最新の北米マーケティングーFacebook・メタ広告事例[インタビュー]
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on 2022年6月03日 in北米で注目されているShopifyを軸としたマーケティングトレンドについて(URL)前回解説をしてもらったLA在住マーケターであるプリンシプルのKris Irizawa氏に、今回は実際にコンサルティングをして提供してきたマーケティングケースについて話を聞いた。
スポーツウェアブランド・クライアントのビジネス課題
ーーShopifyを利用する北米企業向けのデジタルマーケティング事例をおしえてください。
プリンシプル米国子会社のEboost社では、Shopifyを利用する多くの企業へマーケティング支援を行っていますが、今回はD2Cのスポーツウェアブランドの事例をご紹介します。
そのD2Cブランドはディスカウントサイトでの販売をしていたため、非常に低い利益率で経営していました。その結果、ユーザーは購入のたびに大幅な値引きを期待するようになったため、低利益率から抜け出せない状況でした。さらに悪いことに、サードパーティのウェブサイトがすべての顧客データを所有していたため、自社の顧客と長期的な関係を築くことが困難でした。
クライアントは、こうしたディスカウントサイトでの販売をやめ、代わりに自社のウェブサイトで直接顧客データベースを構築したいと考えていました。
しかし、そのためには、より適切な価格帯を設定し、同時に、定評のあるサードパーティサイトに頼らなくても、自社のウェブサイトから直接購入してもらえるようなマーケティング施策案が必要でした。
ーー厳しい状況だったようですが、どのような打ち手を提案したのでしょうか。
私たちのチームはまず、サードパーティのディスカウントサイトから在庫を削除するようクライアントに働きかけました。ただし、これは短期的に行うと収益に大打撃を与えてしまうため、段階的に実施することとしました。
同時に、自社のウェブサイト(Shopify)に誘導するために、この商品に興味を持ちながらも、ディスカウントサイトでこのブランドに触れたことがなく、低価格帯やディスカウントブランドのイメージに縛られない新規顧客の開拓を開始しました。
この新しい顧客層に響くメッセージの方向性、顧客層、画像、動画などをテストした結果、いくつかの明確な打ち手を見出しました。
具体的には、Facebook上から、ダイナミック広告でブロード配信・プロスペクティング配信を使用して広い網を張り、インタレストベースに似たオーディエンス・セグメントを重ねて、Facebookのアルゴリズムを誘導することで、完璧な顧客を見つけることができました。
また、Smartlyの自動化ツールを使って新しいテストを迅速に繰り返しながら、効果の低いメッセージやクリエイティブはすぐに取りやめました。これにより、最適化プロセスをスピードアップし、サードパーティの割引サイトからの移行に伴う短期的な負担を、より軽減することができました。
D2C&Facebook広告のマーケティング結果
ーーそれらの広告施策によって、クライアントの期待に応えることができたのでしょうか。
クライアントの目標は、1年目にウェブサイトの基本収益を15倍にするという高いものでした。私たちは8ヶ月目までにこの目標を超え、450%から500%のROASを維持しながら、1ヶ月目の収益の22倍を達成することができました。
また、クライアントからは「Facebook広告を始める前はとても不安でした。当時は会社にとっては大変な時期で、EC事業をやめる前の最後の手段(テスト)だったのです。しかし、10ヶ月経った今は、EC事業は黒字で成長し続けることができています。結果として、Facebook広告は最高の決断となりました」とのコメントをいただくことができました。
プリンシプルは米国にも拠点を持っており、現地のトレンドに合わせた充実したコンサルティング体制が整えられている。今後も現地マーケター視点での情報や事例に注目していきたい。
ABOUT 柏 海
ExchangeWireJAPAN 編集担当 日本大学芸術学部文芸学科卒業。 在学中からジャーナリズムを学び、大学卒業後は新聞社、法律・情報セキュリティ関係の出版社を経験し、2018年に調査・コンサルティング会社シード・プランニングに入社。デジタル広告調査などを担当する。