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2020年に注目する6つのトピックス

 

明けましておめでとうございます。本年もExchangeWire JAPANをよろしくお願い申し上げます。

ExchangeWire JAPANは引き続きデジタル広告市場全体の新しい動向や注目すべきトピックスについて、幅広く取り上げてまいりますが、2020年は、特に以下のようなトピックスに関心を持ち取り組んでまいります。

 

 

 

嫌われない広告、データドリブンの再定義

日本のデジタル広告市場は、2019年にテレビ広告市場を上回るほどの規模に達しており、広告市場全体を牽引する立場となった。社会的な影響力が大きくなり、ユーザーに届く広告一つ一つのあるべき姿が、今後ますます注目を集めることになる。

広告が嫌われるか嫌われないか。ある側面においては、データをどう活用するかということと、表裏一体である。欧州から始まり世界に広がっているデータの集め方と使い方についての新しいルールが、これまで言われてきた“データドリブン”を再定義する時期に来ているようにも感じられる。

ユーザーに嫌われない広告が、どのようにテクノロジーとデータを活用することで実現できるのかということについて、注目する。

 

 

アドテク企業の戦略、大手広告プラットフォームとの向き合い方

日本のデジタル広告市場は、Google、Facebook、Twitter、YahooJAPAN、LINEなどの大手広告プラットフォームが、およそ8割以上のシェアを持つといわれており、その勢いは今後もますます大きくなるといわれている。

成熟期を迎えている市場において、独立系アドテク企業がこのような市場環境にどう向き合い、大手広告プラットフォームと競合、協業をしながら独自のテクノロジーやポジショニングにより事業の拡大を図っていこうとしているのかに注目する。

 

 

動画クリエイティブとテクノロジー

サイバーエージェントが公表した2019年の動画広告市場は2592億円。大手企業において、デジタル広告が動画であることは、もはや当たりまえになっている

動画広告の出稿先が大手広告プラットフォームに集約されてきている中において、広告主や広告会社が差別化を図る上で重要となるクリエイティブの領域においても、近年様々なテクノロジーが注目を集めている。

効率的にクリエイティブを生成するテクノロジー、特定のKPIに対して最適であることを追求するテクノロジー、そして今までにない新しいユーザー体験を生み出すテクノロジー。

海外や国内にある動画クリエイティブに関するテクノロジーの最新の動向に注目する。

 

 

新しい場所、新しいコミュニケーション

5年以上前に使われ始めたIoTという言葉は、もはや使われ尽くした感もあるが、IoT化により新たに繋がった先のデバイスが、今まさにデジタル広告市場の今後の成長の鍵を握るということを、実感することが出来る段階に入りつつある。

デジタル広告によるユーザーと企業とのコミュニケーションは、PC、スマートフォンだけではなく、自宅のベッドルームや自家用車、タクシー、お店の売り場、美容室など様々な場所で、その場所にふさわしいコミュニケーションを生み出している。

デジタル広告がつながる新しい場所での新しいコミュニケーションに、注目する。

 

 

デジタルサイネージ広告

サイバー・コミュニケーションズによると、デジタルサイネージ広告市場は、2019年に749億円、2023年には1.7倍の1248億円に拡大する。デジタル広告業界を主語にしたとき、デジタルサイネージは、デジタル広告がその配信先をフィジカルな場所に変えても、その真価を十分に発揮させることが出来るかどうかという、新しい挑戦である。

昨年1月にNTTドコモと電通により設立されたLIVE BOARDは、デジタルサイネージ広告のプログラマティック取引の拡大に向けた取り組みにおいて、大きな注目を集めている。また、博報堂グループは昨年12月、GMSや食品スーパー、ドラッグストアなどの小売店店頭のデジタルサイネージを活用した販促支援を行うサービスの提供を開始している。

ITベンチャー企業による、エレベーター、オフィス内でのデジタルサイネージ広告の展開なども注目すべき取り組みである。デジタル広告の役割に対する期待が今後ますます高まるこの市場のビジネスやテクノロジーに、注目する。

 

 

デジタル音声広告

米国IABによると、2018年の米国におけるデジタル音声広告市場規模は23億ドル(約2500億円)に達している。日本ではまだ立ち上がりの状況にあるが、今後大きな潜在性が見込める市場である。Spotifyでは既にプログラマティックによる取引も開始しており、複数のDSPからバイイングが可能になっている。

デジタル音声広告は、デバイスの側面においてもまた可能性がある。スマートスピーカーが今後ますます普及することで、有力なチャネルとなり得る。

デジタル音声広告市場のエコシステムが今後どのように作られていくのかについて、注目する。

 

 

ABOUT 野下 智之

野下 智之

ExchangeWire Japan 編集長   慶応義塾大学経済学部卒。 外資系消費財メーカーを経て、2006年に調査・コンサルティング会社シード・プランニングに入社。 国内外のインターネット広告業界をはじめとするデジタル領域の市場・サービスの調査研究を担当し、関連する調査レポートを多数企画・発刊。 2016年4月にデジタル領域を対象とする市場・サービス評価をおこなう調査会社 株式会社デジタルインファクトを設立。 2021年1月に、行政DXをテーマにしたWeb情報媒体「デジタル行政」の立ち上げをリード。