英国大使館でデジタルマーケティング・セミナーが開催-日本に先行する最先端企業が集結

2月28日、都内にて「英国デジタルマーケティング・セミナー」が開催された。

駐日英国大使館の国際通商部が主催した本セミナーは、英国大使公邸内にて実施。最新アド・テクノロジーを扱う英国企業各社が各提供サービスの概要を紹介、当日の模様はライブ配信アプリのPeriscopeを通じて放送された。

英国のデジタル・マーケティング業界は現在目覚しい成長を見せている。同大使館の国際通商部によると、デジタル広告費が広告全体に占める割合は既に50%を超えており、モバイル広告に限ると35%。英国人がEコマースに費やす平均額は年間1560ポンド(約21万円)で、この数字は米国人の平均額の1.5倍となる。

国際通商部貿易担当のエスター・ウィリアムズ一等書記官の挨拶後に、まずは世界的なマーケティング・コミュニケーション企業のOgilvy & Matherのデジタルメディアビジネス部門となるNeo@Ogilvyのデービッド・リッテンハウス代表取締役が基調講演を披露した。数年前と比較すると、日本の消費者がテレビ・ラジオ・紙媒体に費やす時間はあまり変化していないにも関わらず、デジタル媒体に触れる機会は一日で約45分も増加していると指摘。スマートフォンの登場などにより、人々が広告媒体に触れる機会はむしろ増えてきているという。一方でデジタル媒体への広告予算投入額は閲覧時間の増加ペースに追いついておらず、デジタル媒体は広告支出不足、新聞や雑誌などの紙媒体は過剰支出に陥っているとの見解も合わせて述べた。

本セミナーに登場した英国企業のサービス概要と発言の要旨は下記の通り。

360Events

360°の映像制作を専門とするイマーシブ型映像の制作会社。ウェアラブル・カメラを開発するGoPro VRの英国唯一の公認トレーナーとして活動。東京で開催予定の2019年のラグビーW杯、2020年の東京五輪及びパラリンピックでの需要を見込んでいる。

GoMedia

移動車両内のWi-Fiに負担をかけることなく、動画を含む多種なコンテンツを高品質で楽しむことができるシステムを提供。英国では交通システムにおけるWi-Fi整備が既に法制化されており、移動車両内でデジタル・コンテンツを閲覧する機会が今後ますます増えていくことが見込まれている。

Grapeshot

ページ・クローリング・アルゴリズムを用い、マーケターやディベロッパーのほか、代理店やパブリッシャーに代わって広告枠に関するデータをプロファイルするサービスを提供。この機能により、企業はブランドの価値を維持し、またコンテンツ検証システムでブロックされてしまうような広告枠に出稿する事態を回避することができる。

MPP Global

大手エンターテインメント事業向け機能複合型コンテンツ・マネタイゼーション・プラットフォーム。「記事閲覧は5本まで無料、以降はログインが必要」といった設定管理を通じての定期購読奨励キャンペーンやクーポン配布などのサポートをしている。

Performance Horizon

デジタル・パートナー・マーケティング向けSaaSソリューションを提供。マーケティング施策におけるビジネス・インパクトの測定などを行なう。広告主と媒体社の間に、代理店とアフィリエイト・サービス・プロバイダ(ASP)が存在するために複雑化した広告市場の構造再編をも視野に含んだテクノロジー。

Unruly

ニューズ・コーポレーション傘下の動画アド・テクノロジー企業。SSPとしてのサービスに加え、動画を閲覧した視聴者の感情インテリジェンス分析を実施。ハーバード大学やケンブリッジ大学といったアカデミックな研究機関と連携して研究活動を行なっている。

Ve Japan

DMPをサービスの核として、オンラインでのコンバージョン改善ソリューションとディスプレイ広告をワンストップで提供できるプラットフォームを展開。とりわけウェブサイトの離脱率を減少させるツールの開発に注力している。

Wearisma

独自のプラットフォームを通じてインフルエンサー・インテリジェンスとマネジメントを提供。機械学習を用いたアルゴリズムを使い、世界中に散らばるインフルエンサーの連絡先や出演条件などの情報を一覧化している。

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またセミナーの終盤には、広告専門誌「宣伝会議」の谷口優編集長の司会で、日英のデジタル・マーケティング事情の比較などについてのパネル・ディスカッションが行なわれた。この場において、Neo@Ogilvyのデービッド・リッテンハウス代表取締役は、英国には新規の取り組みを後押しする起業文化が育まれていると指摘。それに対して、ユニリーバジャパン・カスタマーマーケティング株式会社の山縣亜己メディア・ダイレクターは、ともすれば日本企業は完璧主義または広告代理店任せの状態に陥る可能性があるとし、Unrulyの香川晴代代表取締役は、先行事例の有無を気にかける姿勢など日本ならではの事情もあるとの見解を述べた。

また今後の課題については、山縣氏が動画コンテンツ不足の解決や広告効果のレポート業務のオートメーション化などが鍵になると発言。さらにリッテンハウス氏がモバイル広告関連技術の発展への期待を、香川氏がテレビ広告の流用ではなく、各デジタル媒体のフォーマットに合わせた動画広告が今後増えていくことになるとの見通しを伝えた。

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長野 雅俊

ExchangeWireJAPAN 副編集長
ウェストミンスター大学大学院ジャーナリズム学科修士課程修了。 ロンドンを拠点とする在欧邦人向けメディアの編集長を経て、2016年に調査・コンサルティング会社シード・プランニングに入社。 日本や東南アジアを中心としたデジタル広告市場の調査などを担当している。