するマイクロアド社員が全三回のリレーコラム形式で解説する。

 

本編の第一回目は、動画広告市場の拡大背景から動画マーケティングの手法までを、マイクロアド営業局長の宮本がお伝えさせていただきます。

動画マーケティングが成立する時代へ

近年、高速回線の普及により、オンラインの動画視聴数は爆発的に増加しています。
図1のように、一口に動画といってもコンテンツのクオリティ・視聴されるメディアや場面によって、実は細かに使い分けがなされています。
例えば、FacebookやInstagramといったSNSを利用しているユーザー間での動画の共有は、簡潔で印象に残りやすく、人々の行動に影響を与えやすいと言われています。
また、自社ブランディングの一環としてYouTubeで特別に作成された、クオリティの高い動画を見かけるようになったと実感される方も多いのではないでしょうか?

図1

【図1】

マイクロアド作成

今では、一流のクリエイターや一般ユーザーの投稿動画も含めると、動画流通量は国内外問わず膨大なものになっています。
加えて、世界規模で利用されるプラットフォームが動画市場に次々と参画しました。
一定量のクオリティがあるコンテンツが増え、世界規模のプラットフォームが動画に対応したことで、動画マーケティングが成立する時代へ突入したと言えます。

動画広告、盛り上がりの背景とは

1)テレビとインターネットの平均利用時間の推移

例えば、2008年の地上波テレビCM広告費は1兆9,092億円。
スマートフォンが普及し始める前で、多くの人は当たり前にテレビを見ていた時代でした。
2015年は1兆8,088億円(前年比98.6%)。GDPだけで景気の状況は計れませんが、名目・実質共にリーマンショック前を上回っている状況を踏まえると、市場は縮小し始めています。
一方、インターネットの普及によりウェブ広告費は2008年の6,983億円から2015年は1兆1,594億円まで大きく伸張しました。2016年も更なる成長が見込まれています。(※電通 「日本の広告費」より)
何故、このような現象が起こっているのかを紐解くと、人とメディアのコミュニケーションの形が大きく変わったことが見えてきます。
【例】
・Instagramで旅行先を検索する。
→訪問場所周辺のハッシュタグの写真・動画投稿を見て、次に行くところを決める。
・Facebookで面白いコンテンツをシェア。
→シェアされた動画を友達が見て、更にシェアをする。

また、総務省情報通信政策研究所発表の下記グラフ1を見ると、2012年から2014年にかけ日本人の全年代のテレビ視聴時間は低下し続けています。
テレビ視聴の代わりに、インターネットの利用時間が伸張しているのが現状です。

10代 :リアルタイムでのテレビ視聴時間とインターネット利用時間が逆転
20代 :テレビ視聴時間をインターネット利用時間が大きく上回る
30代~:40、50代のみテレビ視聴時間とインターネット利用時間共に伸張

Graph1

※出典)総務省情報通信政策研究所「平成26年 情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査〈速報〉」より作成。小数点以下四捨五入。

【グラフ1】

さらに、グラフ2より時間帯別接触メディアを分析してみると、更に世代間の行動特性を読み解くことができます。
10代、20代共にほぼ全ての時間帯でインターネット接触者数がテレビ視聴者数を上回っています。“常にネットと接している世代”と言えるでしょう。

10代、20代の時間帯別接触メディア

※出典)総務省情報通信政策研究所「平成26年 情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査〈速報〉」より作成。小数点以下四捨五入。

【グラフ2】

これらの状況を含め、テレビCMではリーチしにくい層、特に若年層に対しての訴求を強化する目的で、テレビCMに代わりインターネットの動画広告が用いられるケースが非常に増加しています。

2)動画広告市場と広告形式の変容

2015年、国内の動画広告市場は前年比約1.5倍の501億円の市場規模まで拡大しており、引き続き広がりがある魅力的な市場であると考えています。
特にスマートフォン向け動画広告の需要拡大が予想されており、2017年には2015年比で2倍以上に伸長する見込みとなっています。

動画広告市場規模推計・予測 -デバイス別-

※出典)サイバーエージェント/シードプランニング調べより作成

【グラフ3】

今後大きく需要拡大が見込まれるスマートフォン向け動画広告では、主にこの3つの動画広告形式があります。
これらは、目的やターゲットとするリーチ層などにより使い分けられています。

■インストリーム広告:YouTubeなどの動画サイトで配信される広告。
■インスクロール広告:Webページをスクロールして広告表示ポイントが画面に現れたら配信
■インバナー広告:従来のバナー枠に配信されるタイプの動画広告
(インディスプレイ広告とも呼ぶ)

表1- マイクロアド作成

マイクロアド作成

【表1】

今後はYouTubeを主流としたインストリーム型に加え、多様な広告形式が広がる見込みです。
動画広告市場が先行する米国では、動画広告におけるYouTube比率は低下しています。
この動きは、動画広告市場が伸びている日本でも生じるでしょう。
すでに、国内最大手のメディアレップであるDACの決算資料からも、インストリーム以外の売上が伸びてきていることが分かります。
(※インバナー配信については、前Qから約2.1倍の成長が見られる)

動画広告売上 単体

※出典):DAC2016年3月期 決算説明会資料

【グラフ4】

動画広告の現状と今後の鍵

YouTubeは依然として主流の配信手法ですが、動画視聴に訪れたユーザーに対して広告を強制視聴させることは顧客(クライアントのファン層)を毀損する恐れを含んでいます。
一方SNSは配信面が限定的であり、これらを補完する“第3の配信”が今後の動画広告マーケティングのカギであるといえます。

クライアントの動画広告出稿に係るニーズも多様化しており、今後は広告枠の更なる開発は勿論、配信クリエイティブや配信に使用するデータの選定、実施後の態度変容(ブランドリフト値)等を複合的に提案・実施・確認する事が求められてきます。
また、Webとテレビの掛け合わせや、あまりテレビを視聴しないユーザー(ノンテレ層やローテレ層)に対するターゲティング等の需要も、確実に増えてくると想定しています。
昨今のWebターゲティング技術の向上により、テレビを視聴しないユーザーに対する配信も可能となっております。
メッセージを伝える手段の多様化を通じ、動画広告市場は今後更なる拡大が期待できると言えるでしょう。

次回は、日々進化する”動画広告枠”について、詳しくお伝えさせて頂きます。

ABOUT 宮本 晋一郎

宮本 晋一郎

株式会社MicroAd  

1985年8月21 日生まれ、高知県出身。 2012年株式会社マイクロアド入社後、総合・外資系代理店向けコンサルタント営業に従事。 2014年にマネージャー、2015年に局長に昇格。 現在は営業局長としての業務に加え、国内外の外部広告配信ベンダーとの商品企画業務などを行う。