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PubMaticが読み解く、世界と日本のプログラマティック広告市場の動向

グローバルSSP大手PubMaticは同社の事業領域である市場調査データをまとめた、「2020年GLOBAL DIGITAL AD TRENDS」という調査レポートを公表した。

この調査は、世界の各調査機関や同社のデータをもとに作成されている。

同調査レポートの一部について、PubMatic Japan カントリーマネージャーの廣瀬道輝氏による解説とともにご紹介する。

 

 

プログラマティック広告費

世界のプログラマティック広告費は、2019年には838億ドル(約9兆2180億ドル)となり、動画を含むデジタルディスプレイ広告費に対する割合は65%、全体の2/3に達している。

 

 

 

 

一方で、日本についてはどうであろうか。廣瀬氏は「2019年の日本のプログラマティック広告市場成長は、プラス18%で推移しました。この数値は、サーチとソーシャルメディアを除いていますが、DSPのほかにもアドネットワークの売上やYouTubeも含まれています。」と数値の内訳について解説してくれた。

 

また、「海外は動画広告費の2/3はモバイルデバイスでバイイングされており、CTVやOTTを中心としたインベントリへのプログラマティックバイイングの成長も顕著ですが、日本の場合はまとまったボリュームのOTTやCTVのインベントリがまだ少ないことから、モバイルが成長のドライバーとなっています。ウェブとアプリ双方ですが、その中でも2019年はアプリのビデオが特に高い成長を遂げました。特に動画リワードが伸びている印象です。」と、その背景や要因について語った。

 

PMPの普及動向

次に、プログラマティック広告費に占めるPMPの比率についてであるが、世界全体では2019年の時点で35%、全体の1/3に達している。これを地域別でみると、2019年Q2時点では米国が50%、欧州・中東・アフリカが29%に対し、APACは21%にとどまる。

 

 

 

 

また日本におけるPMPのこれまでの動向について、以下のように解説してくれた。

 

「一時期我々の中でPMPの主流は、Preferred Dealでした。具体的には複数の媒体社の枠をパッケージ化し、媒体社ごとに単価を固定にしたDeal IDをDSPに提供したものです。2015年~2017年頃、ヘッダー・ビディングが始まる前後の頃はオープン・オークション在庫の品質が玉石混合で、バイヤーサイド(DSP)は、オープン・オークションよりやや価格が高くても安全性とクオリティーが担保された在庫が買えるのであればよいということで、非常にニーズがありました。

その後、多数の媒体社でヘッダー・ビディングが対応され、ads.txt が普及し、ドメインスプ―イングをはじめ幾つかのアドフラウドが一掃されました。この結果、オープン・オークションのクオリティーが全体的に上がったこともあり、Preferred DealのPMPに対するニーズは減少しつつあります。その一方で、いわゆるワン・オン・ワンのものでブランド広告主が、特定媒体の枠をバイイングするためのPMPは、徐々に増えつつあります。

 

PMP自体は、PubMaticとしても今年改めて注力していく領域であり、今後取引量を増やしてまいります。グローバルではCTV・OTTが大変盛り上がりを見せており、動画広告関連は全てPMPで取引を行っていく方向に向かっています。このため、動画広告市場が伸びれば必然的にPMPが伸びるという状況になっています。

前述のように日本の場合、CTVやOTTの在庫が限られており、現状はバナー広告が中心になっております。ただインストリーム、アウトストリームの動画在庫は今後PMPでの取引がスタンダードになっていくので、アプリ内の動画インベントリに対するPMPを増やしていきたいですね。

 

 

なお、この調査レポートには、このほかにもモバイルの動向をはじめ様々なデータが収録されている。ダウンロードはこちらから

 

なおこの調査レポートにおいて見通されている2020年の動向は、コロナウイルス感染拡大による影響が起こる前のものである。PubMaticでは、コロナウイルス感染拡大による業界動向については、同社サイトで2週間ごとに定期的にアップデートした情報を公表している

 

 

ABOUT 野下 智之

野下 智之

ExchangeWire Japan 編集長   慶応義塾大学経済学部卒。 外資系消費財メーカーを経て、2006年に調査・コンサルティング会社シード・プランニングに入社。 国内外のインターネット広告業界をはじめとするデジタル領域の市場・サービスの調査研究を担当し、関連する調査レポートを多数企画・発刊。 2016年4月にデジタル領域を対象とする市場・サービス評価をおこなう調査会社 株式会社デジタルインファクトを設立。 2021年1月に、行政DXをテーマにしたWeb情報媒体「デジタル行政」の立ち上げをリード。