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ノバセルが3つの新サービスを提案―マーケティング業界が抱える課題を解決

ラクスルのグループ会社であるノバセル株式会社は4月6日、オンラインで「事業戦略記者発表会」を開催した。ノバセルが目指すマーケティングの民主化を実行するための3つの新規事業について、田部正樹 代表取締役社長(ラクスル株式会社取締役CMO)から紹介がなされた。

 

誰しもが正しい広告効果を把握し、マーケティングを使いこなせるサービスを提供

ノバセルは印刷・集客支援のプラットフォームを展開してきたラクスルのマーケティングノウハウを詰め込んだテレビCMサービスとして、2018年にサービスを開始。以来、ラクスルの広告プラットフォーム事業の一つして展開されてきたが、運用型テレビCM市場およびノバセルのサービス利用が加速したことを受け、2022年2月にノバセル株式会社を子会社として再スタートを切った。

 

田部代表取締役社長は記者発表会において、マーケティング業界の三大課題として下記を取り上げた。

 

①多額の投資を可視化できていない。

②戦略人材の不足、戦略ノウハウの不足

③曖昧な広告費用への不満と費用対効果の説明

 

田部代表取締役社長は「我々は広告代理店業とSaaS事業の両輪でやっているからこそ会社としての有意性がある」と前置しながら、これらの課題を解決するための3つのツールを紹介した。

 

「ノバセルトレンド」で競合他社のテレビCM効果を可視化

1つ目の「ノバセルトレンド」は競合他社のテレビCM効果の可視化・分析を行うサービス。

広告業界が脱3rd party Cookie時代へと突入するなか、同社では「自然と想起され検討対象に入ることや、(他のサービスと)比較されず指名買いされることが重要になる」と考え、指名検索数(企業名やブランド名での検索されること)に注目。CM放映時間の前後3分での指名検索増分をCM効果として計測する仕組みを開発した。

 

なお、ノバセルトレンドではこの指名検索スコアについて、ブランド間での検索スコア比較だけでなく、クリエイティブ別、放映枠別での自社と競合とのCM効果を比較ができるようになっている。

「ノビシロ」で最短20分・100人の定量調査を実施

2つ目の「ノビシロ」とは、誰でも簡単に最短20分で100人の顧客の声が聴ける超高速型の定量調査サービス。

定量調査は大規模な調査パネルを抱える調査会社への依頼が考えられるが、調査会社への依頼では、依頼をしてからアンケート結果が返ってくるまでは最短でも数日はかかり、また費用についても決して安くないことが課題・ハードルとして挙げられる。

 

そこでノビシロでは、調査会社を介さず、オペレーションをショートカットすることにより、費用は1調査2万円からで、かつ最短20分という、安価でスピーディな調査体制を実現した。また、パネルについては大手調査会社にも提供の調査パネル(1900万パネル)を利用している。

記者会見中にはノビシロの実演がなされ、参加者からのチャットを通じて募集された「今朝、朝食を食べたか」・「朝食は和食と洋食、どちらが好きか」というアンケートを100件で調査し、数十分後には結果が返って来たことを紹介した。

 

また、ノビシロではノバセルのマーケターが仮説構築や調査の実施・戦略立案までを一貫して伴走するノビシロPROも同時にリリースしている。

 

「クロスコミット」で一気通貫の成果報酬型マーケティングプランを提供

3つ目の「クロスコミット(X COMMIT)」はノバセルがマーケティング業界の課題として取り上げた、“曖昧な広告費用への不満”を解消するため、テレビCMからWEB広告までを一気通貫で運用する成果報酬型のマーケティングプラン。

「クロスコミット」では、あらかじめ広告主と合意した成果指標を元に成果報酬制で広告費を決定。リスクを抑えたテレビCMの実施および効果の可視化やウェブとの連動、定量・定性調査に基づいたマーケティング戦略の提案などを実現した。なお、テレビCMの達成度は指名検索数、ウェブの達成度はROASでそれぞれKPIを事前に設計する。

田部代表取締役社長はこれら3つのサービスの開発意図について「我々の有意性は、広告代理店業とSaaS事業を両輪で進めていることである。それを前提として、事業会社である我々が欲しいけども、世の中が提供してくれていないサービスを作る、というのが開発意図の根本にある」としながら、次のように今後の展望を語った。

 

「ノバセルのミッションは運用型テレビCM市場の創造だと考えているが、今日の3つのサービスの発表を境に、本領域に留まらず、マーケティング業界全体を民主化するために、誰しもが正しい広告効果を把握し、誰しもがマーケティングを使いこなせるサービスを打ち出す。また、その結果として、世の中の素晴らしいサービスが正しく成長できる世界を創りたいと考えている(田部代表取締役社長)」

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柏 海

ExchangeWireJAPAN 編集担当 日本大学芸術学部文芸学科卒業。 在学中からジャーナリズムを学び、大学卒業後は新聞社、法律・情報セキュリティ関係の出版社を経験し、2018年に調査・コンサルティング会社シード・プランニングに入社。デジタル広告調査などを担当する。