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DSPを通して今までにない新しい価値提供を[インタビュー]

8月1日に、国内大手DSP「Logicad」を運営するソネット・メディア・ネットワークス執行役員に、前GMO NIKKO 常務取締役の谷本 秀吉氏が就任した。

デジタルエージェンシーの立場から長年アドテク業界に携わってきた同氏が、テクノロジーベンダーの経営幹部に参画した背景、DSPを取り巻く市場環境、同社の今後の取り組みについて、お話を伺った。

 

 

今回ソネット・メディア・ネットワークス(以下:SMN)に参画された背景についてお聞かせください。

私はこれまで、20年間一貫してエージェンシーサイドでデジタルやテクノロジーに携わってきました。

エージェンシーにとり、デジタルやテクノロジーの領域は、データを取り巻く企業のマーケティング施策の一連の要素に不可欠なものとして捉えられますが、究極の目標(ゴール)は、企業のマーケティング支援をワンストップで、どこよりも広い範囲で価値提供することにあります。エージェンシー各社は激しい競争環境の中、その実現に向けた投資や開発、アライアンスに積極的に取り組んでいます。

 

これまでのエージェンシーサイドの経験や知見を最大限に活かして、今度はマーケティングテクノロジーを事業の中核に据えた立ち位置で、新しい価値提供を通じ、広告主やエージェンシーのマーケティング課題の解決に貢献することにトライしたいという思いに至ったことが、まずは背景にあります。

 

当社のDSP「Logicad」は、前職のエージェンシー在職時に取り扱いしており、実際に運用をした経験もあります。

 

「Logicad」DSPのエンジン部分である、RTB性能でいえば、SSPからのBid Requestに対するBidding(応札)に要する秒数は、3 msec(ミリ秒)(0.003秒)以内。

 

これはグローバルでもトップクラスの高速処理の技術力です。プログラマティックの世界では、この高速処理の実現により、広告のパフォーマンス向上に大きく影響します。このようなプロダクトに大いに魅力を感じ、そしてまた当事者としてこのプロダクトを取り扱った事業に携わってみたい。そのような思いから、当社に参画することを決めました。

 

 

長年いらっしゃる業界の中でデジタルエージェンシーからアドテクベンダーへと業態転換されましたが、このことについてどのように感じていますか?

 

近年、広告売買取引を皮切りに様々な業務のシステム化が進みつあります。システム化は私たちに部分的な利便性をもたらす一方で、効果を上げるための要素が増え続け、以前とは比べようのないほど複雑化が進みました。

クライアントサイドから見た良し悪しを、最先端のアドテクノロジーに反映させられれば、これまでとはまた違った形で業界に貢献できるのではないかと感じていますし、そのような役目を担っていける立ち位置であると自負しています。

データ解析やAI技術など、エキスパート人員を備えるアドテクベンダーの立ち位置だからこそ提供できるソリューションは多いです。

デジタルエージェンシーでのキャリアを活かし、テクノロジーやデータの先にある、企業のマーケティング課題に対する最短距離の解決策を見出せると思っています。

 

 

― DSPを取り巻く市場環境について、どのようにご覧になられますか?

DSPが置かれている環境は、次のステージに移りつつあります。今DSPに対して求められている命題は、プログラマティック取引において、より精緻なターゲティング広告配信を実現し、広告主のプロモーション活動の効率化やマーケティング組織の生産性の向上の一助となることであると思います。

 

この命題に対して、当社は広告フォーマットや配信手法のバリエーションにも幅広く対応し、目的に応じたプログラマティック活用をプランニングし、実行することに、テクノロジーと人を掛け合わせ、支援することを強化していきます。

 

 

ソネット・メディア・ネットワークスで今後どのようなことに取り組んでいかれますか?抱負をお聞かせください。

当社に移籍し、8月よりアドテクノロジー事業を担当する執行役員に就任しました。ソニーグループならではのAIの開発力、技術力の高さを活かした仕掛けを積極的に発信していきたいと思います。

現在当社DSP「Logicad」が運用を預かっているキャンペーン数は3,000を超えます。

これだけ多くのキャンペーンをお任せいただいている広告主、パートナー企業に対し、単なる運用支援にとどまらず、私がこれまでエージェンシーで培ってきたキャンペーン立案・実行者の視点を加味し、引き続きお客様にとって付加価値性の高いサービスを、メンバーと一緒に追求していきたいと思っています。

 

 

ABOUT 野下 智之

野下 智之

ExchangeWire Japan 編集長   慶応義塾大学経済学部卒。 外資系消費財メーカーを経て、2006年に調査・コンサルティング会社シード・プランニングに入社。 国内外のインターネット広告業界をはじめとするデジタル領域の市場・サービスの調査研究を担当し、関連する調査レポートを多数企画・発刊。 2016年4月にデジタル領域を対象とする市場・サービス評価をおこなう調査会社 株式会社デジタルインファクトを設立。 2021年1月に、行政DXをテーマにしたWeb情報媒体「デジタル行政」の立ち上げをリード。