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国内のデジタル音声広告市場、2025年に420億円

 

 

デジタルインファクトは、デジタル音声広告の市場規模の推計と予測を公表した

 

 

 

デジタル音声広告とは、radikoやSpotifyなどで配信されているような、音声による広告表現を主軸としたデジタル広告である。

2019年時点のデジタル音声広告市場規模は7億円にとどまるが、2020年には16億円と見込んでおり、2022年以降の急成長を経て、2025年には420億円に達すると予測。

 

【デジタル音声広告市場規模推計・予測2019年―2025年】

 

出典:同社プレスリリース

 

広告業界がデジタル音声広告に本格的に注力し始めたのは、実質的には2019年である。

電通グループ3社がプログラマティックによるPremium Audio広告の提供を開始し、デジタル音声広告の取り扱いを強化。

博報堂DYメディアパートナーズは、米Instreamatic社、AI技術を活用した「インタラクティブ音声広告システム」の提供で連携を開始、デジタル音声広告のダイレクトレスポンスニーズの取り込みに向けた研究開発に着手した。

また同じ頃、ベンチャー企業のオトナルが、オーディオ音声広告事業を開始。同社は現在ポッドキャストを通した広告配信を中心に、大手ラジオ局との連携を進めている。

 

現在普及が進みつつあるスマートスピーカー向けには、先日ロボットスタートが、自社の音声広告配信アドネットワーク「Audiostart」を通して広告配信を始めるなど、そのエコシステムが急速に広がりつつある。

 

プログラマティックによるデジタル広告配信は、その新しい活用用途とともに広がりを見せている。位置情報広告配信大手のジオロジックは、Spotifyに対して位置情報を活用したプログラマティック広告の配信を開始した

 

広告主の事例も公表され始めており、ADKが松屋フーズの協力を得てradikoのデジタル音声広告をターゲティング配信したところ、同業種のバナー広告の過去事例との比較において、より高い来店効果が認められたという

 

IABによると米国では、デジタル音声広告の需要は2018年時点で22億5100万ドル(約2500億円弱)、デジタル広告市場の2.1%に達している。

先日電通が発表した「2019年 日本の広告費」における2019年のネット広告媒体費は1兆6,630億円であり、デジタル音声広告の比率は0.04%。もし仮に米国と同水準であれば(2.1%は)349億円。日米の音声コンテンツの消費動向など、市場環境の差はあれど、その潜在性は大いに認められる。

 

ABOUT 野下 智之

野下 智之

ExchangeWire Japan 編集長   慶応義塾大学経済学部卒。 外資系消費財メーカーを経て、2006年に調査・コンサルティング会社シード・プランニングに入社。 国内外のインターネット広告業界をはじめとするデジタル領域の市場・サービスの調査研究を担当し、関連する調査レポートを多数企画・発刊。 2016年4月にデジタル領域を対象とする市場・サービス評価をおこなう調査会社 株式会社デジタルインファクトを設立。 2021年1月に、行政DXをテーマにしたWeb情報媒体「デジタル行政」の立ち上げをリード。