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動画広告が音声なしに再生される場合の効果ある広告方法とは?

(翻訳:Asia Plus 黒川賢吾)

ユーザーは勤務中、ミーティング時、ランチの間など、あらゆる時間において、ウェブコンテンツの消費を続けている。現在、ユーザーは今までにないほどのスピードで、何を閲覧して何をしないのかの決断を行っている。一方で、私たちにとってのチャレンジは、多くの場合にユーザーがモバイルデバイスの音量をミュートにしている点である。ExchangeWire のインタビューに対して、evania社のCEO兼共同創業者であるOded Shoham氏が、スピードの早いモバイル環境下において、いかにクリエイティブなアプローチを促進し、ユーザーの注意を効率的に獲得するべきか、という点について語ってくれた。

広告主はモバイル動画業界において今までにない問題への対応を迫られています。それは、いかにユーザーが、別のコンテンツに遷移してしまう前に彼らの興味を獲得するかという点で、しかもいかにそれを音声なしの状態で行うかという問題です。この問題は大きくなる一方で、モバイルデバイスによる動画再生は昨年と比較して35%も成長し、全体の動画再生の殆ど半分(46%)を占めるに至っています。ウェブコンテンツの消費も著しく増大していますが、そのほとんどがモバイルに起因するものです。最近のFacebookの研究によると、ユーザーが1つのコンテンツに費やす時間は1.7秒しかなく、これはデスクトップよりも30%も少ない数字です。それに加えて、動画広告がサウンドをオンにした状態で再生される可能性は非常に少ないと考えられます。

広告主がモバイル動画により着目し、予算を割り当てるのは非常に自然なことです。しかしながら、この成長産業における効率を最大化するためには、モバイルデバイスのおけるユーザーの特性の行動にあわせて、広告を変化させる必要があります。私たちはよくテレビから派生した同じクリエイティブを、より小さなスクリーンに対して利用しているケースを目にします。これらの広告は、一般的な紹介説明から入り、古典的な形でストーリーを伝える形態をとっています。小さなスクリーンの環境下においては、消費者はビジュアル内容に関わらず非常に早いスピードで反応します。ゆっくりとしたスピードでの古い形態の戦略では、広告主は消費者の関心を十分なスピードで獲得することはできないでしょう。
もし消費者がサウンドをオンにしない形で動画を閲覧している際には、消費者は広告をブランドと紐付けて理解することはほとんどないでしょう。

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広告主が、ユーザーの関心を得るには、一度のチャンスしかなく、時間は2秒ほどしか与えられていません。この瞬間を捉えることが、ブランドストーリーやキャンペーンを成功に導くために、最も重要な点です。この機会を逃してしまうと、消費者は待つ事なく他のコンテンツに流れてしまうでしょう。ゆっくりとストーリーを伝え、最後に最も良いコンテンツを残すようなアプローチでは、コンテンツが全く閲覧されないような結果に陥りかねません。

それでは、いかに広告主は消費者の興味を効率的に獲得することができるのでしょうか?簡単に言うと、前菜の時間などは与えられておらず、デザートを最初に提供するような考えが必要です。印象的なクリエイティブが広告の最初に提供される必要があります。また、広告主は音声機能によるサポートはほとんど得られないと考えておく必要があります。最初の2秒間により効果を得るために、いくつかの重要な要素があります。

魅力的なビジュアル:ユーザーは最初の一瞬で広告コンテンツが面白いものかどうかを判断します。ここで注意を喚起するためには、非常に魅力的で、ユーザーの予想を外すようなコンテンツが最初に提供される必要があります。ユーザーの目をひくイメージや、珍しい形態の色使い・動き・形態や、予想を裏切るようなクリエイティブを通じて、ビジュアル面でのインパクトを与え、ユーザーから期待に沿ったインタラクションを獲得します。

ロゴ/ブランド:全てのインプレッションが重要です。最良の広告でさえ、全ての人が最後まで閲覧するわけではないのです。ブランドや商品が最初から認知されることが重要で、これによりブランド認知効果を向上させることが出来ます。

明確な文章:Facebookの最近の研究では、41%の動画がサウンドなしでは何の意味もないことを発表しています。ミュートにされた状態において動画広告の効果を発揮する為には、大きくて、短めのテキストを商品や広告のビュジュアル部分に合わせて表示させることです。この形で、サウンドなしでも、消費者にメッセージを明確に伝えることができます。

ベストな部分を最後まで取っておかない:ストーリーの展開方法はモバイルデバイスにおいては異なります。ストーリーの1番の魅力ある部分は、それが有名な芸能人であれ、他の特別な要素であれ、最初に提示されるべきです。クリエイティブの最初の部分が興味を引くものであれば、ユーザーは最後までコンテンツを閲覧します。スタートが魅力的でないと、誰も最後のサプライズまで辛抱して見続ける人はいないでしょう。

こういった新たなトレンドに対応するために、広告主が音声に関する部分や、広告の終盤のストーリーを無視したり、全ての要素を最初の2秒間に詰め込まなくてはいけないわけではありません。しかしながら、ユーザーに広告を閲覧してもらうためには、ユーザーの関心や好奇心を最初の2秒間で獲得する必要がある点は留意すべきところです。そしてこれらはサウンドのあり・なしに関わらず実行される必要があります。

ABOUT 野下 智之

野下 智之

ExchangeWire Japan 編集長   慶応義塾大学経済学部卒。 外資系消費財メーカーを経て、2006年に調査・コンサルティング会社シード・プランニングに入社。 国内外のインターネット広告業界をはじめとするデジタル領域の市場・サービスの調査研究を担当し、関連する調査レポートを多数企画・発刊。 2016年4月にデジタル領域を対象とする市場・サービス評価をおこなう調査会社 株式会社デジタルインファクトを設立。 2021年1月に、行政DXをテーマにしたWeb情報媒体「デジタル行政」の立ち上げをリード。