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デジタルマーケティングへ取り組むきっかけに-SO TechnologiesのMEOビジネス戦略

SO Technologiesは2019年3月より、Google マイビジネスの運用サポートツール、ライクル GMB(ライクル)の提供を開始した。同社ではGoogle マイビジネスの公式認定パートナーとして、Googleマイビジネスを始める際のボトルネックの解消など、デジタルマーケティングに取り組み始める地方中小企業のハードルを下げたサービス提供をしている。

同社の事業概要と今後の展望について、同社の名古屋和也氏に話を聞いた。

 

地方中小企業にデジタルマーケティングで「稼ぐ力」を

―貴社の事業概要についてお聞かせください。

SO Technologiesは「稼ぐ力をこの国のすみずみまで。」をミッションに掲げ、地方の中小企業やその関連企業を対象にデジタルマーケティングのサポートをしています。主たる事業としては2つあり、ATOM(アトム)という運用型広告のレポーディングを自動化するツールの提供、CUSTA(カスタ)というインターネット広告のオペレーション代行事業の提供をして来ました。

今回のインタビューでお話させていただく「ライクル」はいわゆるMEOサービスとなりますが、当社の中でも一番新しい事業となります。SO Technologiesが提供してきたサービスは広告が主なチャネルでしたが、本サービスではSNSやマップといったチャネルを対象としており、新たな分野でデジタルマーケティングを支援していくこととなりました。

 

―ライクルの提供を開始した理由をお聞かせください。

ミッションに基づき、当社では地方の中小企業を基本的なターゲットとしながらデジタルマーケティングをサービスとして提供したいという想いがございました。その前提のもと、地方の中小企業が持つ強みは何か、と改めて当社で考えた際に、地場に根づいた店舗やネットワークを持っていることでは無いかという答えに行きつきました。

そのような形で社内での議論を続けるなか、事業機会としてGoogle マイビジネスのニーズも加速度的に広がって来ました。この当社のやっていきたいこととニーズが加速したタイミングが重なったことを背景として、Google マイビジネスを使った事業展開をしていくことに決まりました。

 

 

Google マイビジネスを始める際のボトルネックを解消

―ライクルの特徴や強みはどこにあるのでしょうか。

地方の中小企業の方にはライクルをきっかけとして様々なデジタルマーケティングを始めてもらいたい、という提案をさせていただいております。そういった意味では、他社サービスのコンセプトは異なる箇所もあるかしれません。

実はGoogle マイビジネスを始めるためには、自身が実店舗のオーナーであることの認証作業が必要となります。この認証作業というのが非常に手間で、Google から店舗に送られてくる認証作業に必要なハガキがうまく届かないなど、新たにビジネスを始める人のボトルネックになっています。

そこで当社ではGoogleと公式でパートナーシップを結ばせていただいているため、一部条件さえクリアしていれば、ハガキ等の認証作業を行わずにGoogleマイビジネスの利用が可能となります。Googleとこのパートナーシップを結んでいる企業は自社を含めて日本では3社だけ(2021年3月時点)となるため、MEOビジネスをこれから始めるお客様の安心感にもつながっております。

MEOは根の詰めた設定や対策を行おうとすれば出来ることは非常に多いのですが、ライクルのコンセプトはそこではありません。まずはGoogleマイビジネスを始めるためのボトルネックを解消すると共に、最低限の設定や対策を安価な値段で開始していただくことを狙いとしております。セールストークとしても「Googleで貴社の店舗を検索した際に、正しい情報が掲載されているほうが良いですよね」とシンプルな形で提案させていただいていますが、これは企業の方々にとっても納得のしやすい話になるのではないかと思います。

その結果、当社のサービスを利用した方には「デジタルマーケティングは難しいものではない」という意識を持っていただければ嬉しいですね。

 

―具体的にはどのような企業が利用していますか。

飲食店や小売の企業様は、店舗を持っている事業者の中では規模感も大きいので、取引会社数の多くを占めております。 そのほかではカーディーラー、学習塾、クリーニングショップ、トランクルームといった企業様にご利用いただいております。珍しいところでは、地方の畳屋さんや工務店さんとも取引がございます。

 

―業種の幅の広さからも、MEOの浸透度合いや理解度の高さがうかがえますね。

先ほど申し上げたシンプルなセールストークもありますが、MEOに関して皆さん理解を示していただけます。また、他の企業では飲食店や歯医者など、顧客企業の業種が限られてくることも多いですが、当社の場合は業種に関係なく、様々な業種の企業をサポートしていることも特徴の一つではないかと考えています。

 

コロナ禍でニーズが高まるMEOサービス

―注目されている業界動向はございますか。

Googleマイビジネスをベースとしたツールベンダーや運用代行会社が近年になり非常に増えてきていると感じています。そういった意味では、どういった特徴や強みを持ってお客様にサービスを提供できるかというのは、今後もより明確にしていく必要が出て来ました。

業界にいる1プレイヤーとしては、新型コロナウイルスがMEOや店舗を持つ企業のビジネスにどれだけ影響を及ぼすのか、或いは消費者の行動にどういった形で影響が出てくるのかという点は、分かってきた部分と未だに読めない部分がそれぞれあるので、今後も注目していきたいと思います。

 

―分かってきた部分と読めない部分とは具体的にどのような点になりますか。

分かってきた部分としては、当社としても新型コロナウイルスの影響でMEOの需要が急激に冷え込んでしまうのかと想定していたのですがそのようなことはありませんでした。Google マイビジネス自体がテイクアウトの有無や店員の検温有無を掲載するようになるなど、このコロナ禍に対応してきたこともあり、よりサービスニーズが喚起されるようになりました。

読めない部分としては、店舗事業者側での販促費の存在があげられます。販促費がこれから増えていくのか減っていくのか、言い換えれば集客に対して実店舗を持つ企業がどれだけ注力をしていくかは、密への対策も含めて事業者自身も悩まれているとこなのではないでしょうか。今後はGoogle マイビジネスも実店舗を持つなら必ずやったほうが良いとはならず、業種によってはあまりお勧め出来ない店舗も出てくるなど、そういったことも起こりうると想定しております。

 

コロナ禍でニーズが高まるMEOサービス

―今後の展望についてお聞かせください。

市場感としましては、Googleマイビジネスを利用したいというお客様は増えている状況かと考えているので、そういったお客様に関しては引き続き当社側でご支援できればと思っています。一方、市場環境の変化としては競合他社の増加や販促費の減少も踏まえて、当社のポジショニングはより明確にしていかなければならないと考えております。

当社でも本当に様々な業種・業態のお客様をご支援させていただいた実績があります。ただ、運用や施策をしてきたなかでは上手く行ったケースもあれば、施策としてうまくいかなかったケースもありました。これらのケースを業種等で分析していくことにより、業種別の具体的な支援や具体的な施策をご提案できるような状態に持っていくことをまずは目指していきたいと思っております。

ABOUT 柏 海

柏 海

ExchangeWireJAPAN 編集担当 日本大学芸術学部文芸学科卒業。 在学中からジャーナリズムを学び、大学卒業後は新聞社、法律・情報セキュリティ関係の出版社を経験し、2018年に調査・コンサルティング会社シード・プランニングに入社。デジタル広告調査などを担当する。