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オプトが注力する、ECモールの販売最適化 [インタビュー]

 

オプトは、2018年7月に立ち上げたAmazon戦略部を今年8月に変更し、ECチャネル戦略部として事業拡張した。その背景や同社の戦略について、ECチャネル戦略部 部長 山岡 真士氏(写真:右)、チームマネージャー 白數 明子氏(写真:左)にお話を伺った。

 

(聞き手:ExchangeWireJAPAN 野下 智之)

 

 

大手メーカーの販売チャネル最適化を支援

―ECチャネル戦略部のご紹介を簡単にお願いします。

山岡氏: ECチャネル戦略部は、2018年7月にAmazon戦略部として立ち上がり、当初はAmazonのモール内外の広告の取り扱いをメインにメーカー様のサポートを行っておりました。

その後、「デジタルシフトによってメーカーの販売チャネルを最適化する」をミッションに掲げ、Amazonだけでなく楽天・Yahoo!ショッピングも加えた3大ECモールを中心に販促に関わる戦略立案・実行のコンサルティング部隊として、2020年8月にECチャネル戦略部に部署名を変更しました。その背景としては、メーカーの販促担当者様にとって、広告は1つの手段でしかないため、販促全般にコンサルティング範囲を拡張する必要がありました。さらにはAmazonも1つの販売チャネルであり、他チャネルを横断的に支援する必要があるため、ECチャネル戦略部としてミッションも上記の通り再定義しました。

我々がサービスを提供しているのは大手メーカー様が中心です。それらのメーカー様はこれからECに出品するフェーズではなく、既に出品している商品についてさらに販路を拡大させ、横断してマーケティングをするというフェーズです。元々、広告分野でオプトが代理店としてお取引させていだだいているメーカー様から、Amazonも支援してほしいとお声がけいただくようになってサービスを始めたという背景があり、現在のサービスをご提供するメーカー様の規模も、大手メーカー様が中心になっています。

 

―コロナの影響化でメーカーの販売チャネルに関する課題はどのように変化しましたか?

山岡氏:そもそも売り場という意味での販売チャネルのデジタルシフトは、コロナ以前から進んできています。新型コロナウイルス感染症の拡大が、その流れを加速する要素になりました。特に百貨店ブランドや普段使いの日用消費財も、デジタルで買う新しい習慣が想定よりも早く根付いてきました。

 

白數氏:その急激な変化の中で、各メーカー様もどのデジタルチャネルにどのように販売戦略を立てるべきか、いずれ本格的に考える必要があったものが、想定外に急務となり、組織体制の見直しなども含め、戦略パートナーを求められている状況です。

 

―ECモールそれぞれにどんな違いがあるとみておられますか?

山岡氏:各ECモールの使い分けの前に、まずメーカー様にとっては、自社ECサイトとECモールの使い分けという視点が重要です。

例えばECモールは集客力が高く、新規顧客獲得にとても有効ですが、一方で既存顧客にブランドファンになっていただく、ロイヤリティを高めるという点では、自社ECの方が分析・施策実行がしやすいのが現状です。すなわち、それぞれの販売チャネルをバラバラに使うのではなく、ECモールは新規の顧客が初めて商品に触れる体験の場として活用し、その後自社ECに来訪して更にブランドへの共感・関係を強めていただくために、メーカー様から直接CRM施策の実施を行うなど、各販売チャネルに役割を持たせて活用、横断的に最適化することが重要だと考えています。

 

各モールそれぞれが持つデータの強みとは?

―ECモールによってデータの違いや使い分け方はありますか?

白數氏:各ECモールで、強みとなるデータの特性があると思います。Amazonでは若年層含め幅広いユーザーデータをカバーしており、PrimeVideoなどアクティブ率の高いコンテンツを介したデータも活用できます。楽天はカードやポイントのデータと連携し、オフラインの購買情報と突合できるため、オンライン・オフライン跨いだアトリビューション分析が可能です。Yahoo!ショッピングは、ADプラットフォームとして膨大なデータを保有しており、それらデータをモール誘導広告のターゲティングとしても活用できます。

それぞれのデータの特性と、狙いたいユーザー層との相性を鑑みてターゲティングに活用し、その後のアトリビューション分析に活用することで、新規ユーザー獲得におけるモール誘導広告の可能性はさらに広がると思います。

 

―各ECモールの今後の展望と貴社の取り組みについてお聞かせください

山岡氏:ECチャネル戦略部としての取り組みの一つ目は、「チャネルを横断して最適化すること」です。各モールの出品・広告形態の違いなどを把握して、横断で出品戦略・販売戦略を描く必要があると考えています。

そしてもう一つは「データを統合して活用すること」です。今後、各ECモールにおいて、ADソリューションの発達とともに各ECプラットフォームを活用するユーザーの属性・購買に関わるデータの解放が進んでいくと想定しています。

データを起点に、自社ECとも横断でユーザーデータを分析していくことが可能になれば、オプトが今までの広告支援事業でも得意としてきた、チャネル横断でのアトリビューション分析を元にしたコンサルティングが活かせると考えています。

 

データに見出す、ECモールの今後の可能性とは?

―その他に、更にモールの拡大が加速する可能性はありますか?

白數氏:各ECモールのDSP活用の重要性がより高まります。各ECモールは広告プラットフォームも保有しているため、自分たちの1stPartyDataを誘導広告として使えます。ITPやCookie規制の影響で今後更に厳しくなる自社ECへの誘導の担保として、ECモールへの誘導広告の価値が高まってくると考えています。

また、自社ECへユーザーを誘導するコストや工数を考えても、大規模なECモールの集客力を利用し、そこから膨大なユーザーデータがメーカー様に還元される未来が来れば、メーカー様にとって最も効率的で、有益なユーザーとのコミュニケーション設計が可能になると考えています。

ECモールから得られた膨大なデータを用いてユーザーの購買行動、カスタマージャーニーを分析することで、今後のブランド戦略を検討する重要な示唆が得られることでしょう。そしてその「示唆」の提示こそ、メーカー様のパートナーとして、今後私達が担うべき役割だと思っています。

 

山岡氏:ECモールを活用することで、メーカー様として新たなサービス領域に参画するハードルを下げられることもあると思います。例えば越境EC、BtoB ECなど、自社で参入するにはインフラをはじめとして様々なハードルがあるものも、同じECプラットフォームを使えば簡単に実現できます。今後もECプラットフォーム自体のサービス領域拡大に伴って、メーカー様のサービス拡大の可能性も広がっていくと考えています。

 

 

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野下 智之

ExchangeWire Japan 編集長 外資系消費財メーカーを経て、2006年に調査・コンサルティング会社シード・プランニングに入社。 国内外のインターネット広告業界をはじめとするデジタル領域の市場・サービスの調査研究を担当し、関連する調査レポートを多数企画・発刊。 2016年4月にデジタル領域を対象とする市場・サービス評価をおこなう調査会社 株式会社デジタルインファクトを設立。