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注目企業の経営者がD2C領域での「成功ノウハウ」を公開

 

株式会社売れるネット広告社は2022年9月28日、300人規模のD2Cリアルイベント『D2Cの会』フォーラム2022を開催した。

 

効果のあった【A/Bテスト】結果を惜しみなく公開

セッションに登壇するスピーカーをD2C企業の経営者のみに限定した本フォーラム。同社 代表取締役社長CEO加藤公一レオ氏は、「ズバリ宣言します!今日1日で得る膨大な”知識・ノウハウ・気づき”を実践することで、100%確実に皆さんがD2C領域において成功することをお約束します!それくらいのスピーカー陣を集めています!」と挨拶し、フォーラムは幕を開けた。

 

「D2C広告の“再現性”のある【A/Bテスト】結果を大公開!」と題したオープニングセッションでは、引き続き加藤氏が登壇。直近で共通して効果のあったクリエイティブや仕組みを紹介した。加藤氏は冒頭で、「ワンステップマーケティング」と「ツーステップマーケティング」の【A/Bテスト】に言及。後者の方が高い成果を上げているとの結果を示した。売り上げを拡大していくために、最初から本商品を定期で購入してもらうワンステップマーケティングは重要であるが、これだけでは限界に達するのも事実である。問題の1つとして、需要が顕在化した層しか申し込まないことが挙げられる。一方、500円や安価でお試しができるツーステップマーケティングは、申し込みハードルの低さから潜在層に訴求できる強みがある。実際に両者のテストを行った結果、ツーステップマーケティングは定期購入者のCPOが5.56倍上がった。さらに獲得件数は1.52倍、LTVは2.03倍アップという目覚ましい結果となった。加藤氏は、「当社とお付き合いのある会社で、売上100億円を突破した企業のほとんどはツーステップマーケティングも実施している。どちらか片方に寄るのではなく両輪で進めていくことで、顕在層と潜在層を刈り取っていく」と重要性を述べた。

 

 

「定期コース」という文言では売り上げは伸びない

また、最新トレンドとしてコンバージョン率の高い定期コースの名称について取り上げられた。加藤氏によると、近年はマスコミや消費者庁からの言及もあり、「定期コース=悪」という図式が成り立っているという。さらにユーザー自体もこの言葉に敏感になっているとした。

 

続けて、これらの対策として名称を「お得にお届け便」に変更した事例を紹介。売れるネット広告社で定期名称の【A/Bテスト】を行ったところ、「お得にお届け」という表現を使用することにより、「定期」に比べコンバージョン率が1.33倍アップという結果を示した。また、D2Cの世界では「コース」という言葉も悪く捉えられているとの見解を示した上で、「コース」の代わりに「〇〇便」を使うことにより、コンバージョン率は1.21倍アップという結果に繋がったという。同社クライアントにおいても「お得にお届け便」という表現に変更したことで、コンバージョン率が最大1.61倍のアップを見せたケースも見られた。未だに多くの企業で「定期コース」や「定期購入」という言葉が使われているが、今後は名称を改めるようアドバイスを送った。

 

その後も、「PCでコンバージョン率が高いLPはどっち?」、「コンバージョン率が高い申込フォームはどっち?」、「定期へのアップセル率が高い割引の見せ方はどっち?」といった視点での結果が惜しみなく公開された。さらに改正特定商取引法の施行に伴った、定期説明の効果的なタイミングにも言及。最終的に【A/Bテスト】の結果を紹介した加藤氏は、「D2C広告において最も重要なことは100%の確実性です。事実ベースの【A/Bテスト】の結果はいかなる商品、D2C企業に横展開しても再現性があります。ぜひ今日の内容を実行していただき、皆さん一緒に未来を作っていきましょう」と締めくくった。

 

 

Webマーケティングで広告主、ユーザー、メディアにとって幸せな世界が作れる

続いてのセッションでは、株式会社北の達人コーポレーション 代表取締役社長 木下勝寿氏が登壇。「ファンダメンタルズ×テクニカルマーケティング」と題し、WEBマーケティングの成果を最大化する上での重要な視点について語った。

 

Webマーケティングにおいて、他社の当たりパターンを分析して必勝クリエイティブを製作することがある。大事な手法の1つではあるものの、木下氏は「ものまねの域を超えておらず、本家を超えるヒットは生み出せない。これではWebマーケティングのダイナミックな面白さは感じにくい」とした。さらにファンダメンタルズマーケティングとテクニカルマーケティングの両輪で走ることで、今までにない成果を発揮できるとした。

 

商品自体やユーザーのペルソナなどを分析する手法であるファンダメンタルズマーケティングでは、「誰に」「何を」「どのように」伝えるかが設計の基礎になる。それを踏まえつつ、木下氏は以下のとおり「商品」、「ユーザー」、「競合」の3つのカテゴリーを掛け合わせて深く分析していくことの重要性を述べた。

 

「商品×ユーザー」

ユーザーのタイプ別にどんな商品を提供していくべきかの分析。

 

「ユーザー×競合」

ユーザーの周りには存在する競合の分析。ここではさらにプロダクト競合とメソッド競合に分けられる。自動車を例にとると、プロダクト競合は他社の自動車が競合になる。一方、メソッド競合はタクシーやレンタカーが競合になる。

 

「商品×競合」

競合にはない自社商品の特徴分析。競合商品よりも優れている部分を判断し、そこで独自性があるものが自社商品のUSPになる。

 

 

一方、テクニカルマーケティングはクリック数、遷移数など数値分析ができるデータを元にチューニングしていくものになる。ここで正しい【A/Bテスト】を行う際は「何」と「どう」のレイヤーを分けることが大事であるとした。例えばフリースを訴求する際の例として以下のようになる。

 

「なに」

「軽さ」と「暖かさ」などの対比がこのレイヤーになる

 

「どう」

軽さで訴求すると決まった後に、「着ていることを忘れさせる軽さ」と「スマホ1個分の軽さ」の対比がこのレイヤーになる

 

 

最後に木下氏は、Webマーケティングが持つ別の側面も紹介。「各社が適切なターゲットにのみ広告を出すようになると総広告出稿量が減り、広告費相場が下がる。さらに広告主全体の利益が上がる。ユーザーにとっても自分に合致した広告しか出なくなるので、Webメディアが使いやすくなる。メディアにとっては、メディア視聴時間が増えるにつれ広告枠も増えていく。各企業がWebマーケティグスキルを上げることで、三者が幸せになれる世界を作ることができる」との見解を示した。

その後も、他では話を聞くことが出来ない数々の著名な登壇者による講演が終日にわたり続き、全国各地から集まったEC担当者が大いに学ぶことができる一日となった。

ABOUT 渡辺 龍

渡辺 龍

ExchangeWireJAPAN 編集担当 立教大学社会学部現代文化学科卒業。大学卒業後は物流企業にて海外拠点と連携し、顧客の輸出入サポート業務全般に従事。 その後、2021年に調査・コンサルティング会社シード・プランニングに入社。デジタル広告市場調査などを担当している。