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なぜファーストプライスオークションについて議論するのか

(翻訳:Asia Plus 黒川賢吾)

smartclip社のSmartX Platform事業責任者のKay Schneider氏は、ExchangeWireにヘッダー入札が主要パブリッシャーの間で通常的に利用される中で、ファーストプライスオークションがなぜ議題となり、なぜセカンドプライスオークションからの移行が必要とされているのか、について語ってくれた。

ゲーム理論によれば、バイヤーは、入札額よりもはるかに低い最終価格で取引を決済する機会がある場合であっても、購入項目に最大入札価格を高めに割り当てることがあるようです。 その結果、取引は平均してより高い価格で解決され、有効な証拠は今の所提示されていないものの、セカンドプライスオークションは、サプライヤにとって魅力的な広告取引モデルであると言われています。また、もう一つのセカンドプライスオークションの特徴は、市場価格の発見ができないという点です。SSPの中には、入札後にフロア価格を割り当てることでセカンドプライスオークションを操作する疑いを持たれている事業者もいます。

しかし、現在はセカンドプライスオークションが標準となっています。 DSPとSSPの最適化アルゴリズムが構築され、それに応じて年々改善されてもいます。 一方で、ほとんどのプラットフォームは利用されないものの、技術的にファーストプライスオークションを行うことができます。

なぜ今変化が必要なのか

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Kay Schneider氏、 smartclip社
SmartX Platform事業責任者

それは主には、セカンドプライスオークション モデルがファーストプライスに基づくヘッダービディングと調和しないためです。 この調整を行うために、SSPとヘッダーラッパーの両方が同じロジックに従わなければなりません。

標準的なアドサーバーは、ラインアイテムごとの固定価格に基づいて作動します。そのため、潜在的な決定価格は、この価格を提示したラインアイテムとリンクしている必要があります。したがって、対応可能な決済価格の額は限られますが、これはセカウンドプライスオークションのコンセプトと異なるのです。結果として、どちらの側もファーストプライスを利用する必要があります。

もしDSP側にて、インプレッションがファーストプライスに基づいてオークションされているかの判断ができず、結果として入札調整ができない場合は、バイヤーは入札において、非常に高いCPMでのバイイングとクリアリング作業を行い、結果として多くのお金を失うこととなるでしょう。私たちはいくつかの(小規模の)DSPがパブリッシャーに対して、オークションタイプの乱用によってバイヤーが損失を被った点についての文句を伝えている場面に遭遇したことがあります。

DSPは、openRTBプロトコルに従う2つの簡単なルールをリクエストすることによって、バイヤーを保護することができます。すべてのビットリクエストには、1)オークションタイプが適用される情報、及び2)それぞれの取引のフロアCPM、が含まれている必要があります。

ファーストプライスオークションが今後より適切だと仮定した場合、いくかのアドバイスがあります。

バイヤーとして、あなたのDSPがオークションタイプの乱用に対しての防御策を持つようにしてください。金銭的な損失を被った場合はDSPを変更してください。この変更によってベンダを驚かせないようにすることが重要です。

オープンオークションでバイイングをするときは、バイイングの戦略がオークションタイプに適するようにラインアイテムにフィルタを設定してください(サービス提供がされている場合)。プライベートな取引の場合は、取引の際にサプライヤと話し合い、両者の調整を行なってください。

セラーは、選択したオークションタイプの管理と透明性の維持のための対策を理解することが重要です。ヘッダービディングを使用している場合は、セカンドからファーストプライスオークションへの移行を検討すべきで、そのためにはテストが必要です。公開型の販売の場合、 オークションタイプの設定を変更せず、またSSPに変更を求めることをすべきではありません。プライベートな取引の場合は、常に透明性が必要で、バイヤーと最初に話をし、関係性の維持に努めてください。

セカンドプライスオークションをファーストプライスに置き換えることについての有効な議論が行われています。これは、昨今、バイヤーが前提として求めている透明性が与えられるようになった点に起因しています。一方で、短期的な需要と共有の衝突について注意を払う必要があります。パートナーとの対話を怠らず、慎重な手段においてこの移行を実行することが必要です。

ABOUT 野下 智之

野下 智之

ExchangeWire Japan 編集長   慶応義塾大学経済学部卒。 外資系消費財メーカーを経て、2006年に調査・コンサルティング会社シード・プランニングに入社。 国内外のインターネット広告業界をはじめとするデジタル領域の市場・サービスの調査研究を担当し、関連する調査レポートを多数企画・発刊。 2016年4月にデジタル領域を対象とする市場・サービス評価をおこなう調査会社 株式会社デジタルインファクトを設立。 2021年1月に、行政DXをテーマにしたWeb情報媒体「デジタル行政」の立ち上げをリード。