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業界トップシェアの「BEAUTINISTA TV」にみる、成長する美容室サイネージ広告需要の本質[インタビュー]

CMerTVが展開するヘアサロン専門デジタルサイネージメディアのBEAUTINISTA TVが、昨年の後半からそのネットワーク規模を急拡大させているという。

実際にどのようなサービスなのか。事業を統括する、同社事業本部 BEAUTINISTA  TV事業局 局長 鎌田直恵氏にお話を伺った。

 

(聞き手:ExhangeWire JAPAN 野下 智之)

 

 

目指すのは年内100万リーチ

―簡単に自己紹介をお願いいたします

私はBEAUTINISTA TVの事業統括をしています。外資系エンタメ業界、化粧品業界などのマーケティング部門において、主にデジタルマーケティングやメディアプランニング、バイイングの業務に10数年にわたって携わったのち、現在BEAUTINISTA TVの事業統括をしております。

 

―サービスの概要についてお聞かせください

2017年6月に立ち上げた、ヘアサロン専門デジタルサイネージメディアです。

2019年6月から新端末の開発を進め一気に事業規模を拡大させ、その後100万人リーチを年内に達成することを目指して、さらに事業を拡大させています。

事業展開の規模は、全国47都道府県で全1350店舗以上の美容室、面数は7700面以上の規模となります。想定リーチは70万人以上の規模となります。

メディアの特長としては、「心もからだもきれいになりたいと願う全ての女性のために」をコンセプトとし、美意識の高まった瞬間の女性に広告やコンテンツを届けることができるというものです。

ビューティー&ファッションをメインに、ライフスタイルや、フード&レシピ、シーズナルとして旅行やお出かけ情報などをコンテンツとしてお届けしています。

 

―どのように美容室に導入を進めていらっしゃるのでしょうか?

導入後の美容室メリットや実績について一件一件、丁寧に説明をさせて頂き開拓しています。

 

創り出される美容室での会話が最大の武器に

―美容室では具体的にどのようなプロモーション展開をしているのでしょうか

デジタルサイネージでの広告配信を中心として、サンプリング、店頭施策、番組連動施策、店舗ジャック施策など、リアル×デジタルの立体的なメディア設計ができるということをご提案しています。

サンプリングは、広告主の商品サンプルを美容師さんからお客様に直接手渡しをしていただいています。お客様の施術の時間がありますので、CM動画を見ているお客様に対し、直接美容師さんから商品について語っていただくというようなことも重視しています。

 

 ―美容室にとって、貴社のサイネージのどのような点に一番魅力を感じて導入の意思決定をするのでしょうか

スタイリストの方々が初めてのお客様とコミュニケーションをとるときに、会話のきっかけがなかなか生まれづらいという状況があります。通常2.5時間といわれるお客様の滞在中、会話をし続けるというのは結構大変なことです。

そのうえで目の前にコンテンツや広告が流れていると、会話のきっかけになることが、大きなメリットの一つとして感じていただいています。

 

―広告主に対する販売チャネルについての現状はいかがでしょうか?

直接お取引をさせていただく場合もあれば、総合広告代理店を通してのお取引もあります。OOHの広告代理店ともご一緒させていただいたりもしています。

 

―広告主の業種についてお聞かせください。

女性向け商材または、ユニセックス商材を取り扱っているメーカーが中心です。

美容系コンテンツに次いで、レシピや旅行、ライフスタイルなども人気コンテンツですので、食品、レジャー、エンタメ系商材の広告主様も増えております。美容室には性別を問わずお客様がいらっしゃいますが、私たちのサイネージが置いてある席には、女性のお客様を優先してご案内いただくように、美容室様にはお願いしております。

 

―貴社の広告主の中には、化粧品・ヘアケアメーカーがいらっしゃると思いますが、いわゆる美容室店販用のヘアケア製品など、プロ商品を扱っている会社(や事業部)ではなく、ドラッグストアなどで販売しているコンシューマー用プロダクトを扱っている会社(や事業部)がメインなのでしょうか?

広告という意味では、後者の広告主様が多いですが、プロフェッショナル商品を取り扱っているメーカー様とご一緒させていただくこともございます。

 

 コロナ禍で生まれた新たな販促ニーズ

―最近のキャンペーンの特徴について、何か特筆すべき様なことがあればお聞かせください

コロナの影響で、元々街中でサンプリングをすることを予定されていた企業様が、それができなくなり、在庫を抱えられるというご事情があるということで、サンプリングとサイネージの広告配信のパッケージメニューに対するニーズが高まりました。

7月から9月までサンプリングキャンペーンを実施しております。サンプリング強化月間として、期間中1企業当たり月間で最大10万個のサンプリングを特別価格で展開することが可能です。

 

―貴社のサイネージを導入したことにより、美容室において他にも何かポジティブな効果があればお聞かせください

コロナ禍において、美容室においてお客様への雑誌の提供が憚られるなか、触れずに楽しめるBEAUTINISTA TVへのニーズが高まりました。設置台数を増やしてほしいというニーズや、チェーン店では系列の多店舗への導入のご依頼もさらに多くいただくようになりました。 サロン様からの導入ニーズはさらに高まっており、ニューノーマルな社会全体の中でも、美容室デジタルサイネージの需要は高まってきていると考えております。

これまでは美容室にお客様がいらっしゃったら、雑誌をお渡ししていたという、美容室での日常的な風景は、デジタルサイネージの普及により、ネクストステージに向かっています。

当社にコンテンツを提供いただく30を超えるのパートナー企業様には、多数の女性誌媒体社が含まれております。これらのコンテンツパートナー様と月ごとに配信動画について協議、連携し、お客様にご提供をしています。

 

―今後の取り組みについてお聞かせください

コロナ後のニューノーマルに合わせたコンテンツの配信はもとより、DOOHとしての進化も進めてまいります。現在プログラマティック配信の実証実験も行っており、接続先のパートナーも増やしながら、今後のサービス開始を目指しています。

また、サイネージに人感センサーを搭載し、これを駆使して効果計測の検証を続けております。このようなデータの広告主へのフィードバックも行ってまいります。

また、コンテンツと広告との親和性を高められるような配信ができるような取り組みも進めております。

 

 

ABOUT 野下 智之

野下 智之

ExchangeWire Japan 編集長   慶応義塾大学経済学部卒。 外資系消費財メーカーを経て、2006年に調査・コンサルティング会社シード・プランニングに入社。 国内外のインターネット広告業界をはじめとするデジタル領域の市場・サービスの調査研究を担当し、関連する調査レポートを多数企画・発刊。 2016年4月にデジタル領域を対象とする市場・サービス評価をおこなう調査会社 株式会社デジタルインファクトを設立。 2021年1月に、行政DXをテーマにしたWeb情報媒体「デジタル行政」の立ち上げをリード。