モバイル、動画、AIにおける2017年の注目分野について
(翻訳:Asia Plus 黒川賢吾)
2017年になりすべての目がモバイル、動画、AIの3つに注がれ、この3つの分野に関して多くのイノベーションが生まれている。それでは、どのような形で市場の成長やイノベーションが生まれ、今日のデジタルマーケティングにどのような影響を与えるのだろうか?Cheetah Mobile社のグローバルマーケティング及びコミュニケーション部門のディレクターを務めるJosh Ong氏がExchangeWireに2017年の市場について語ってくれた。
市場の予測をするというのは非常に当てにならないものではありますが、率直に考えて、現在皆さんがこの記事を読んでいる(もしくはあなたのすぐそばにある)モバイルデバイスがメディア閲覧の中心になってくるでしょう。
2017年は、最近のリサーチレポートによると、モバイル広告の収入がデスクトップを超えると考えられている年です。UKの消費者はモバイルに平均5時間を費やしています。
広告の世界では様々なことが起きていますが、モバイルがアクションの中心であり続けるのは間違いない点です。ツールやデータが発展することで、マーケターはメディアとしてのモバイルを、ビジネスにおいてより活用できるようになるでしょう。消費者の行動や欲求をより理解することで、マーケターは新たな取り組みに活かすことができるでしょう。そして2017年にマーケティングが発展していくのは以下の5つだと考えられます。
ソーシャル動画広告が主流に
これはバイラル広告を作成するのとは同じではありません。賢い企業はソーシャルプラットフォームを念頭に動画を制作する一方で、安っぽいギミックではなく多面的な方法で消費者のエンゲージメントを獲得しようとするでしょう。カスタマイズや、ハッシュタグ、インフルエンサータイインなどを用いて、プラットフォームの利点を活用できるソーシャル動画広告を制作することです。世界市場において、動画コンテンツは2019年までに検索エンジンによるトラフィックの85%に至ると見込まれています。
iPhone7のような非常に優れたプロセッサーを持つ電話が登場することで、ユビキタスなブロードバンドやファーストWIFIなどもトレンドとなるでしょう。Facebook、Snapchat、musical.ly、Instagramのようなサービスが共通プラットフォームとしてより利用されていくことでしょう。
AI、マシーンラーニングがパーソナル化を推進
<img style="margin-top: 5px ; mrgin-bottom: 10px" src="http://www.exchangewire.jp/wp-content/uploads/2017/01/Josh-Ong-Cheetah-Mobile-1.jpg" alt="Josh Ong氏、Cheetah Mobile社グローバルマーケティング・コミュニケーション部門のディレクター " width="300" class="size-full wp-image-45990" /> Josh Ong氏、Cheetah Mobile社
グローバルマーケティング・コミュニケーション部門 ディレクター
マシーンラーニングや人工知能の本質は、改善が徐々にではなく幾何学的に行われる点です。未来学者のRay Kurzweil氏が、21世紀には通常の100年ではなく、20000年もの進歩を一気に目にするだろうと予測しています。
例えば、AIの分野で最も消費者との関わりが多い音声認識では、一度に数百万もの消費者から学習することで品質を飛躍的に向上させています。
この能力をマーケティングにおけるパーソナル化に用いれば、多くの改善が期待できるでしょう。あなた自身が購入した広告のリターテゲティングなどは必要ではなく、広告が賢さを増すことで、消費者が気味悪いと思うものではなく有益なものだと認識するようになるでしょう。
縦型動画が横型動画の市場に入り込む
2015年の6月に、Snap社のCEO Evan Spiegel氏がカンヌで縦型動画のデモを実施しました。彼が縦型を推す理由は明快で、多くの人々が動画をスマートフォンで閲覧していて、スマートフォンは縦で閲覧するように作られている、というのがその背景でした。この主張は理解できるものでしたが、デスクトップやテレビは横型に作られていました。しかしながら、最近のリサーチでは横型動画が14%であったのに対して縦型が90%の完遂率であったなどの調査結果が発表されています。このような調査結果によりより多くのマーケターが縦型動画への関心を示すでしょう。2017年に縦型動画は選択肢としてより検討され、この傾向は今後10年は続くでしょう。縦型動画を、前述したソーシャルの威力を生かした形で活用することで、施策はヒットに繋がることでしょう。
インフルエンサーマーケティングはよりスマートに
インフルエンサーマーケティングは2016年には落ち目になりました。Scott Disick氏やNaomi Campbell氏などの的外れなInstagramプロモーションによって、多くの人々がブランドに対しての愛着のない芸能人に多くのお金を費やすのは馬鹿げたアイディアだと考えるようになりました。インフルエンサーマーケティングにFTCやFacebookが突然興味を示したことも、望みが消えつつあることを示しています。2017年には、マーケターは、数千程度のフォロワーしかいないものの特定のオーディエンスに対して大きな影響力を誇る「ミクロインフルエンサー」を活用するなどの賢い戦略が求められます。このようなロングテールでデータ重視の戦略の方が「乱射型」のインフルエンサーマーケティングよりも高い効果を生むでしょう。
「継続的なコンテキスト」が現実に
「あなたはデスクトップや携帯電話で広告をみましたか?」消費者のほとんどの回答が「気にしない」となるでしょう。クロスデバイス環境におけるトラッキングはマーケターにとって解決すべき問題であり続けますが、スクリーン間の関係性を理解することはできていません。私たちの生活の中で(時計、メガネ、音声認識スピーカーなど)様々なデバイスが用いられるようになったため、優れたマーケターは顧客のコンテキストや購入プロセスを理解するために、これらの様々なシグナルを活用するようになるでしょう。クロスデバイスにおけるターゲティング能力が改善するにつれて、マーケターは頻度や方法においてより自然なメッセージ配信が行えるようになるしょう。もしマルチスクリーンにおけるキャンペーンを実施しても消費者の購入ファネルに影響を与えることができない場合は、やり方が間違っていると考えてよいと思います。
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ABOUT 野下 智之
ExchangeWire Japan 編集長 慶応義塾大学経済学部卒。 外資系消費財メーカーを経て、2006年に調査・コンサルティング会社シード・プランニングに入社。 国内外のインターネット広告業界をはじめとするデジタル領域の市場・サービスの調査研究を担当し、関連する調査レポートを多数企画・発刊。 2016年4月にデジタル領域を対象とする市場・サービス評価をおこなう調査会社 株式会社デジタルインファクトを設立。 2021年1月に、行政DXをテーマにしたWeb情報媒体「デジタル行政」の立ち上げをリード。