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アドフラウドを駆逐するための適正な処置

(翻訳:Asia Plus 黒川賢吾)

デジタル広告業界において詐欺行為のリスクを減少させるために多くのことがなされてきた。しかしながら、Protected Media社の創設者でCEOであるAsaf Greiner氏は、まだ十分な効果を挙げることができていないと述べる。Greiner氏はExchangeWireに、広告予算を守るためにどのような洗練された方法があるかを説明してくれた。

世界広告協会連盟によると、次の10年間に、インターネット詐欺はコカイン・麻薬に続いて二番目に大きな犯罪組織になると考えられています。実際、主要なウクライナにおける詐欺は、フィッシング詐欺からアドフラウドに変わってきたと言われており、非常に利益が高いことから他も追随すると考えられています。

詐欺は、サプライチェーンにおける、テクノロジーベンダー、エージェンシー、エクスチェンジ、広告主などすべての人々に関連します。過去は、キャンペーンが予算内に収まり、結果も出ていれば、すべての人が満足していました。知識が不足していたため、トラフィックがどこから発生したのか深く掘り下げる必要がありませんでした。

しかしながら、現在アドフラウドによる問題は全ての人が懸念するところとなり、広告主の予算の多くに影響が出ています。業界全体として、トラフィックをクリーンアップし、オンライン広告に関しての信頼を取り戻す必要性が求められています。

全ての人が問題について認知していますが、業界に多くのプレイヤーが複雑に絡み合うため、ソリューションを見出すのは簡単ではありません。

証明書は賢明なスタート

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Asaf Greiner氏、Protected Media
Founder & CEO

現在、少なくともアドフラウドに対抗するため、証明書発行のプロセスを行っている組織が3つあります。Media Rating Council、Trustworthy Accountability Group、UK及びアイルランドのJICWEBS ( The Joint Industry Committee for Web Standards ) の3つです。これらの3つの組織により、認知は高まっていますが、ソリューションは提供されていません。

標準化は本来の意味での安全性を確保することにはつながりません。オンライン詐欺の業界はまだ進化をしており、標準化を定義することだけではその流れを止めるに至りません。その代わりに、標準化にフォーカスすることで、古い形での煩雑な手続きを増やし、本来詐欺検知に費やされるべきリサーチ費用が奪われてしまいます。

証明機関に依存する代わりに、独立したサードパーティのラボ機関は継続的に、ベークオフを実施しソリューションの評価を続けるべきです。ベンダーの力を借りて、トラフィックをクリーンアップし、広告主の予算に対してより効果的なリターンをもたらす方が、証明書に依存するよりも効果的にソリューションの効果性を見極められます。

複雑な問題は複雑なソリューションを要する

詐欺行為を防止する最良の方法の一つは、犯罪行動についての理解を深めることです。これはボットネットのエクスパートに、怪しいトラフィックソースを発見し、解析するような詳細な分析を依頼することで可能です。

悪意のあるソフトウェアに感染したプライベートコンピューターのネットワークであるボットネットは、より力を増し、オンラインアドフラウドを新たなレベルにまで進化させています。例えば、2014年の半ばからRedirector.Paco Trojanはインド、マレーシア、ギリシャ、イタリア、パキスタン、ブラジル、アルジェリアを中心に、90万以上のIPアドレスに感染し、偽のオンライン広告トラフィックを生成しました。

検知能力を改善させるのに加えて、ソリューションが進化し、エージェンシーがパブリッシャーと一緒になって、劣悪な広告トラフィックソースを取り除くための情報獲得が可能です。サードパーティによる客観的な計測によって、広告主はパブリッシャーが適切に配信できていない広告に関して、返金を求めることができます。

劣悪なトラフィックをブロックするアドフラウド防止のソリューションを評価することで、広告主は、自身の広告を最大限に保護してくれるソリューションを選択し、詐欺トラフィックにお金を失うことを避けることができます。証明書の提供だけでは、犯罪者に更なる対策機会を与えるだけです。より洗練されたテクノロジーに投資をすることで、ボットネットを発見し、その影響を最小限に抑えることができます。全ての人は広告のパフォーマンスの改善を知覚し、オンライン広告への信頼を再び持つようになるでしょう。

ABOUT 野下 智之

野下 智之

ExchangeWire Japan 編集長   慶応義塾大学経済学部卒。 外資系消費財メーカーを経て、2006年に調査・コンサルティング会社シード・プランニングに入社。 国内外のインターネット広告業界をはじめとするデジタル領域の市場・サービスの調査研究を担当し、関連する調査レポートを多数企画・発刊。 2016年4月にデジタル領域を対象とする市場・サービス評価をおこなう調査会社 株式会社デジタルインファクトを設立。 2021年1月に、行政DXをテーマにしたWeb情報媒体「デジタル行政」の立ち上げをリード。